実録! デニムの色落ちレポート【色落ち、ヒゲ、アタリも上々。仕上がってきた】

ジーンズ愛好家がもっとも楽しみにしているのはデニムを穿き込んで育てること。育てる? どういうこと? なんて人もいるかもしれないけれど、デニムは穿き込むことで色落ちし、生地が変化し、穿き手それぞれのライフスタイルが刻まれるかのように経年変化していくのがおもしろさのひとつ。それが「育てる」ということなのだ。特にジャパンブランドのデニムは、ヴィンテージジーンズさながらの生地や仕様を踏襲しているモデルが多く、経年変化の美しさは群を抜く。そこで、1本のジーンズがどのように色落ちしていくかをレポートするのがこの記事なのです。11回目となる今回は、いよいよ色落ちの濃淡がはっきりとしてきて、ますます穿き込んでいきたいと思わせるというお話。

まずは穿き始める前の新品をおさらい。

レポートするのは雑誌ライトニングと日本のデニムブランド「ピュアブルージャパン」がコラボし、誌面で受注販売したマルチインディゴ・クラシックストレートが実験台。

通常のインディゴ染めの生地(14オンス)と、本藍染めデニム(バックヨークとベルトループに使用)の2種類の生地を使っている(さらにポケットスレーキにはライトオンスのデニムを使用)ので、それぞれの色落ちもレポートしていきたいところ。

シルエットはクラシカルなスタイルをイメージしたゆったりとしたストレートなので、バリバリのヒゲは出ないと思うけど、生地の凹凸が激しいスラブ感のあるデニムはピュアブルージャパンならではの色落ちが期待できる。

ちなみに前回までの記事は下記で確認されたし。

実録!! デニムの色落ちレポート【猛暑の夏前編】

実録!! デニムの色落ちレポート【猛暑の夏前編】

2023年08月23日

実録! デニムの色落ちレポート【真夏の修行編】

実録! デニムの色落ちレポート【真夏の修行編】

2023年09月16日

実録! デニムの色落ちレポート【酷暑の夏は汗との戦い編】

実録! デニムの色落ちレポート【酷暑の夏は汗との戦い編】

2023年10月19日

実録! デニムの色落ちレポート【夏よさらば編】

実録! デニムの色落ちレポート【夏よさらば編】

2023年11月16日

実録! デニムの色落ちレポート【季節の変わり目に洗濯したぞ編】

実録! デニムの色落ちレポート【季節の変わり目に洗濯したぞ編】

2024年01月19日

実録! デニムの色落ちレポート【やっと半年の穿き込み。タテ落ちがはっきりと出てきた編】

実録! デニムの色落ちレポート【やっと半年の穿き込み。タテ落ちがはっきりと出てきた編】

2024年02月14日

実録! デニムの色落ちレポート【穿き込みも半年経過。タテ落ちのメリハリが出てきた編】

実録! デニムの色落ちレポート【穿き込みも半年経過。タテ落ちのメリハリが出てきた編】

2024年02月17日

実録! デニムの色落ちレポート【クルマイジリで汚れて久々に洗濯したぞ編】

実録! デニムの色落ちレポート【クルマイジリで汚れて久々に洗濯したぞ編】

2024年03月21日

実録! デニムの色落ちレポート【色落ちがはっきり出てきて雰囲気増し増し編】

実録! デニムの色落ちレポート【色落ちがはっきり出てきて雰囲気増し増し編】

2024年04月19日

実録! デニムの色落ちレポート【色落ちのメリハリがますます出てきて仕上がってきた編】

実録! デニムの色落ちレポート【色落ちのメリハリがますます出てきて仕上がってきた編】

2024年05月29日

「ほぼ毎日穿き」がもうすぐ節目の1年。かなり仕上がってきた。

正直、日本製でこだわりを持って作っているデニムブランドであれば、何気なく穿いていても色落ちはするし、それこそ育ってくれるクオリティがある。つまり気合いを入れて穿かなくても、自分のペースで長い年月穿いていれば。そこそこ素晴らしい経年変化をしてくれる。

といっても、新品のジーンズが色落ちし、雰囲気良く仕上がるまでは長い道のりが必要。しかし、この企画では、美しい経年変化ほぼ毎日穿き、なるべく洗濯をしないという、いわゆる「根性穿き」に近いカタチで穿くと、どれくらいの期間で「育つ」のかを検証し、週に1、2回しかジーンズを穿けないけれど育ててみたいという人たちの指標になればと始まった。

つまり、美しい経年変化に注力すべく「ボーっと穿いてんじゃねーよ!」という企画である。

それこそ、普段から同じジーンズばかりを穿かない筆者にとっては、もはや「仕事」のようなものだけど、着用期間が半年を過ぎたあたりからはっきりと生地に変化が生まれてきた。

現在、ほぼ週6日のペースで11カ月穿き込むことによって、タテ落ち、アタリ、パッカリング、そしてダメージなど、いわゆるジーンズを穿き込むことによって生まれるディテールがはっきりとしてきた。

遠目に見ると、色落ちした淡いブルーと、濃いまま残っている深いブルーのコントラストがかなりはっきりとわかるように。しかもその濃淡が何ともカッコいい。

もはや下ろしたてのジーンズの恥ずかしさは皆無。生地もあまり洗濯をしていないせいか、しっかりと自分の体型に生地が馴染み「俺のジーンズ」に仕上がってきた。

そのディテールの変化をここで紹介してみる。

正面腿部分。腿のフロント部分の生地は白い点状の色落ちがタテに連なるように生まれるいわゆる「タテ落ち」がはっきりと。膝の生地は普段の生活で、張り出し、その左右にはヒゲと呼ばれる斜めに入る線状の色落ちが前月よりもよりはっきりとしてきた。

ヒップ部分。バックヨークの縫製箇所に生まれてパッカリングは裾上げ後の洗濯ですぐに現れていたが、凸部分の色落ちが穿き込むことでさらに進行し、ブルーと白のコントラストがかなりはっきりとしてきた。その他バックポケットの上部にもはっきりと色落ちが確認できる。

普段、オーバーサイズをベルトで締めて穿いているせいか、腰帯部分に色落ちがはっきりと生まれてきた。バックのセンターにあるベルトループは普段背負っているバックパックにこすれてダメージが生まれたが、穿き込むことでさらにダメージが進行しているけれど、まだまだ崩壊するレベルではないかと。

コインポケットが付くフロントの右側は左側とはひと味違ったヒゲが出てきている。ポケット口にヒゲ落ちが走り、生地にはヒゲの形状にクセが記憶されている。コインポケット自体にもタテ落ち(生地をヨコに使っているのでヨコ落ちに見える)している部分も雰囲気あり。

膝裏部分はシルエットがゆったりとしているせいか、はっきりとハチノスと呼ぶほどの色落ちはしていないけれど、蜂の巣状に生地にシワが刻まれて、それに沿って色落ちが生まれている。個人的にはバキバキのハチノスは好みではないので、これくらいの色落ちが理想。しっかりと腿の裏の生地にもタテ落ちが生まれている。

裾部分はユニオンスペシャルで裾上げしたことで生まれた深いパッカリングのおかげで色落ちがはっきりと。ふだんから写真のような幅でロールアップして穿いているけど、糸切れは今のところ無い。裾上げ時に使った綿糸も若干色落ちしているような。サイドシームに生まれるセルビッジのアタリもはっきりとしてきた。

裾部分その2。裾の内側部分にはダメージが出現。普段革靴かブーツを履いているので、こすれることが多いのか、さすがに半年以上穿き込むとご覧のような変化が生まれる。なんともワイルドでお気に入り。多少ダメージがあった方がジーンズはカッコいいと思うのである。ダメージを嫌う人はスニーカーを履くことをオススメする。

【基本データ】
トータル穿き込み期間:約11カ月
穿き込み頻度:週6日程度
トータル洗濯回数:5回

この記事を書いた人
ラーメン小池
この記事を書いた人

ラーメン小池

アメリカンカルチャー仕事人

Lightning編集部、CLUTCH magazine編集部などを渡り歩いて雑誌編集者歴も30年近く。アメリカンカルチャーに精通し、渡米歴は100回以上。とくに旧きよきアメリカ文化が大好物。愛車はアメリカ旧車をこよなく愛し、洋服から雑貨にも食らいつくオールドアメリカンカルチャー評論家。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

「BILTBUCK」の2025年は新素材によって既存モデルを再解釈した革ジャンに注目だ!

  • 2025.11.03

伝統と革新を往来しながら、レザーの魅力を追求するビルトバック。2025年のコレクションは、オリジナルレシピで仕立てた渾身の新素材によって既存モデルを再解釈。質感と経年変化、レザーの本質的な美学を磨き上げ、洒脱な大人たち〈Hep Cats & High Rollers〉へ贈る、進化であり深化の...

【土井縫工所×2nd別注】日本屈指のシャツファクトリーが作る、アメトラ王道のボタンダウンシャツ発売!

  • 2025.10.07

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! トラッド派には欠かせない6つボタンのBDシャツ「6ボタン アイビーズB.D.シャツ」 アメリカントラッドを象徴するア...

“黒のコロンビア”って知ってる? オンオフ自在に着回せる、アップデートされたコロンビアの名品を紹介!

  • 2025.10.21

電車や車といった快適な空間から、暑さや寒さにさらされる屋外へ。都市生活は日々、急激な気温差や天候の変化に直面している。実はその環境こそ、自然で磨かれた「コロンビア」の技術が生きる場だ。撥水性や通気性といったアウトドア由来の機能を街に最適化し「コロンビア ブラックレーベル」は、都市生活者の毎日を快適に...

【J.PRESS×2nd別注】こんなイラスト、二度と出会えない。 著名イラストレーターとのコラボスウェット。

  • 2025.10.21

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【J.PRESS×2nd】プリントスウェットシャツ【AaronChang】 アメリカにある優秀な8つの大学を総称して...

宮城県大崎市の名セレクトショップ「ウルフパック」が選ぶ「FINE CREEK」の銘品革ジャン4選。

  • 2025.10.31

宮城県大崎市に、ファインクリークを愛してやまない男がいる。男の名は齊藤勝良。東北にその名を轟かす名セレクトショップ、ウルフパックのオーナーだ。ファインクリーク愛が高じて、ショップの2階をレザー専用フロアにしてしまったほど。齊藤さんが愛する、ファインクリークの銘品を見ていくことにしよう。 FINE C...

Pick Up おすすめ記事

革ジャンの新機軸がここに。アメリカンでありながら細身でスタイリッシュな「FountainHead Leather」

  • 2025.10.31

群雄割拠の革ジャン業界において、カルト的な人気を誇り、独自のスタイルを貫くファウンテンヘッドレザー。アメリカンヘリテージをベースとしながらも、細身でスタイリッシュ、現代的な佇まいを見せる彼らのレザージャケットは、どこのカテゴリーにも属さない、まさに“唯我独尊”の存在感を放っている。 XI|シンプルな...

進化したSchottの定番、冬のレザースタイルはこれで決まり!

  • 2025.10.30

アメリカンライダースの象徴であるSchottが、原点回帰とも言える姿勢で“本気”を見せた。伝統のディテールに、現代的な技術と素材を融合。武骨でありながらも軽快、クラシカルでありながらも新しい。進化したSchottの定番が、冬のレザースタイルを再定義する。 668US SPECIAL HORSEHID...

革ジャン職人が手掛ける、経年変化するレザーハット気にならない?

  • 2025.10.31

気鋭のレザーブランド「KLOOTCH」のレザーハットラインとしてスタートした「Brunel & Co.」独学のレザージャケット作りで磨いた革の感覚を、“帽子”という舞台で表現する──。自らの手仕事で理想の革を探求する職人が辿り着いた、新たなレザークラフトの到達点。 革ジャン職人の手が導く、生...

宮城県大崎市の名セレクトショップ「ウルフパック」が選ぶ「FINE CREEK」の銘品革ジャン4選。

  • 2025.10.31

宮城県大崎市に、ファインクリークを愛してやまない男がいる。男の名は齊藤勝良。東北にその名を轟かす名セレクトショップ、ウルフパックのオーナーだ。ファインクリーク愛が高じて、ショップの2階をレザー専用フロアにしてしまったほど。齊藤さんが愛する、ファインクリークの銘品を見ていくことにしよう。 FINE C...

【Punctuation × 2nd別注】手刺繍のぬくもり感じるロングビルキャップ発売!

  • 2025.10.29

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【Punctuation × 2nd】ロングビルキャップ[トラウト] 温もりのある手仕事が特徴の帽子ブランド「パンク...