新品の状態を確認しときましょ。
レポートするのは雑誌ライトニングと日本のデニムブランド「ピュアブルージャパン」がコラボし、誌面で受注販売したマルチインディゴ・クラシックストレートが実験台。
通常のインディゴ染めの生地と、本藍染めデニムの2種類の生地を使っている(さらにポケットスレーキにはライトオンスのデニムを使用)ので、それぞれの色落ちもレポートしていきたいところ。
シルエットはクラシカルなスタイルをイメージしたゆったりとしたストレートなので、バリバリのヒゲは出ないと思うけど、生地の凹凸が激しいスラブ感のあるデニムはピュアブルージャパンならではの色落ちが期待できる。
ちなみに前回までの記事は下記で確認されたし。
酷暑の夏も終わりがみえてきたころの色落ち具合は?
これまでの記録を更新するほど暑い日が続いた2023年の夏。2023年5月から穿き始めて14オンス近いちょっとヘビーな生地で夏を乗り越えることに躊躇はしたけれど、そこは根性で夏場もしっかりと穿いてみた。
さすがに汗や皮脂の汚れをそのままにしておくことは生地の劣化に繋がるので、デニムを育てたい人は、本来汗をかく夏場はあまり穿かない方がいいとも言われている。汗をかいても穿く→洗濯の頻度が増える→濃淡のはっきり出た色落ちが楽しめないというロジックで、デニム愛好家はあまり洗濯をしないという人が多い。
事実、某アメリカのメジャーデニムブランドのCEOはジーンズは洗わないと公言しているほど。汚れたら汚れた部分だけをスポットクリーニングするらしい。
かくいう私はけっこう洗いたい派。洗い立てのジーンズは穿いていて気持ち良いもんです。それでも今回の企画のためにそんな思いをぐっと抑えて実験。
そこでトライしてみたのは洗濯ではなく、汗をかいた日には抗菌、消臭作用のあるファブリックミストを使用してみた。こうすれば過度な色落ちはしないだろうと確信。こうして猛暑日も乗り越えて約4カ月の穿き込みに。
これまではそこまで顕著な経年変化は感じなかったディテールも4カ月も穿くとけっこうはっきりと変化が見えるように。
腿の前面はタテ落ちになりそうな色落ちが見えてきただけでなく、腿の前面内側部分にはヒゲ(線状の色落ち)が出現し始めた。普段ロングウォレットを入れているバックポケットには、デスクワークをしているときに負荷がかかっているのか、ウォレットのカタチにアタリが出てきた。さらにバックヨークや裾の縫製部分にあるパッカリングはブルーの濃淡がよりはっきりしてきたことが確認できる。
その他ディテールにもちょっとずつではあるけれど経年変化を確認できる。そこでひとつの仮説を立ててみる。
それは「裾上げ→洗濯→生地が毛羽立つ→穿き込み→毛羽立ちがなくなる→タテ落ち」
というメカニズムなのではないかと。生地を構成している糸に付いていた余計な毛羽立ちが無くなって本来の生地の表面が見えてくると、タテ落ちが顔を出すんじゃないか? と思っております。
ここにきてようやく「下ろしたてのジーンズ感」からは脱却できそうな雰囲気になってきたのはうれしい。レザージャケットもブーツもデニムも下ろしたてはちょっと気恥ずかしいからね。やはり千里の道も一歩から、なかなか一気には変わらないものである。
個人的にはまっ紺のジーンズよりも、ある程度色落ちしたジーンズが好みなので、今後も穿き込んでさらなる経年変化をお見せしたい。
4カ月穿き込んだディテール。やっと色落ちと表現できる変化が。
そのジーンズの表情にも直結する腿正面にはうっすらとタテに走る色落ちが。生地をかなり近くから見ないとまだわからない程度ではあるけれど、タテ落ちがここから始まりそう。さらに腿の正面内側にはヒゲ(ヒゲ状に走る色落ち)に成長しそうな生地感になってきた。生地の毛羽立ちも少し残っているので、まだまだ新品のジーンズ感はぬぐえない。
バックポケット周辺はパッカリングが出ている縫製部分が表情豊かになってきた。普段から右後ろにロングウォレットを入れているせいで、右後ろのポケットにはウォレットの跡が色落ちしてきている。間違いなく色落ちは進行していると実感。
裾部分は内側がシューズ摩擦するせいか、インシームの足首部分の色落ちが進行している。さらに穿き込めば濃淡の差がくっきりと出てきそうな雰囲気。ユニオンスペシャルで仕上げた裾の縫製部分もパッカリングがはっきりと出て凹凸に合わせて色落ちがさらに進行していることを確認。
【基本データ】
トータル穿き込み期間:約4カ月
穿き込み頻度:まだ暑い日もあったけど週4~5日程度
トータル洗濯回数:3回
関連する記事
-
- 2024.08.22
夏にぴったりのボーダーTはいかが?
-
- 2024.08.01
淡くくすんだブルージーンズという選択肢。