木材を活かした電球カラーが温かい木造倉庫。
ここが飲食店だとどうやって気付けるだろうか。外観は見ての通り倉庫。近寄ると営業時間が書かれた看板が立てかけられているだけ。入り口は北国特有の二重扉でガラス戸から内部の様子は覗けない。中を確かめるべく、いざ進入。
内部は窓がなく、電球の明かりが室内全体を優しく照らし出す。壁面のベニヤ板と木製の天井が温もりを増しているようだ。
「今年で築約50年の木造二階建てです。うちが入る前はクルマ屋の部品などを置く倉庫として使われていたようです。それより前は、人の出入りがある事務所として使われていたみたいですね」
そう教えてくれたのは、「タムラ倉庫」店主の滝本忍さん。大工の手を借りながら自らも改修に関わった。入ってすぐの場所にあった階段は、入口付近のスペースを確保するために奥へ移築。また冬の寒さをしのぐため、壁とベニヤ板の間に断熱材を入れた。
壁をよく見ると……あれ、まだ塗り途中? カウンター席側の壁から続くグレーのペンキは、奥の階段手前で終わっている。
「半分まで塗って、やっぱり違うかなと思ってやめました(笑)。何も施していない壁は、これから作っていきたいと思います」
そんな店内のインテリアは、大学で使わなくなった机、リサイクルショップで購入したさまざまな椅子、跳び箱など、個性がありながらどこか懐かしさを感じるものばかり。
「骨董品のような堅苦しいものではなく、“お客さんの知っている旧さ”を基準にしています。『何か自分もできるかも』と思ってもらえるくらいがいい(笑)。お店の使い方もお客さんにお任せ。今後はイベントの開催も考えています」
滝本さんの飾らない人柄と、倉庫内に散りばめられたさまざまな“隙”。気を張らず自分らしく過ごせる空間が、店内を賑わしている理由なのかもしれない。
外観はご覧のとおり倉庫そのもの。一歩中に入ると、無機質な空間が広がっているのかと思いきや、天井やインテリアに木材を使用した温もりを感じる内装に少し驚く。随所に昔懐かしい跳び箱やおもちゃがあり、少年に戻ったような感覚を味わえるのも札幌のカフェ。ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか?
【DATA】
北海道札幌市白石区平和通7丁目南5-11
TEL011-863-1090
営業/11:00〜22:00、月・金曜〜17:00
休み/火曜
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(出典/「Lightning 2018年2月号 Vol.286」)
Text/Lightning 編集部 Photo/T.Hirose 廣瀬友春
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