【リノベーション倉庫④】築100年の大阪港赤煉瓦倉庫を同時代のクラシックカーで彩る博物館。|大阪・大阪市

  • 2023.02.21  2020.11.05

近代化遺産として価値の高い築100年の大阪港赤煉瓦倉庫。この場所を世界で唯一無二の「大人のミュージアム」として活用するのが「ジーライオン ミュージアム」だ。その旧きよき建造物と同じ時間を刻んだ、
往年のクラシックカーを生かした最高のステージをご覧入れよう。

旧きよき時代を残す倉庫群の景観を、クラシックカーの趣ある表情で彩った名所。

1920年代、日本最大の商工業都市として成長した大阪の海陸交通の結節点として栄えた大阪港エリア。その地に今なお残る赤煉瓦倉庫には、建物が生まれた同じ時代に、はるか欧米諸国の街並み走っていた往年のクラシックカーたちが眠っている。

赤煉瓦と屋根の勾配が美しい外見は、竣工当時とほとんど変わらずに残っている。4つの倉庫をつなぐ道は、ニューヨークやロンドンの 裏路地を想起させる。掲げるキーワードは「大人の愉悦場」だ

「ジーライオン ミュージアム」は、近代建築としても価値の高い赤煉瓦倉庫を保存しながら、その空間が纏うヴィンテージの世界観を活かし、クラシックカーが輝く空間にリノベーションされている。かつては住友倉庫が所有・使用していた倉庫だったが、長らく空き家で1999年に大阪市に移管された。

鉄骨で補強された屋根と赤煉瓦の内壁が、煌びやかなクラシックカーと相まって空間を彩る。中央には、当時アメリカ中級車社会をリードしたハドソンの1938年式が展示されている

その後、安全性の確保を理由に封鎖されたが、2014年に現在の代表の田畑利彦氏が譲り受けたという。クラシックカーのコレクション、その一台目は、1920年代のロールス・ロイス・ファントムだったそうだ。その後たまたま見つけたこの倉庫も、同年代。国を越えた奇妙な偶然が、いまの「ジーライオン ミュージアム」のきっかけだ。

住友倉庫だったかつての痕跡が随所に残っている。例えば、どこかで柱として使われていたであろう廃材などは、敷地内に散乱していたもの。それを内壁などに配し、装飾に転用していたりする
また外壁に設置さ れたクレーンもそのまま残している。旧く錆びついた鉄扉が醸し出すヴィンテージ感と相まって、趣のある表情を醸し出している。旧字体で壁に刻まれた「壱」という文字も、時代を感じさせる

所々崩れかけていた倉庫に、耐震補強と展示施設のリノベーションを施した。屋根は鉄骨で支え、2階建てだった倉庫の床は取り、1階の天井高を上げて展示・搬入をしやすくした。約3000坪の敷地に、4つのボリュームが配置されており、それぞれにミュージアムのほか、販売のショールーム、レストランやカフェが整う。他にはないスケールの赤煉瓦倉庫ミュージアムが誕生した。

クラシックカー乗りが集まり、早朝の赤煉瓦倉庫周辺を走るミニイベントなども時折開かれるという。大阪港のヴィンテージなロケーションは、旧きよき時代の痕跡を愛でる人々が集える場所なのだ。

クラシックカーは外にも停められ、街並みに馴染むように展示されている。その一方で壁には「たばこのむな」の看板とのギャップ感も楽しめる。日本の商工業が繁栄した痕跡と、欧米のクラシックカーが調和する、印象的なワンシーンだ

日本の大正時代の、激動の情勢を感じさせるクラシカルな赤煉瓦倉庫。その味わい深い雰囲気が、これまた同時代に作られたクラシックカーのデザインにマッチする。まさに妙! というべき場所である。ヴィンテージ好きは心躍ってしまうこと間違いないだろう。

【問い合わせ】
GLION MUSEUM
大阪府大阪市港区海岸通2-6-39
TEL06-6573-3006
http://glion-museum.jp

【リノベーション倉庫①】サイクリストの聖地に生まれ変わった第二次大戦中の海運倉庫|広島・尾道

【リノベーション倉庫①】サイクリストの聖地に生まれ変わった第二次大戦中の海運倉庫|広島・尾道

2023年02月21日

【リノベーション倉庫②】ゴミ集積所の家具や廃材を再利用!ゼロ・ウェイスト宣言を象徴するブルワリー。|徳島・上勝町

【リノベーション倉庫②】ゴミ集積所の家具や廃材を再利用!ゼロ・ウェイスト宣言を象徴するブルワリー。|徳島・上勝町

2023年02月21日

【リノベーション倉庫③】元・除虫菊の保管庫をリノベした、海沿いのトタン倉庫カフェ。|和歌山・有田

【リノベーション倉庫③】元・除虫菊の保管庫をリノベした、海沿いのトタン倉庫カフェ。|和歌山・有田

2023年07月24日

【リノベーション倉庫⑤】100年以上の歴史を刻む「ザ・リアルマッコイズ」本社。|兵庫・神戸

【リノベーション倉庫⑤】100年以上の歴史を刻む「ザ・リアルマッコイズ」本社。|兵庫・神戸

2021年10月24日

【リノベーション倉庫⑥】西海岸風な美容室&自転車屋がコラボした「TAS PARK タスパーク」。|茨城・つくば

【リノベーション倉庫⑥】西海岸風な美容室&自転車屋がコラボした「TAS PARK タスパーク」。|茨城・つくば

2021年11月01日

【リノベーション倉庫⑦】オールドウイスキーが眠るモルトバー「SILENCE BAR」。|香川・丸亀

【リノベーション倉庫⑦】オールドウイスキーが眠るモルトバー「SILENCE BAR」。|香川・丸亀

2021年10月24日

【リノベーション倉庫⑧】約40年前に作られた鉄工所をリノベしたカフェ。|東京・二子玉川

【リノベーション倉庫⑧】約40年前に作られた鉄工所をリノベしたカフェ。|東京・二子玉川

2023年07月24日

【リノベーション倉庫⑨】英国、バイク、レザージャケット……ヴィンテージ感に溢れる巨大倉庫。|富山・富山市

【リノベーション倉庫⑨】英国、バイク、レザージャケット……ヴィンテージ感に溢れる巨大倉庫。|富山・富山市

2021年10月24日

【リノベーション倉庫⑩】北海道にある、木造倉庫を利用した温もりカフェ「タムラ倉庫」|北海道・札幌

【リノベーション倉庫⑩】北海道にある、木造倉庫を利用した温もりカフェ「タムラ倉庫」|北海道・札幌

2023年07月24日

【リノベーション倉庫⑪】大谷石の元倉庫群を改装した、素材感で魅せる大空間モール。|栃木・宇都宮

【リノベーション倉庫⑪】大谷石の元倉庫群を改装した、素材感で魅せる大空間モール。|栃木・宇都宮

2021年10月24日

▼こちらもおすすめ!

世界に名だたる大企業もその始まりは倉庫やガレージだった!

世界に名だたる大企業もその始まりは倉庫やガレージだった!

2023年02月21日

(出典/「Lightning 2018年2月号 Vol.286」)

LiLiCo

昭和45年女

人生を自分から楽しくするプロフェッショナル

LiLiCo

松島親方

Lightning, CLUTCH Magazine, 2nd(セカンド)

買い物番長

松島親方

ランボルギーニ三浦

Lightning

ヴィンテージ古着の目利き

ランボルギーニ三浦

ラーメン小池

Lightning

アメリカンカルチャー仕事人

ラーメン小池

上田カズキ

2nd(セカンド)

アメリカントラッド命

上田カズキ

パピー高野

2nd(セカンド)

断然革靴派

パピー高野

村上タクタ

ThunderVolt

おせっかいデジタル案内人

村上タクタ

竹部吉晃

昭和40年男, 昭和45年女

ビートルデイズな編集長

竹部吉晃

清水茂樹

趣味の文具箱

編集長兼文具バカ

清水茂樹

中川原 勝也

Dig-it

民俗と地域文化の案内人

中川原 勝也

金丸公貴

昭和50年男

スタンダードな昭和49年男

金丸公貴

岡部隆志

英国在住ファッション特派員

岡部隆志

杉村 貴行

2nd(セカンド)

ブランドディレクター

杉村 貴行

2nd 編集部

2nd(セカンド)

休日服を楽しむためのマガジン

2nd 編集部

CLUTCH Magazine 編集部

CLUTCH Magazine

世界基準のカルチャーマガジン

CLUTCH Magazine 編集部

趣味の文具箱 編集部

趣味の文具箱

文房具の魅力を伝える季刊誌

趣味の文具箱 編集部

タンデムスタイル編集部

Dig-it

初心者にも優しいバイクの指南書

タンデムスタイル編集部

昭和40年男 編集部

昭和40年男

1965年生まれの男たちのバイブル

昭和40年男 編集部

昭和45年女 編集部

昭和45年女

“昭和カルチャー”偏愛雑誌女子版

昭和45年女 編集部

昭和50年男 編集部

昭和50年男

昭和50年生まれの男性向け年齢限定マガジン

昭和50年男 編集部