【世界が認める日本の先駆者たち⑤】レッドブル・エアレース・パイロット・室屋義秀|日本人初のワールドタイトルを獲得したパイロット。

もしこのヒトがいなかったら……。身近にあるカルチャーやプロダクツが、たった一人の日本人が先駆けとなったことで、世界に大きな影響を与え、文化を築き上げていた。そんなレジェンドと呼ぶに相応しい賢人たち7名の今と昔を取り上げていく連載第5弾。究極の3次元モータースポーツとして話題の「レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップ」の2017年シーズンで日本人初の総合優勝を果たしたレジェンドに迫る。

参戦6年目にして悲願のワールドタイトルを獲得。

レッドブル・エアレース・ チャンピオンシップでは、海上などに設置されたエアパイロンの間を抜けながら、正確な操縦で決められたコースを何秒で駆け抜けられるかを競う

モータースポーツの聖地としても知られるアメリカ・インディアナポリスで行われたレッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップの最終戦は、2017年シーズン4勝目となる室屋義秀が優勝を飾り、同時に年間の総合チャンピオンも獲得した。

「年間総合優勝は、今シーズンが始まる前から目標に掲げていました。今まで積み重ねてきた努力が正しかったことが証明できて、本当にうれしいです。これに慢心することなく、さらに努力して操縦技術を追求していきたいですね」と語るパイロット室屋義秀はまさにこの日、日本におけるエアレースのレジェンドとなった。

24歳の時に再渡米し、世界有数のエアロバティックス教官、ランディ・ガニエ氏に師事し、ここで本格的な訓練を受けることになった

室屋さんは、20代に幾度も渡米して飛行訓練を積み重ねてきた。「訓練は楽しい反面、体力的にも厳しいものでした。教官が褒めて伸ばす、いわゆるアメリカンスタイルを貫いてくれたことが成長できた要因だと思っています」と当時を振り返る。

「エアレースはもちろん、航空業界は白人社会という側面があります。だから、エアレース参戦当初は異色の存在でした。また、日本と欧米では航空文化の土壌も違います。同期のパイロットたちは空軍出身者だったり、フライトスクールの経営者だったり……と、子供のころから飛行機の操縦をしていた経歴の持ち主ばかりで。訓練環境を整えるところからスタートしなければならなかったのが、とても大変でしたね。ただ、日本人はもともとパイロットに適していると思います。私は、フライトするスタイルは武道の“型”を意識しています。両手で操縦する姿を見て『サムライスタイル』と言う人もいるくらいです(笑)」

2017年シーズンは、第2戦のサンディエゴ大会、第3戦の千葉大会、第7戦のラウンジッツ大会、そして第8戦(最終戦)のインディアナポリス大会と計4勝して、アジア 人として初となる年間総合優勝を飾った

2019年の千葉大会をもって終了したレッドブル・エアレース。日本でも盛り上がりを見せていたなか、残念であったが、スポンサーを変えて開催される可能性があるとのこと。今後、どのようなエアレースが開催されるかは不明ではなるが、また室屋さんが大空で激戦を勝ち抜く姿を見たいものだ。

レッドブル・エアレース・パイロット・室屋義秀さんのヒストリー

1980年 幼少時代は『機動戦士ガンダム』の主人公、アムロ・レイに憧れ、早くもパイロットを目指す。
1993年 20 歳で渡米し、飛行機のライセンスを取得。
1997年 再渡米し、ランディ・ガニエ氏のもとで飛行訓練を受ける。
1998年 日本のエアショーで活動を開始する。
2002年 自身のエアショーチームを立ち上げ、良く2003年にはアンリミテッドクラスの世界選手権にも出場する。
2008年 スペイン・バルセロナで行われたレッドブル・クオリフィケーションキャンプに参加し訓練に合格。
2009年 レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップに正式参戦。
2016年 第3戦の日本・千葉大会で、日本人として初めて優勝を果たす。
2017年 年間4 勝を果たし、初のワールドチャンピオンに輝く!

▼まだまだいます、世界に誇る日本の先駆者たち。

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(出典/「Lightning 2018年1月号 Vol.285」)

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