【世界が認める日本の先駆者たち④】「ロッドモータース 」葛木誠&良|アメリカ車文化を牽引する親子。

もしこのヒトがいなかったら……。身近にあるカルチャーやプロダクツが、たった一人の日本人が先駆けとなったことで、世界に大きな影響を与え、文化を築き上げていた。そんなレジェンドと呼ぶに相応しい賢人たち7名の今と昔を取り上げていく連載第4弾。サンフランシスコでスタートしたロッドモータースは、日本のアメリカ車文化の牽引役として40年余り。そして親子で挑戦し続けるドラッグレースでも快挙を成し遂げ、名実ともにアメリカ車文化においてレジェンドとなったふたりに迫る。

40年間親子二人三脚でアメリカ車文化を牽引し続ける、横浜の小さなショップ。

ロッドモータースは基本的に誠さんと良さんの二人だけで切り盛りしている。取り扱うエンジンは、圧倒的にシボレースモールブロックが多いという

横浜の「ROD MOTORS」といえば、アメリカ車乗りなら誰でもその名前を聞いたことがあるであろう老舗ショップだ。代表の葛木誠さんは、息子の良さんと共に港北ニュータウンの外れに店を構え、コルベットを中心にアメリカ車全般を得意とするショップを営んでいる。日本におけるアメリカ車文化の草創期に活躍し、70歳を過ぎた今でも現役で活躍する誠さんは、まさにアメリカ車業界のレジェンドといっていいだろう。

そんなロッドモータースだが、実は横浜ではなく、アメリカ、サンフランシスコの馬小屋だったという小さな建物からスタートしているのはあまり知られていない。

サンフランシスコのショップ前でビジネスパートナーKEN氏と。 創業まもない’78年頃撮影

「横浜の自動車屋さんに7〜8年勤めてたんだけど、そこの社長に『息子がアメリカでクルマ屋やるから一緒にどうだ?』っていわれたのがきっかけで渡米したんです。結局そのお店は上手くいかなかったんだけどね。でも、もうこっちの家も処分しちゃって帰る所なくなっちゃったし(笑)、じゃあ、自分の力でやってみようと思ってサンフランシスコにロッドモータースをオープンして、家族と一緒に5年くらいアメリカで生活してました。その後日本に戻ってきて、その屋号を引き続き使ってお店を出したんですよ」

日本に戻った最初の年は実家のガレージで細々とビジネスをスタート。翌年「有限会社ロッドモータース」を設立し、都筑区折本町にショップを構えることとなる。つまり’77年のサンフランシスコから数えると、40年以上の月日が経っていることになる。

帰国後、アメリカでリアルなアメリカ車文化に接してきた誠さんの評判は瞬く間に広がり、ロッドモータースの名は徐々に広がっていった。

初期の頃のアメフェスに愛車のコルベットで参加した良さん。これが現在まで続くドラッグレース活動の原点となった

また誠さんは、アメリカ滞在時代に各地で行われているドラッグレースををはじめとしたレース活動をリアルタイムで経験し、日本に戻ってからも国内で行われているドラッグレースや最高速チャレンジといったレース活動に積極的に参加してきた。ロッドモータースにモータースポーツのイメージが強いのはこの当時の活動によるところが大きい。創業当初からコルベットを好んで扱い、エンジンもシボレーのスモールブロックにこだわっているのは今も変わらない。

ドラッグレースには’80年代から参戦しているが、誠さんはメカニックとしてサポートに徹し、ドライブはあまりしなかったという

「ビッグブロックってさ、確かに排気量はデカいんだけど、とにかく重いし吹け上がり悪いしね。みんな速い速いっていうんだけど、ちっとも速くないんだよね。スモールブロックは上までしっかり回るし、街中で次の信号までは絶対スモールブロックのほうが速かったからね。今でもスモールブロックがやっぱり多いかな」

長年の改良の積み重ねを経てついに念願の8秒代を達成!

一方、息子の良さんは、幼少期をサンフランシスコで過ごし、物心つく前から周囲にアメリカ車のある生活を送ってきた。若い頃から競争が大好きで、学生時代にはバイクのロードレースやジェットスキーのレースを経験してきた。

専門学校を卒業すると、単身渡米しジョージア州にあるIMSAのレースチームに入り2年間修行する。その後日本に戻りロッドモータースに入社すると時を同じくして愛車の赤い’64年式コルベットでスタートしたドラッッグレースは、徐々にステップアップしながら現在まで継続。

そして2017年11月、ストックフレーム+スモールブロックとしては日本最速となる8秒971を記録。長年の目標だった8秒台を達成することができたのだ。

セントラルサーキットで行われたDrag Festival にて、念願の8秒代を達成した

驚くことに現在レースカーとして使用しているシルバーのクーペは、8秒台を出す2年前にクーペ化したものの、ドラッグレースをスタートしたあの赤いコンバーチブルそのものだという。つまり同じ車両に乗り続け、18秒近かった最初のタイムから8秒台を達成した長年の相棒というわけだ。良さんもレジェンドと呼ぶにふさわしいキャリアを歩んできている。

ワンオフで製作したルーフを装着してクーペ化しているが、ドラッグレースを始めた時の赤いコルベットがこれ。リアフレームをナロードし、内装もカーボンを多用したレース仕様となっているが、ずっと同じ車両でドラッグレースを戦い今でもロッドモータースで取り扱う車両はC3までの続けている
今でもロッドモータースで取り扱う車両はC3までの 続けているコルベットが圧倒的に多いという。写真の’64年式はエンジンや足回りなど各部をアップデートした快適仕様となっている

’90年代に所ジョージさんをはじめとした有名人のクルマを任されたり、ドラッグレース活動がクローズアップされているため、ロッドモータースの知名度は非常に高い。反面、初めてショップを訪れた人は、お店の規模に少なからず驚きを覚えるはずだ。

「初めて来るお客さんは、大きなショップを想像して来るらしく、俺たち親子二人でやってるのを見てみんな驚くんですよ(笑)」

今日もロッドモータースでは親子が日々腕をふるい、昔と変わらないスタンスでアメリカ車を整備し続けている。

良さんをして、メカニックの天才と言わしめる父、誠さん。40年の経験を経てメカニックの腕は超一流。「今でもメカニックとして親父には敵わないんですよ」と良さん

「ロッドモータース」葛木誠さん&良さんのヒストリー

1969年 横浜の自動車屋で働き始める。
1977年 知人に勧められてアメリカで自動車ショップをオープンするために渡米。共同経営者とサンフランシスコに「ROD MOTORS」オープン。
1981年 日本に戻り自宅ガレージで「ROD MOTORS」を日本でオープン。
1982年 有限会社ロッドモータース設立。横浜市都筑区折本町にショップを構える。「ROD MOTORS 」のコルベットが谷田部の最高速チャレンジで260.86 ㎞ /h というスモールブロック+AT の記録を樹立。
1995年 社屋を現在の都筑区高山に移転。息子、良さんの愛車の’64年式コルベットでドラッグレースに参戦。
2003年 良さんが、ハリーズのファニーカーのドライバーとして各地のドラッグレースに参戦。
2005年 もてぎのシュートアウト全戦優勝。
2017年 良さんが、11月5日のDRAG FESTIVALで8秒971 を記録。念願だった8秒台を達成。ストックフレーム+ スモールブロックでは日本最速。

▼まだまだいます、世界に誇る日本の先駆者たち。

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(出典/「Lightning 2018年1月号 Vol.285」)

この記事を書いた人
サカサモト
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サカサモト

アメカジ系動画ディレクター

Lightning、2nd、CLUTCH Magazineの公式YouTubeチャンネル「CLUTCHMAN TV」のディレクター。元Lightning副編集長ということもあり、クルマ、バイク、ミリタリーなど幅広い分野に精通。現在はもっぱら動画作成機材に夢中。ニックネームは、スキンヘッドにヒゲ面をいう「逆さ絵」のような顔に由来する。
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