全部本物! フライトジャケットからフィールドジャケットまで、ミリタリージャケット主要10種類を解説。

  • 2023.07.17  2020.04.22

戦場という極限下で生き残るために開発された意匠であるミリタリージャケットだが、もはやメンズカジュアルファッションにとってなくてはならないスタンダードアイコンとして存在している。

野戦用フィールドジャケットとして開発されたMー65は、長い季節楽しめるカジュアルアウターとして根強い人気を誇る。

また、モッズパーカの愛称で知られるオーバーコートの代名詞Mー51、映画『トップガン』でトム・クルーズが着用したGー1や、かつてキムタクが着用して火を着けたMAー1 はカジュアルブルゾンとして再び注目を集めている。さらにベーシックウエアとして台頭しつつあるN-1デッキもしかり。

そんなミリタリージャケットの中でもカジュアルファッションにも使える、定番アイテムを10点ピックアップして、そのルーツに迫りたい。まずはアメリカ軍のパイロットや爆撃手たちの飛行服である「フライトジャケット」から紹介しよう。

1.【TYPE MA-1】フライトジャケット界のマスターピース。

1957年、B-15シリーズをベースにして誕生。1976年にCWU45/P が採用されるまで、米国空軍の主力フライトジャケットとして君臨した。その間、戦闘機が進化していったこともあって数々のマイナーチェンジが繰り返され、より完成度の高いものへと発展を遂げている。その中でも裏地がレスキューオレンジカラーになったDタイプが有名。現在でも完全に退役しているわけではなく、地上勤務のクルーが着用している。

日本においては、’80年代に爆発的に流行。’90年代以降、ファッションアイテムとして認知された。またその作りには、異素材のパーツを組み合わせたフライトジャケットならではの魅力が凝縮されているのが魅力のひとつ。

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2.【TYPE A-2】約20万着作られたという米陸軍航空隊の名作レザーフライトジャケット。

A-2とは、1931年に米陸軍航空隊に制式採用された夏季用フライジャケットのこと。素材には馬革が使われることが多く、また納入業者(コントラクター)ごとに若干仕様が異なるため、微差を楽しむファンやコレクターも多い。軍服らしくなく、カジュアルに着られるので革ジャン初心者にもおすすめ。

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3.【TYPE B-3】極寒の地で働く兵士たちの命を守った、ボア付きヘビーゾーン用。

-10度〜-30度で活動する兵士に支給された極寒地用フライトジャケット。シープシェアリングを贅沢に使用し、その防寒性能は折り紙付き。だが、街着としてはオーバースペック感は否めず、同じようなシープムートンスタイリングながら、ムートンの毛足が短いTYPE B-6を選ぶ人も多い。

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4.【TYPE L-2B】MA-1同様に長期に渡って採用された名作フライトジャケット。

採用期間は1950〜1970年代。L-2Aで一度エアフォースブルーに変更されるも、もとのカーキ色に戻り、L-2Bは後継のCWU36/Pが採用されるまで長く活躍。1961年よりライニングがオレンジに変更されるので、初期のモデルは人気と希少性が高い。ジッパーはクラウンのもので、レザーの引き手が付く胸にはボディと同色のオキシジェンタブ。これも後に省略されてしまうディテールである。

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5.【TYPE N-3B】極寒地仕様フライトジャケットN-3の後継モデル。

極寒地仕様フライトジャケットの元祖とも言えるN-3、その後に採用されたN-3Aの後継としてN-3Bがアメリカ空軍に採用されたのは1950年代半ばのこと。素材はナイロン素材を使い、ライニングには分厚いウールパイルを採用。寒冷地での着用を目的とするため、防寒、保温のために二重にしつらえられた前合せが特徴だ。またファスナーとボタンで留める仕様で、ボタンも手袋をしたまま着脱しやすい。

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6.【TYPE G-1】トップガンでお馴染み、海軍伝統の山羊革製ジャケット。

米陸軍航空隊のA-2と双璧をなす、米海軍のG-1。最初にG-1の名で呼ばれたのは’50年代に開発されたスペックナンバー「55J14」だが、その基本デザインは1940 年に採用された「M-422」を継承。陸軍航空隊(後の空軍)のA-2 が馬革であるのに対し、海軍のG-1 には柔らかい山羊革(ゴートスキン)が使われている。背中にはアクションプリーツが装備され、非常に機能的。1976 年に採用中止となるが、パイロットたちの強い要望により1984 年に再び採用されて現在に至る。古着でも比較的多くみられるため、愛好家も多く、バイク乗りにも人気が高い。

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7.【TYPE A-1】クラシカルな雰囲気をたたえたTYPE A-2の前身モデル。

1927年に米陸軍航空隊の飛行服第一号として採用された夏季用フライトジャケット。袖口やウエストにニットを配し、後のフライトジャケットに多大な影響を与えた。フロントはボタン留めで、クラシカルな意匠が魅力だ。現在、このA-1をモチーフにしたレザージャケットも多数リリースされている。

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続いて、フィールドジャケットを代表する、タウンユースでも人気を集める2大ジャケットを紹介する。

8.【TYPE M-65】言わば、野戦用フィールドジャケットの完成形。

第2次世界大戦中の1943年に登場したフィールドジャケットM-43。ここに数々の仕様変更が加わり、1965年に完成したのが「M-65」だ。ボタンフロントはジップで開閉する仕様になり、ボタンで脱着していたフードは襟に内蔵。さらには手の甲を保護する折り返しの追加など、隅々まで計算尽くし。実は最初期型にはエポーレットがなく、ロバート・デ・ニーロが映画『タクシードライバー』で着用したエポーレット付きのM-65は2ndモデル。2nd モデルまでは手間のかかる作り方をしていたクラウン社製のアルミジップが付いていたが、3rdからは生産性を上げる目的でブラスジップに変更。その意味でも、2ndは人気が高い。

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9.【TYPE M-51】英国カルチャー史にまで、その名を刻み込んだ傑作“モッズコート”。

米国陸軍が朝鮮戦争で実戦に投入したフィールドパーカ。その名の通り、1951年に採用されている。最初期型は素材が厚手のコットンサテンだったが、1952年以降のモデルは強度や軽さ、コストの見直しによってコットンナイロンに変更。’60年代にはロンドンでモッズたちに愛用されたことから、“モッズコート”という名称が広まった。また、その独特な裾の形状から“フィッシュテイルパーカ”とも呼ばれている。このフィッシュテイルは股の下でドローコードを結び、裾から風が侵入するのを防ぐためのデザイン。またM-51はウールパイルのライナーを脱着でき、当時はフィールドジャケットと重ね着して防寒性を高めていた。

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10.【TYPE N-1】デッキクルーの頼もしい相棒として活躍したデッキジャケット。

第2次世界大戦から朝鮮戦争時にかけて、海軍において同素材のトラウザーズとセットで艦艇乗員用に採用された。表地にジャングルクロスと呼ばれるコットングログラン、裏地に遮風性と保温性に優れたアルパカモヘア・ウールパイルが使われている。この天然素材の組み合わせが、海上で寒風にさらされる兵士たちの命を守り抜いてきたのだ。1944 年にネイビーブルー、その翌年にカーキカラーのモデルが登場している。

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