L‐2、L-2A、L-2B……MA‐1と双璧を成すナイロンフライト【L-2シリーズ】とは?

  • 2021.10.24  2020.04.06

MA-1とは似て非なるフライトジャケットであるL-2。その魅力をヴィンテージの名店「ベルベルジン」の藤原さんが解説。自身のレアなテストサンプルも披露してくれた。

教えてくれたのは……「ベルベルジン」ディレクター・藤原裕さん

1977年高知県生まれ。ベルベルジンのディレクターの他に、ヴィンテージデニムアドバイザーとして様々な企業に携わる。タイでもその名を知られ、カリスマ的な人気を誇っている

MA‐1と並んで、定番のフライトジャケットであるL‐2シリーズ。タイプA‐2の後継モデルとして開発されたライトゾーン用のフライトジャケットで、いち早くナイロンを用いたエポックメイキングな名作。MA‐1に似ているが、大きな違いはライニングの有無。これが着こなしに大きな差を付けるとベルベルジンの藤原さんは指摘する。

「MA‐1の方が保温性は高いですが、ファッション的な目線で見ると合わせやすさはL‐2が1枚上ですよね。裏地がウールとレーヨンのライニングだけですから、ボリュームがなくてコーディネイトしやすいと思います」

近年MA‐1がリバイバルしたことで、それに呼応してL‐2もプライスが上がっているそう。狙い目は’60年代のモデルまでだそう。

「L‐2はもともと人気がありますし、採用期間が2年程度ですから、滅多に出てこない。L‐2Aもエアフォースブルーが目立ちすぎたので使われていた時期が短く、数は少ないです。そうは言ってもL‐2Bも年々コンディションのいいものが減っていますから気に入ったら買っておいたほうがいい。

L‐2Bは、’60年を境にオレンジのライニング変更され、’60年代中期になるとジッパーエンドのフラップが省略されるんです。ヴィンテージ市場で人気のあるものは、その仕様までですね。あとライニングが縮んで短くなっているものも多いですから、いいサイズがあれば迷わないことです!」

覚えておきたいL-2シリーズの変遷。

ここではL-2の進化の過程を解説。色とディテールさえ覚えれば簡単にわかるL-2の歴史。歴代の4モデルの古着を探すときの参考にしてみてほしい。

【Type L-2 PROTOTYPE】試行錯誤を繰り返したテストサンプル。

採用期間:なし レア度:★★★★★

初のナイロン製フライトジャケットとして1949年に採用されたタイプL-2。レザーからナイロンへ移行するに当たり、多くのテストサンプルが作れられた。その中でも茶はレア

L-2の象徴的なディテールであるジッパーエンドのフラップも確認することができる
ボディのブラウンのナイロンに合わせて、リブも同色に。編地を途中で切り替えている
ライニングは、L-2と同じウールとレーヨンのもの。 全体的に縮みもなく、素 晴らしい状態
ジッパーはL-2にも使われるクラウンのもの。オキシジェンタブなどは省略されている

【Type L-2】約2年で打ち切られたカーキカラー。

採用期間:1949〜1950年 レア度:★★★★☆

ナイロンを使った画期的なフライトジャケットとして満を持して投入された。空軍の象徴であるエアフォースブルーをまとったL-2Aにその座を約2年で明け渡したので極少。

個体差かもしれないが、 若干フラップの形状が異る。L-2の象徴的なディテール
アーム部分にはMA-1と同じポケットが付いている。 交換されていないクラウ ンジッパー
この時代はオキシジェンタブにレザーを使っている。 後継モデルから化繊に変 更される
L-2のもうひとつのデザインのポイントが肩のエポレット。上記のテストサンプ ルでは省略

【Type L-2A】シンボルカラーのエアフォースブルーに!

採用期間:1951〜1952年 レア度:★★★☆☆

陸軍のイメージを脱却したかったのか、L-2Aにはシンボルカラーのエアフォースブルーを採用。しかし色が目立ちすぎるとの理由で短命に終わる。(ジェラード矢澤氏私物)

1951年に契約を結んでいたL.W.FOSTERS PORTSWEAR の名前がタグに入っている
袖のポケットはコンマー。 よく見ると生地の色が違っていて、ツートーンのように見える
オキシジェンタブも色が違って、かなりいい雰囲気に。これもヴィンテージの醍醐味である
わずかだがエアフォースマークのプリントが残っている。この擦れたエイジングがたまらない

【Type L-2B】MA-1同様に長期に渡って採用される。

採用期間:1950〜1970年代 レア度:★★☆☆☆

もとのカーキ色に戻り、L-2Bは後継のCWU36/Pが採用されるまで長く活躍。1961年よりライニングがオレンジに変更されるので、初期のモデルは人気と希少性が高い。

ジッパーはクラウンのもので、当時のオリジナルのまま。レザーの引き手が付く
腕にはアメリカ空軍のマークがプリント。ヴィンテ ージだと消えているものも よく見る
胸にはボディと同色のオキシジェンタブ。これも後に省略されてしまうディテ ールである
タグに示しているBLUE A NCHOR OVERALLは、1955年にコンストラクターを務めた企業

※情報は取材時のものであり、現在販売されていない場合があります。

▼フライトジャケットをはじめミリタリージャケットについてはこちらの記事をチェック!

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2023年07月17日

(出典/「Lightning 2016年12月号 Vol.272」)

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