【M-65】フィールドジャケットの歴史と市場価値。

  • 2021.11.01 2018.11.08
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世の中のハイファッションからストリートブランドまで、多大なる影響を与えたミリタリーウエアであるM-65フィールドジャケット。誕生から半世紀が経つ今もなお、米軍基地内ではPX品として販売され、個人装備での使用を認められている。その野戦用ジャケットの代表格を紐解いてみる。

布帛モノの野戦服としての高い完成度を持つ【M-65】。

M-65 Field Jacket+M-65 Fur Hood 野戦服のM-65には、その上から羽織る極寒用野戦服であるM-65フィールド パーカの別体式フードが単体で装着できる。このようにパーツ同士を組み合わせて、幅広い気候や温度域に対応できるよう機能的に進化した

軽量で保温性に優れた高機能アウターが、世の中には星の数ほど出回っている。だが、それに比べ機能面では遥かに劣るはずなのに、いまだM-65フィールドジャケット(以下M-65)ほど、秋冬の定番アウターとして存在感を失わないウエアは他にないだろう。

その成り立ちは朝鮮戦争で活躍したM-51フィールドジャケット(以下M-51)の後継として開発されることから始まる。M-51で使われていたコットン素材では機能性に限界があり、M-65ではナイロン混紡(もしくはサテン混紡)へと切り替わる。

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M-51フィールドジャケット

これはナイロンが持つ速乾性と堅牢性の特徴と、コットンの難燃性と吸水性の特徴を兼ね備えた生地に変更することで、従来より強度や機能性の向上が図られた。また防寒性を高めるため立襟へ変更し、従来は別体式であったフードを内蔵できる工夫も施された。そして着心地も進化しており、まず肩裏にアクションプリーツを設けることでジャケットが嵩張ることなく自由度の高い動きが取れるようになった。

そしてウールパイルのライナーからキルティングライナーに変更することで、保温力はそのままに軽量化を図る。その抜群に着やすく、そして従来よりも格段に機能性が進化したM-65は現場の兵士からも人気が高く、そして現場からの機能性に対するフィードバックも多く寄せられ、製造を重ねるごとに細かなアップデートが繰り返されていく。その様々な進化の途中で生まれては消えていったディテールは、ミリタリーファンの間で細分化され、定義化されていく。

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2018年11月05日

M-65に至る過程を、歴戦のフィールドジャケットで追ってみよう。

M-65を知るにはそこに至る過程を知ることに他ならない。M-65誕生までに、米軍におけるフィールドジャケットの変遷を追ってみよう。

第一次世界大戦頃のフィールドジャケットはチュニックと呼ばれたユニフォームジャケット。制服と野戦服を兼ねたような意匠で、機能性はあるようでないに等しいものあった。そしてその意匠はほとんど変わることもなく、第二次世界大戦に参戦してからやっとフィールドジャケットとしての重要性が高まることとなる。

だがひとつの意匠を改修していくような継続性が生まれるのはM‐43フィールドジャケットの登場を待たなければならない。でも様々な意匠を採用しては消えるという試行錯誤の連続があったからこそ、M‐65という完成形への道筋が見えたともいえる。

1.WWI Tunic Jacket

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カーキ色だが身体の線にぴったりフィットするようなシルエットをみると、やはり制服からの枠を抜け出せていない。軍隊という規律と礼儀を重んじる思想が軍装品に強く表れている。

2.WWII Mountain Jacket

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背面に大型のポケットを持つマウンテンジャケット。山岳部隊に支給され、重い荷物をポ ケットに収納するため、ライニングにハーネスがデザインされる。

3.WWII M-38 Field Jacket

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M-41フィールドジャケットの初期型といわれる通称M-38フィールドジャケット。M-41に比べポケットフラップやカフスなど手が込んだ造りとなる。

4.WWII M-41 Field Jacket

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第二次世界大戦が激化し、戦地の環境変化やジャケットの供給問題などを考慮して、当時民生品のウインドブレーカーの意匠を戦闘服へ転用する形で採用された。

5.WWII M-42 Jump Uniform

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空挺部隊のために米軍が支給したジャンプユニフォーム。大型ポケットを4つフロントにデザイン。また降下中に衣料がバタ付かないよう、ウエストベルトを装備する。

6.WWII M-43 Field Jacket

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M-65フィールドジャケットの起源ともいうべきアイテムがM-43フィールドジャケット。 第二次世界大戦中に支給された。細部は荒削りだが、基本的な意匠はM-65に受け継がれていく。

試行錯誤から生まれた【M-65】。その価値とは?

M-43の意匠をもとに、朝鮮戦争で活躍したM-51フィールドジャケットの後継として登場した【M-65】。M-65の優れた点は、この1着をベースに様々な気候や地形に対応できるということ。それゆえに世界中の軍隊の野戦服デザインに影響を与えた。

日本の自衛隊の防寒戦闘服外衣の上衣は、襟内部に収納さえた簡易フードなど、M-65に強い影響を受けている。そこで国内でも比較的多く流通するM-65と、’50年代のフィールドジャケットの市場価格を調査。サイズや程度によって価格は変動するのを忘れずに。まずはM-65への系譜となる’50年代のフィールドジャケットから順に見ていこう。

【M-50】フィールドジャケット

M-43の後継として短期間採用されたM-50フィールドジャケット。M-43との違いは、M-43がライナージャケットを重ね着するレイヤードシステムなのに対し、M-50からライナーをアウターに直接留めるライニングシステムになったこと。現存数は少なく、程度にもよるが相場感は1〜3万円ほど。

【M-50】フード

この個体は朝鮮戦争時に兵士個人が内部にムートンを貼りつけたカスタム品。本来は1枚布の簡易フードだ。安いものだと市場にて2000円前後で購入可。逆にカスタム物は状態が良ければ1万円〜2万円ぐらいに跳ね上がる。

【M-51】フィールドジャケット

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M-50の次に採用されたのがM-51フィールドジャケット。その大きな改修点は、M-50はフロントがボタン留めだったのに対し、M-51からフロントはジッパー仕様となり、前立てはスナップボタンとなったこと。ユーズドなら1万円以下で購入できる。

【M-51】ライナージャケット


M-51フィールドジャケットに装着するライナージャケット。片面ウールパイル仕様で、装着する際はウールパイル側を表にして装着する。近年、レディスの間でライナーを羽織るのが流行。こちらも1万円以下で購入可。

【M-65】フィールドジャケット 1stモデル

誕生は1965年とも’66年とも言われるが、実戦投入されたM-65の最初期型であるファーストモデル。M-51までデザインされていた肩のエポレットが、M-65最初期型へ切り替わった際に廃止され、丸みを帯びたシルエットが特徴。約1年間という短い製造期間のため、市場に出回る数は少ない。状態とサイズによるが1〜4万円ほど。

【M-65】フィールドジャケット 2ndモデル

M-65のセカンドは1967年から1971年まで採用。る映画『タクシー・ドライバー』や『セルピコ』で主人公たちが着用しているのがこのモデル。アルミジップはそのまま継承。ファーストで省略された肩のエポレットがセカンドモデルで復活しており、初期のセカンドには袖口ベルクロの上にマチがデザインされるが、高年式になると廃止。サイズや程度によるが相場は8000円〜1万円代。

【M-65】フィールドジャケット 3rd モデル

1972年から1980年代半ばまで採用されていたM-65サードモデル。映画『ランボー』でシルベスター・スタローンが着用していたのが、サードモデルと思われる。いままでアルミジッパーを使用していたが、このモデルからブラス(真鍮)ジッパーへと変更される。状態やサイズによってプライスが変わるが、製造期間が15年ほどと長く、コントラクター(納入業者)も多かったため6000円以下で買えることも。

こののち登場するのが「4th」。製造は1985年ごろから2000年代まで。フロントジップがYKKのプラスティック製になり、スライダー部分の破損や劣化は極めて少なくなった。湾岸戦争などでも活躍し、様々な迷彩モデルやカスタムモデルに派生していく。フロントのフラップに綿テープが付くなど、細かな仕様チェンジも多くみられる。2008年に最後の納入が確認されている。

【M-65】フィールドコート ミッチェルパターン

現存数が恐ろしく少ないのが、迷彩柄のM-65フィールドジャケット。軍規格生産品とローカルメイド品がある。この個体は希少なミッチェル迷彩生地を使ったモデル。他にもタイガーストライプも存在する。このミッチェルカモのM-65なら、相場として15万円以上はする。

【M-65】フード

M-65フィールドパーカの別体式フード。初期型のもコヨーテファーを採用しているが、以降は白いアクリルファーに変更される。数の少ない初期型のコヨーテファーであれば相場は1〜3万円、アクリルファーなら5000円以下で買えることも。

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2016年12月07日

(出典/「LIGHTNING 2018年11月号 Vol.295」)

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