「アメリカの有名なジーンズだよね」「501®とか505™ってなんだろう?」「ビンテージに興味があるけどよくわからない……」「どんな体系でも似合うモデルってある?」
そんなリーバイス初心者、ジーンズ初心者にもリーバイスがなぜ現在に至るまで愛されているのか、主なモデルやディテール、選ぶポイント、着こなし方などを紹介しつつ、その魅力をお伝えしていこう。これさえ読めば「買うべき1本」に出会えるはずだ。
リーバイスの代表作といえば、501®。
雑貨商として「丈夫な作業パンツが欲しい」という労働者にワークパンツを作っていたリーバイ・ストラウス。1873年に、リーバイと取引のあった仕立て屋のヤコブ・デイビスがリベット補強のアイデアを思いつき、リーバイが資金を提供する形でリベット補強の特許を取得。これがデニムの原点となる。
その17年後、いよいよ「501XX」というロットナンバーが与えられる。XX とはエクストラヘビーを意味しており、“丈夫で高品質” なデニム生地を使用している証。当時他にも存在していたデニムブランドとの差別化を図っていた。シンチバックやサスペンダーボタンが特徴であった。この「501XX」が現在も愛される「501®」の元祖である。
シルエットは足にまっすぐフィットする、「原点にして頂点」と形容されるのはストレートシルエットで、ボタンフライを採用している。どんな体系にも似合う最もポピュラーなデザインとなっている。
日本で「501®」が人気を集めた理由としては、1980年代にまず、スタイル・カウンシルのポール・ウェラーに代表されるフレンチシックスタイルなど、ヨーロッパのファッション(彼らは細いパンツを上品に穿いていた)から「501®」が脚光を浴びることに。ついで、1980年代後半から90年代の古着ブームではアメカジのアイコンとなる。革ジャンに「501®」、ブーツを合わせたハードなアメリカンスタイル「渋カジ」が流行し、街にたむろしていた反抗的な若者たち(=チーマー)は、バンソンの革ジャン、「501®」、エンジニアブーツにロン毛の渋カジスタイルが定番だった。そして現在でも変わらず愛されている不朽の名作である。
現在、「501®」はクラシックなストレートレッグのオリジナルフィットを中心に、スリムなテーパードレッグ、ストリート感漂うストレートなども登場。また、ヴィンテージのフィット感やディテールを再現した「VINTAGE CLOTHING(ヴィンテージクロージング)」、アメリカで生産される「made in the USA」といったコレクションでも「501®」がラインナップされている。
業界人の着こなしをチェック! アメカジの王道「501®」コーデはサイズ感で楽しむ。
西口さんの「501®」選びの基本はジャストサイズ。ただし色々な着こなしを楽しむため、サイズアップの大きめを絞って穿くことも。レングスに関しては絶対にジャスト丈を厳守する。しかも裾直しなどを経ていないモデルから吟味するのが西口流だ。着用モデルは501®ビッグE。大きめサイズを選んでおり、たっぷりした股上と相まって洒落たゆとり感が特徴的。
「何より〝普通〞であることが501®の魅力です。リーバイスが作り上げた、ザ・スタンダードなストレートシルエットは、普通にして唯一無二。たとえばドレスパンツは立体裁断やアイロンワークにて、考え抜かれた美観を完成させています。しかし労働着を原点とする501®は、そういった補正のない言わば真逆の存在。つまりそのまま穿いただけではお洒落に見せるのは難しい。自分らしい意図をしっかり込めて装う必要性、アレコレ考えて穿きこなす楽しみがあるアイテムだと思います」
続いて「GMT」名物プレスの三浦さんが着用しているのは、1960年代のリーバイス「501®Big E」、いわゆるタイプ物と呼ばれるヴィンテージデニムはビッグサイズでサスペンダーを使用して着用している。ゆったりとしたシルエットがお気に入りなのだとか。
「デニムがアメリカでファッションとして認知し始めたのは1960年代終わりころから。それまでは労働着として作られていてファッション性は皆無。体型や骨格にも差があり、外国人のようにカッコ良く穿くには無理があると思っていて、ボク自身、基本的にはシュッとしたシルエットが好きなので、ジャストで穿くには、当時の501は似合わないんです。それに気づいてからは、オーバーサイズで穿いたり、変わり種のデニムでアクセントを付けたりしてデニムスタイルを楽しんでいます」
小学生からヴィンテージに興味を持ち始めた大貫さんは、現在に至るまで数々のデニムを穿き、その経験を活かし自らもオリジナルのデニムアイテムを作り出すスペシャリストだ。
「ギャラ入りの[501XX]で、3 ~ 4 年前に古着店で見つけた一本です。春先になるとうすい色のデニムが履きたくなりますね。見る限りリペアがされておらず、かつ僕のジャストサイズでベストなレングスでした。薄色なのにノンリペアでここまで状態のいいこの年代のモノって本当に少ないんですよ。デニムでも何でも、ファッションとして着る前提で買うのでジャストサイズとなるとさらに希少で。この条件を満たしたXXは生涯で2本目……自分にとって価値を感じるパンツです」
※ビッグE・・・1966年以降はビッグEと呼ばれるモデルに移行。赤タブのLEVI’Sロゴの文字の太さなどでも年代がわかる。
編集部おすすめの「501®」を紹介!
MADE IN THE USA 501® 2万2000円
エイジング加工で均一に色落ちしたこちらの501®は、カジュアルな春先の着こなしに映えそう。ここからガンガンに穿いて自分だけの色落ちを試してもいいだろうし、今の状態を保って穿いても、マルチに使えそうだ。
LEVI’S® VINTAGE CLOTHING 501® XX 1947MODEL 3万2400円
第二次世界大戦時の物資統制が解け、ウォッチコインポケットのリベットやオリジナルのボタンなどが復活した1947年モデルは、ヴィンテージ市場でレザーパッチの片面と呼ばれるもの。ヴィンテージのデニムと同じ手法で生産されるコーンミルズ社ホワイトオーク工場の12.25オンスのセルビッジデニムを使用。ワークウエアからファッションへシフトした名作中の名作だ。
【問い合わせ】
リーバイ・ストラウス ジャパン株式会社
TEL0120-099-501
http://www.levi.jp
501®と並び人気が高く、よりファッション的な「505™」。
労働者のためのウエアとして誕生した「501®」とは異なり、最初からファッションとして誕生した「505™」は、「501®」のようなワークウエアらしい無骨さが抑えられたシルエットとなっている。「505™」の元となる「501ZXX」は、1954年、脱ぎ着が面倒なボタンフライを嫌う東海岸の若者に向け、ジッパーフライモデルを採用してジーンズとして登場。アイビーリーガーを中心に愛され、アメリカ全土へジーンズが広がるきっかけとなった名作だ。
「501®」と同じく、レギュラーフィットでストレートレッグのシルエットの「505™」。大きな違いとしては、先ほど挙げたジッパーフライであることのほかに、ウエストにジャストで履く「501®」に比べやや股上が浅く、程よい深さになっていることが挙げられる。そして、同じストレートレッグではあるが、「505™」は裾に向かってすっきりとしたややテーパードしたストレートになっており、よりスタイリッシュな着こなしが可能だ。
業界人の着こなしをチェック! おしゃれにキマる「505™」はどんな体系にもぴったり。
テーマは” 大人ヴィンテージ”。’70sのブルックスブラザーズの6個ボタンダウンシャツや、’40sのタイプP-41 HBTジャケット、リーバイス505™のビッグEなど、シンプルながら動きやすいサイズセレクトも含め、大人ならではのこだわりが随所に見える。大人の着こなしにも505™はぴったりだ。
フロントボタンタイプのコーデュロイジャケットは、スタジアムジャンパーを思わせるデザインで、フロント左胸と背面にモーターサイクル系のワッペンが付けられている。パンツはリーバイス505™だが、1960年代当時に生産されていたセルビッジ付きのデニムを着用。ワンロールアップでかっこよく決まっている。
普段あまりジーンズを履かない柳さんが紹介してくれたのはリーバイスの定番「505™( Big E)」。
「デニムを穿く場合も、例えば501®のブラックや517™のストレッチ素材など、変化球ばかりです。このモデルも505™ではあるんですが、ポイントは“デカ穿き” しているところ。ウエストが38もあるので、ベルトでおもいっきりギュッと締めて穿いた時のシルエットが独特で面白いんです。お尻周りがダボッと余る感じも不格好で逆にいいなって。シルエットで遊びを効かせているので、コーデ自体はシンプルですね」。
編集部おすすめ! 「505™」の前身、復刻した「551Z」。
アンディ・ウォーホルを筆頭に、東海岸のファッショニスタに愛された「505™」の前身であり、初のプリシュリンク(防縮加工)ジーンズとして知られる「551Z」をオマージュ。オリジナルよりゆとりがあるものの、程よいテーパードシルエットでブレザースタイルとも好相性。
【問い合わせ】
リーバイ・ストラウス ジャパン株式会社
TEL0120-099-501
http://www.levi.jp
流行の兆し! 今もっともおすすめしたいブーツカット「517™」。
トレンドというものは回るもので、ブーツカットが再燃の兆し。ヴィンテージデニムブームも手伝い、古着のブーツカットにも注目が集まっている。渋カジブームやヴィンテージブームの時にも盛り上がったのが、リーバイスの「517™」。リリースされたのは1971年。ジッパーフライを採用し、お尻から太ももまでタイトに、裾に向かって緩やかに広がるシルエットが特徴的だ。
▼ブーツカット人気についてはこちらの記事をチェック!
ファッション通の着こなしをチェック! 寛いだユルさとモダンな洒落感が絶妙に共存する「517™」。
実弟の手掛ける古着系ユーチューブに出演し、知る人ぞ知るファッションアイコンとなった将軍さん。独自の美意識を持った古着ファンとしてフォロワーも多い。
「僕はアメリカンヴィンテージからこの道に入りました。しかし現在は、ゴリゴリ系ではなくカジュアルなミックススタイルを楽しんでいます。だからジーンズも501®ではなく517™。90年代のリーバイスはスッキリ色落ちするところが特徴です。ジャストサイズだと細すぎるので、最近は2サイズ上のゆるい感じで穿いてますね」。
数年前に古着店で購入したオールドリーバイスの「517™」。購入時からうっすらペイントが施されていたものの、さらに自身でペイントを加えることでお気に入りの1本へと仕上げた。
リーバイス517™は、裾に向かって緩やかに広がるブーツカットモデルで、1970年代のカジュアルシーンを代表するスタイル。裾は丈上げせずに大胆にカットオフされている。
「初めて買ったデニムは、実はリーバイス501®ではなく、10代の頃、地元で購入した1970年代のオレンジタブが付いたスラックスタイプのパイプドステムのようなデニムでした。いまとなっては、穿く機会はほとんどありませんが、処分せずに持っています。それからというもの501®はもちろん、505™、517™など、定番と呼ばれるデニムはさんざん穿いてきました。だからこそ見えてきた、もうちょっとシルエットがとか、バランスがこうだったら良いななど思えるようになって、自分でちょっとしたカスタムをして穿くようになったんです」
定番の501®、505™、517™以外にどんな種類のタイプがある? 番号の意味とは?
定番のストレートジーンズ「501®」「505™」、ブーツカットの「517™」を紹介してきたが、もちろんほかにもたくさんロットナンバーとシルエットが存在する。ここでは現行品に絞ってピックアップして紹介。シルエットの違いがわかれば、自分にぴったりのジーンズを見つけられるはずだ。
ストレートジーンズ
もっともベーシックなシルエット。足にまっすぐフィットする。
501・・・リーバイスの代表作。ボタンフライ。股上は普通。どんな体系にも合うベーシックなスタイル。
505・・・501®に比べてお尻と太ももにかけてゆとりがある。裾に向かってすっきりとしたストレート。どんな体系でも◎。
551Z・・・股上が浅めで、裾にかけてテーパードがかかったビンテージテイスト感じるシルエット。
569・・・腰回りと太ももにゆとりがあり、且つだぶだぶには見えない、ウエスト周りのやや下で着用するストレート。
ブーツカット
膝から裾にかけて広がっているデザイン。
517・・・ジッパーフライを採用し、お尻から太ももまでタイトに、裾に向かって緩やかに広がる。
リラックスフィットジーンズ
最もゆとりのあるリラックス度の高いジーンズ。
550・・・501®よりもゆとりのあるシルエットで股上も深め。リラックスしたフィット感。
559・・・550™よりもややお尻から裾までゆとりのあるストレートジーンズ。ややローライズ。
スキニー
ぴったりとした最もタイトなシルエット。
510・・・太ももから裾までぴったりとした最もスリムなジーンズ。ストレッチ性が高い。やせ型におすすめ。
スリム
ストレートとスキニーの間のシルエット。
511・・・スキニーとストレートの間のフィット感。股上は浅めでストレートよりすっきりとした印象。
テーパードジーンズ
ストレートの裾周りが細くなるデザイン。
502・・・太ももあたりはゆったりとしつつ裾にかけて細くなるシルエット。
512・・・511™のスリムの裾をテーパードにしたシルエット。全体的に細めなデザイン。やせ型におすすめ。
▼ジージャンについてはこちらで詳しく解説してます!
ビンテージ入門! 知っておきたいリーバイスの見分け方。
昨今の古着ブームによってヴィンテージリーバイスに興味を持つ人も増えている。そこでまずはじめに知っておきたいのが、年代によってデザインが異なるということ。第二次世界大戦中の物資不足を反映した「大戦モデル」、大戦によって無駄なディテールが省かれ、ファッションアイテムとしての完成形に限りなく近づいた「501」最高の名作「1947年モデル」など、それぞれに特徴があるのだ。
ヴィンテージリーバイスを見分けられれば、予算と相談しつつ、コンディションや色落ちを見極め、掘り出し物をゲットすることだって可能に! 年代別の特徴を知ることとともに、ディテールごとに見分けるポイントを覚えておくとベストだ。
リーバイスの年代ごとの特徴を貴重なアーカイブから知る!
ジーンズの歴史はリーバイスの歴史と言っても過言ではない。リーバイス501の変遷を追えば、それぞれの年代の特徴を知るだけでなくジーンズの歴史を知ることもできるのだ。
まずは年代によって異なる特徴を押さえよう。
年代で異なるディテールの見分け方をマスター!
年代ごとの特徴を押さえたら、次はディテールを見ながら見分けられるようになれば完璧だ。ポケット、ボタン、リベットなど13か所にもわたるチェックポイントを覚えよう!
◆
なんとなく聞いたことがあるロットナンバーの意味を知り、ディテールの違いがわかるだけでも、リーバイスでお気に入りの一本を見つけやすくなるはずだ。さらにはヴィンテージリーバイスを復刻している、いわゆる「レプリカブランド」の新作を探すときにもどんなシルエットかすぐに判断がつくことだろう。せっかくなら、奥深いヴィンテージリーバイスにも足を踏み入れてみてほしい。
(出典/「2nd 2021年6月号 Vol.171」「Lightning 2021年10月号 Vol.330」「Lightning 2022年4月号 Vol.336」)
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