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松葉製作所の一生モノ『亀甲名栗木製パームレスト80mm』を試す

  • 2024.04.18

超高品質な木工製品を作る広島県府中市の『松葉製作所』。実はクルマのエンジンの木型を作るのが本業で、そのために硬い木材を超精密に削る技術に長けている。同社のiPhoneケースは1枚板からの削り出しで、0.01mmまで調整して削るので、最薄部は2mmという超精密な製品。その松葉製作所が販売する『亀甲名栗木製パームレスト80mm』も、工芸品と思えるような仕上がり。

ちなみに、松葉製作所の亀甲名栗パームレストは数年前から販売されているが、今回ご紹介するのは2月にPFUダイレクトから発売されたHHKB専用バージョン。コンパクトなスペースに設置できるように、標準モデルでは110mmある奥行きが80mmに設定されている。

亀甲名栗木製パームレスト80mm(パープルハート差込特別Ver.)(松葉製作所製)
https://www.pfu.ricoh.com/direct/hhkb/hhkb-option/detail_pz-mtb80knc.html

亀甲名栗のパームレスト

PFUから、「一度試してみて下さい」と送られてきたのは、『亀甲名栗木製パームレスト80mm』のパープルハート差込特別Ver.。木の素材はブラックチェリー。

いってみれば、1枚の木の板なのに3万8500円という価格はなかなかしびれるが、工芸品のような加工を目の前にすると納得はできる。長時間手に触れている道具にはお金を使ってもいいというのは、多くのガジェットマニアが理解していることだろう。

筆者などは、四六時中デスクに座ってパソコンのキーボードを叩いているのだから、手のひらを置いているパームレストにはお金をかけてもいいと思っている。

本製品の最大の特徴は、『亀甲名栗』という独特の加工だ。

名栗って何?

実は、筆者の実父は彫刻家で、木彫を教えていた美術大学の教授でもあったので、こういう加工には馴染が深いのだが、名栗とはノミ(鑿)や、チョウナ(釿)で、木材を削った時にできる削り跡を活かした加工のこと。

ご覧のように削り跡が上手く模様にならなければならない上に、削り過ぎなどが許されないほぼ一発勝負の連続だから、非常に熟練した職人の腕が必要になる。

当然のことながら、この加工は松葉製作所の職人によって手作業で行われている。微妙に異なる削り跡は、手作業で作られているから、ひとつとして同じものはない。

昔の家の門扉や、柱、飾りルーバーなどに使われた加工で、筆者の実家の一部にも突き鑿名栗や、亀甲名栗が使われていたので、この模様を懐かしく思う。古い家に住んでいる方は、探してみれば、家のどこかにこういう加工を見つけれることができるのではないだろうか?

ちなみに、筆者の実家は戦後、’60年代に建てられたものだったが、近年リフォームしており、名栗の加工の部分はなくなってしまった気がする。今度、帰省したら、どこかに残ってないか、探してみようと思う。

実際に使ってみると、この名栗の微妙な凹凸が、手のひらのパームレストに当たる部分に実に心地いいのだ。

平板のように手のひらが張り付いてしまうことなく、適度に動かしやすく、密着しておらずしかし、グリップ感はあるという絶妙な状態なのだ。手前に向けて落ち込む微妙なカーブもフィット感がいい。

まだ、使い始めて数日だが、すでに手が非常に馴染んでしまっている。

ひずみを防ぐために溝を切り、パープルハートを差し込んである

このパームレストの工夫はそれだけではない。

一枚板の木は、湿度によってひずむ性質がある。これは木の自然な性質だ。水分を含む量によって、木目にそってあるていどの捩れが発生する。

松葉製作所の『亀甲名栗木製パームレスト80mm』には、その捩れを防ぐために、奥と左右にスリットが入れられ、違う木材が挟まれている。

松葉製作所で販売している製品には縞黒檀が差し込まれているが、PFUダイレクトで販売される80mm幅のものには、パープルハートという木材が挟まれ、美しいアクセントになっている。

ブラックチェリーは北米産で、昔から高級家具材として使われてきた素材。

パープルハートは中南米やブラジル南部から供給される木材で、非常に美しい紫色の木材で、こちらも高級家具などに使われる。

この加工はふたつの木材を組み合わせることで、美しいアクセントになっているとともに、ひずみを防ぐ工夫にもなっているのだ。手前側には挟まれていないので、このパームレストが1枚板を削り込んで作られていることが分かるが、スリットはピッタリ噛み込むように作られており、松葉製作所の加工技術の高さを表してもいる。

さらにひずみを抑制する削り込みと、本物の焼き印

背面は少し削り込まれて肉抜きされている。これは肉厚になるより、湿度による捩れが起こりにくいからなのだそうだ。

反りというのは、板材の中の水分量が表と裏で異なるから発生する。松葉さんによると「段差を設け導管をあらわにすることで、水分の出入りがスムーズに行われるのではないか?」とのこと。繊細なiPhoneケースを作る中で得られたノウハウだ。

削り込んだ部分には、『松葉製作所』のロゴが刻印されている。この刻印も、レーザーカットや電気ゴテではなく、火で熱した焼きゴテによるもの。ちょっとした色ムラが、風合いとなっている。

付属のみつろうクリームを塗って、エイジングを楽しむ

さらに、商品には、手入れ用のみつろうクリームとすべり止めシートがセットになっている。

まだ、新品の状態なので、塗る必要はないが、表面が乾燥してきたら、みつろうクリームを塗ると、より良い風合いになっていくらしい。自分で使い込んで手入れをしたら、より良い風合いになっていくというのはよい道具の条件だ。何年も使い込んでエイジングされていくと、どういう色になっていくのか、今から楽しみだ。

特殊なすべり止めシートは好みのセッティングで

裏面に貼ることのできるすべり止めシートは、GRIPLUSという素材。スポンジ素材などいろいろ試して、最終的にここにたどり着いたのだそう。この製品専用の形状にカッティングしてあるという。薄いが非常にグリップ感が強く、置いた位置から頑として動かなくなり、むしろキーボードの方まで安定させる感じ。

実は、この部分は筆者はいろいろ試したのだが、個人的好みとしては、身体の位置に合わせて、キーボードとパームレストをチョイチョイ動かしながら使うので、グリップし過ぎると困ることもある。

ただ、すべり止めシートを貼らない状態だと動き過ぎる。

というわけで、しばらく使って「奥側だけ貼る」という微妙な状態に活路を見いだした。こうすると打鍵する時は安定するし、ちょっとズラしたい時は手前側から持ち上げてズラせばいい。

みなさん、机のグリップ感も違うことだろうから、このあたりはご自身に最適なセッティングを模索する楽しみというところだろう。

HHKB Studio専用オプション付きも用意

亀甲名栗木製パームレスト80mmには、『ジェスチャーパッドガイド付き』も用意される。普通にパームレストを合わせると、HHKB Studioの特徴であるジェスチャーパッドが使えない。そこで、削り込まれたレール上の板材を組み合わせることで、ジェスチャーパッドを使えるようにしようという工夫だ。

HHKB Studio専用 ジェスチャーパッドガイド&亀甲名栗木製パームレスト80mm セットは4万4000円となっている。

HHKB Studio専用 ジェスチャーパッドガイド&亀甲名栗木製パームレスト80mm セット
https://www.pfu.ricoh.com/direct/hhkb/hhkb-option/detail_mtb80knc-mtbstugc.html

木の板に数万円……と思われるかもしれないが、自分がずっと使う、手に触れている道具を自分の好みにチューニングできる。それを木工職人の方がワンオフで作って下さって、さらに自分で手入れしてエイジングしていけると考えると、満足度は高い。

文章を書いたり、コーディングしたりしてキーボードを使い続ける方なら、この機会に一生もののパームレストをオーダーしてみてはいかがだろうか?

(村上タクタ)

 

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