実録! デニムの色落ちレポート【色落ちのメリハリがますます出てきて仕上がってきた編】

ジーンズ愛好家がもっとも楽しみにしているのはデニムを穿き込んで育てること。育てる? どういうこと? なんて人もいるかもしれないけれど、デニムは穿き込むことで色落ちし、生地が変化し、穿き手それぞれのライフスタイルが刻まれるかのように経年変化していくのがおもしろさのひとつ。それが「育てる」ということなのだ。特にジャパンブランドのデニムは、ヴィンテージジーンズさながらの生地や仕様を踏襲しているモデルが多く、経年変化の美しさは群を抜く。そこで、1本のジーンズがどのように色落ちしていくかをレポートするのがこの記事なのです。10回目となる今回は、前回から大幅な変化はないけれど、さらに経年変化が進み、色落ちのメリハリが出てきたぞというお話。

まずは穿き始める前の新品をおさらい。

レポートするのは雑誌ライトニングと日本のデニムブランド「ピュアブルージャパン」がコラボし、誌面で受注販売したマルチインディゴ・クラシックストレートが実験台。

通常のインディゴ染めの生地(14オンス)と、本藍染めデニム(バックヨークとベルトループに使用)の2種類の生地を使っている(さらにポケットスレーキにはライトオンスのデニムを使用)ので、それぞれの色落ちもレポートしていきたいところ。

シルエットはクラシカルなスタイルをイメージしたゆったりとしたストレートなので、バリバリのヒゲは出ないと思うけど、生地の凹凸が激しいスラブ感のあるデニムはピュアブルージャパンならではの色落ちが期待できる。

ちなみに前回までの記事は下記で確認されたし。

実録!! デニムの色落ちレポート【猛暑の夏前編】

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実録! デニムの色落ちレポート【真夏の修行編】

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実録! デニムの色落ちレポート【酷暑の夏は汗との戦い編】

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実録! デニムの色落ちレポート【夏よさらば編】

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実録! デニムの色落ちレポート【季節の変わり目に洗濯したぞ編】

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実録! デニムの色落ちレポート【やっと半年の穿き込み。タテ落ちがはっきりと出てきた編】

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実録! デニムの色落ちレポート【穿き込みも半年経過。タテ落ちのメリハリが出てきた編】

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実録! デニムの色落ちレポート【クルマイジリで汚れて久々に洗濯したぞ編】

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2024年03月21日

実録! デニムの色落ちレポート【色落ちがはっきり出てきて雰囲気増し増し編】

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2024年04月19日

もはや修行ともいえる「ほぼ毎日穿き」でどうなった?

どんなにジーンズが好きでも毎日のように同じジーンズを穿き続ける人はそれほどいない。いろいろなジーンズを穿きたいし、コーディネイトだって毎日同じジーンズでは楽しめない。

でも、ここではそんな気持ちを押さえて「ただただ穿く」ことによって、一般ユーザーよりも速いデニムの経年変化をお届けしようと始めた月刊レポート。いよいよ穿き込み期間も10カ月になり、もはや下ろしたてのジーンズの雰囲気は皆無。

普段の生活で摩擦が生まれる部分や、手で触ることが多い部分にははっきりと色落ちが生まれ、正面の腿部分にはヴィンテージデニムさながらのタテ落ちが生まれてきた。

さらに半年を越えてきたころから色落ちの激しい部分は白みが強調されるようになり、普段あまり接触が無い部分はインディゴが濃く残るという「メリハリ」が顕著になってきた。

ヒゲやアタリ、パッカリングといったジーンズ特有の色落ちもはっきりと生まれてきて、このまま穿いていけばさらにメリハリは強調されていくんだと想像。むふふである。

パッと見では、フロントの腿、膝部分のタテ落ちが進行し、全体的にも白っぽさが強調されるようになってきた。とくに膝部分は地面に着いたり、こすれたりすることが多いせいか、遠目に見ても色落ちははっきり。フロントは骨盤周りに生まれるヒゲも育ってきている。

一応、1年間は穿き続けるぞというコンセプトの元に穿き込んでいるので、そろそろゴールが見えてきた。

さらなる経年変化を期待して、めげずに穿き込んでいきますよ。というわけで各ディテールの変化をお届けする。

色落ちの白さが次第にはっきりと。かなりの色落ち&経年変化が確認できる。

正面腿、膝部分。やはり摩擦が多い部分というだけあってはっきりとその表情にタテ落ちが確認できるように。タテに走る線状の色落ちが良い雰囲気。とくに摩擦が激しい部分は白さが強調されてきて、インディゴとのコントラストがはっきりとしてきた。気がつけば膝の生地はふっくらと張り出している。

ヒップ部分。普段ベルトで締め上げている腰帯やバックヨークのパッカリングは色落ちがかなり進行して立体感が増し増しに。ヨーク部分に採用している本藍染めの生地は青みが薄くなったような。ヒップのインディゴデニムにもはっきりとタテ落ちが確認できるように。バックスタイルの印象はかなりワイルドになった。

フロント腰周り。フロントのポケット口は普段からスマホやらキーホルダーやら小銭入れやらを入れていて、頻繁に出し入れをするせいか色落ちが他の部分よりも進行が速い。さらにフロントポケット周りにヒゲもはっきりと生まれてきた。頻繁に洗濯をしないので、生地にヒゲの凹凸が記憶され、より色落ちが進んだ様子。フロントの前立て部分の端もかなりの色落ちに。

サイドシームの外側は内側に生地のセルビッジ部分がくることからセルビッジに沿ってタテに白みがかった色落ちがはっきりと生まれてきた。その間に生まれる波状のアタリもはっきりと成長。チェーンステッチで仕上げた裾上げ部分もパッカリングに合わせて色落ちが進行している。

床に自然に置いたところ。フロントのヒゲは左右2~3本が確実に生まれているのは洗濯をあまりしていないせいで、生地がクセを記憶してしまっているから。生地のタテ落ちとあいまってこれまた良い雰囲気に。よく見るとフロントポケットにあるウォッチポケットもかなり色落ちしていることがわかる。ここは生地がヨコに使われているためタテ落ちではなくヨコ落ちになっている。

普段バックパックを背負っているおかげで生まれたバックのセンターにあるベルトループのダメージ。これも気がつけばほころびが進行している。まだ切れるほどのダメージまでは進行していないけれど、いずれ切れてしまうかも。ベルトで締め上げている腰帯はレザーパッチ周辺に負担がかかるのか、かなりの色落ちになっている。

右のバックポケットは常にレザーのロングウォレットを入れているおかげで、ウォレットのカタチに色落ちがはっきりと。ポケット上部両端は隠しリベットがあるせいで、他の部分よりも白さがはっきりとしている。バックスタイルはもはやヴィンテージさながらの表情に近づいている。普段穿きのジーンズとしての「こなれ感」が出てきた。

【基本データ】
トータル穿き込み期間:約10カ月
穿き込み頻度:週6日程度
トータル洗濯回数:5回

この記事を書いた人
ラーメン小池
この記事を書いた人

ラーメン小池

アメリカンカルチャー仕事人

Lightning編集部、CLUTCH magazine編集部などを渡り歩いて雑誌編集者歴も30年近く。アメリカンカルチャーに精通し、渡米歴は100回以上。とくに旧きよきアメリカ文化が大好物。愛車はアメリカ旧車をこよなく愛し、洋服から雑貨にも食らいつくオールドアメリカンカルチャー評論家。
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