【クルマ専門店ガイド】空冷フォルクスワーゲンの老舗専門店。フラットフォー|神奈川県横浜市

クルマの専門店をクルマとともに紹介していく好評連載『プロショップ・カーガイド』。今回訪れたのは、空冷フォルクスワーゲンの専門店として創業46 年の歴史を誇る老舗、フラット4。これまで長らく東京の目黒通り沿いに店舗を構えていたが、昨年末に横浜本牧へと移転してリニューアルを果たした。ショップには余裕のあるカスタマーパーキングが併設。2階は広いショールーム、1階にはフラット4 が所有するコレクションカーが展示され、販売車両も数多くストックされている。これから空冷VW に入門したい人にもお勧めのショップだ。

老舗フォルクスワーゲン専門店が、広いショールームやパーキングを備えた店舗に移転リニューアル。

店内には数多くのパーツがディスプレイされているほか、貴重なコレクションカーの展示も行われている。またショールーム一角にはレストアされたヴィンテージジュークボックスが展示販売される

創業から長きにわたって東京の世田谷や目黒で店舗を構えてきたフラット4だが、昨年末に横浜本牧に移転。駐車場を併設した広いショールームとなった。

パームツリーがそびえる店舗には、アメリカンなオールディーズが流れ、ジュークボックスやネオンサインが並ぶ居心地のいい空間になっている。店舗は本牧通り沿いにあり、ムーンアイズエリアワンからも程近くアクセスも良好。今回はリニューアルしたフラット4で、おすすめの2台を紹介してもらった。

車両を紹介してくれたのは、フラット4で広報業務などを担当するスタッフの川崎さん。自らもキャルルックにカスタムしたビートルに乗るVW愛好家だ

近年、ザ・ビートルやニュービートルといった『ビートル』の名を冠した新車が発売されたが、そのオリジナルともいえるのが1938年にドイツで生産が開始された空冷エンジン搭載の『タイプⅠ』。

その後、輸出先のアメリカで西海岸を中心にキャルルック(California Look の略)と呼ばれる空冷VWのカスタムカルチャーが生まれる。これはホットロッドと同様にドラッグレースに出場するストリートレーサーから派生したスタイルだ。

1967 VOLKSWAGEN TYPE-1 “CAL-LOOK”

この車両は北米に輸出された’67年式のビートルをベースにフロントの車高を下げ、北米仕様はダブルバンパーとなるところを、あえてシンプルなシングルバンパーにコンバート。すっきりとした見た目にするのもキャルルックの定番ともいえる手法のひとつ。

フロントの車高を下げたシンプルかつスポーティなスタイルと、ドラッグレースで培ったチューニングエンジンがキャルルックの基本。リアからチラリと見えるマフラーもハイパフォーマンスを連想させる

この時代のエンジンは1300ccや1500ccとなるが、この車両はクランクやピストンを交換し、エンジンの排気量を2007ccまで拡大。これにツインキャブを装着することで、純正の倍近いパワーを手に入れている。

エンジンはロングストローククランクやボアアップピストンを使用して組まれた2007ccのチューニングエンジン。ツインキャブを装着することで驚くほどパワフルに走ることができる

ちなみにリアフード上部が浮いているのは、エンジンルーム内の熱を効率よく排出するため。リアバンパー下にチラリと見えるマフラーと共に、スポーティな見た目にもひと役買っている。

専用のブラケットを使用してリアフード上部を浮かせるのは、エンジンルームの排熱を目的としたもので、スポーティな見た目にも貢献している
ホイールは、FLAT4とENKEIがコラボレーションしたFLAT4/ENKEI 5スポークをチョイス。フロントの車高を下げ、ひとまわり小さなタイヤを装着
ステアリングは’60年代にアメリカでポピュラーだったEMPI社製をFLAT4でリプロダクションしたもの。シフトレバーはショートストロークのアメリカGENE BERG社製
シートは純正と同じブラックのレザレットで張り替えられ、フロアにも新品のカーペットを貼りなおすことで、まるで新車同様の状態

フォルクスワーゲン社はビートル(タイプⅠ)の成功を追い風に、派生モデルを続々登場させる。まずは’50年にワンボックス型ボディを持つトランスポーター(タイプⅡ)を、そして’61年により現代的な3ボックスデザインのボディを持つVW1500(タイプⅢ)を発売する。

1967 VOLKSWAGEN TYPE-1 “CAL-LOOK”
全長:4079mm
全幅:1539mm
全高:1501mm
ホイールベース:2400mm
エンジン:空冷水平対向4気筒
排気量:2007cc
燃料供給方式:ツインキャブ
駆動方式:RR
乗車定員:5名
価格:518万円

1969 VOLKSWAGEN TYPE-3 NOTCHBACK AUTOMATIC

デビュー当時ビートルには1200ccのエンジンが搭載されていたため、タイプⅢは排気量の大きなエンジンを搭載した高級車だったのだ。ちなみにエンジンはビートルと同じ水平対向4気筒となるが、補器類のレイアウトを変更することで、エンジンをトランク下に配置。これによってフロントとリアにトランクを持ち、ビートルと比べて格段に荷物も収納できるようになった。

エンジンはビートルとは異なり背の低い補器類を使用し、リアトランクスペースの床下に収まっている。そのためビートルとは異なりリアにも荷物を収納可能。排気量は1600ccで、ツインキャブを装着する

タイプⅢは最初にデビューした3ボックスのノッチバックに加えて、後部がステーションワゴンの形状となったスクエアバックとスポーティなファストバックがラインナップに追加される。ビートル同様大きな形状変更をすることなく進化を続けるが、’74年にビートルよりもひと足先に販売を終了してしまう。

丸みを帯びたボディのビートルとは異なり、一般的な3ボックスセダンデザインとなったタイプ3。ホイールは純正のスティールホイールで、アルミ製のトリムリングでドレスアップされている

今回紹介するのは、’69年式のノッチバックで、この前年に登場したオートマッチック仕様という貴重なモデルだ。ただでさえビートルと比べて現存台数が少ないタイプⅢで、これほどのコンディションをキープした車両は非常に希少な存在だ。

内装もシートカバーが備わるが、その下にはオリジナルのブルーファクリックのシートが残る。またオプションのスライディングルーフを装備し、開放感のある車両となっている。

シートにはブラウンチェックのシートカバーが装着されているが、この下にはオリジナルのブルーファブリックのシートが新車当時のまま残る
このクルマは非常に珍しいファクトリーオプションのスライディングルーフを装着。開放感が高く人気のオプションだ
ビートルとは異なり、立体的なダッシュには3 連のメーターが配置される。中央のスピードメーターは160km/hフルスケールとなる

1969 VOLKSWAGEN TYPE-3 NOTCHBACK AUTOMATIC
全長:4225mm
全幅:1605mm
全高:1475mm
ホイールベース:2400mm
エンジン:空冷水平対向4気筒
排気量:1584cc
燃料供給方式:ツインキャブ
駆動方式:RR
乗車定員:5名
価格:386万円

【DATA】
FLAT4
神奈川県横浜市中区本牧和田12-4
TEL045-305-6900
営業/10:00〜18:00(土日祝は19 時まで)
休み/無休(GW、夏季休暇、年末年始を除く)
https://www.flat4.co.jp/

※情報は取材当時のものです。

(出典/「Lightning2023年1月号 Vol.345」)

この記事を書いた人
Lightning 編集部
この記事を書いた人

Lightning 編集部

アメリカンカルチャーマガジン

ファッション、クルマ、遊びなど、こだわる大人たちに向けたアメリカンカルチャーマガジン。縦横無尽なアンテナでピックアップしたスタイルを、遊び心あるページでお届けする。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

遊びをぎっしり詰め込んだ“俺ジーンズ”を作ってみた。

  • 2026.07.29

児島に本社と工房を置くベティスミスでは、その人に合ったジーンズをフルオーダーで作ることができる。そこで編集部スタッフが現地へ赴き、わがまま言い放題の“俺だけのジーンズ”をオーダー。その様子と完成品をレポートする。 編集・ジョージ(右)|編集部イチのジーンズ偏愛者といっても過言ではない。とんでもないジ...

変わらぬ美学に宿る新たな意匠。「アリゾナフリーダム」の今季注目は『浮唐草』

  • 2026.08.03

ARIZONA FREEDOMのものづくりは、受け継がれてきた美学を守りながら、新たな表現を追求し続けている。今季は、立体感のある彫刻で唐草を表現した「浮唐草」が登場。伝統的なモチーフに新たな息吹を吹き込み、ブランドの世界観をさらに進化させている。一方で、創業以来愛され続ける定番モデルも、その普遍的...

朗報!「ウエアハウス」最高峰レーベルの最高傑作DDシリーズ「1001XX」が待望の再入荷。これは見逃すな!

  • 2026.08.02

ミクロレベルまで研究し、古着と見間違うほどのプロダクツを現代に蘇らせるウエアハウス。当時の生産技術や時代背景までも丁寧に掘り下げられて完成した服は、限りなくヴィンテージに近い存在だ。そんな彼らが生み出す服こそ、オーセンティックと呼ぶにふさわしい。 「1001XX 1947」が近日入荷。夏の装いに欠か...

高額商品もお得にゲット! 夏の“福”を呼ぶオンラインフェス「イナズマ福袋フェア」8月15・16日開催

  • 2026.08.04

真夏のオンラインフェスの開催が決定! 今回はなんと“福袋”。人気ブランドの人気アイテムを袋に詰め込んで販売するぞ。中身は開けてのお楽しみ。もちろん恒例の2日間ライブ配信も。さらに○○グランプリも開催。オンラインショッピング会場には1000円の入場料がかかるが、LIVE配信、抽選会、○○GPは参加無料...

Pick Up おすすめ記事

「ATSU LEATHER WORKS」が世に放つ、唯一無二の革パンエイジングモデル。

  • 2026.07.22

ライダースジャケットの世界で独自のエイジング表現を追求してきたアツレザーワークス。その哲学を受け継ぐ初のレザーパンツ“Lily”が誕生。いちから着用者のライフスタイルを刻み込むプレーンモデルと、長年穿き込まれた表情を職人技で再現したエイジングモデルをラインナップ。革をより幅広い季節、幅広いスタイルで...

高額商品もお得にゲット! 夏の“福”を呼ぶオンラインフェス「イナズマ福袋フェア」8月15・16日開催

  • 2026.08.04

真夏のオンラインフェスの開催が決定! 今回はなんと“福袋”。人気ブランドの人気アイテムを袋に詰め込んで販売するぞ。中身は開けてのお楽しみ。もちろん恒例の2日間ライブ配信も。さらに○○グランプリも開催。オンラインショッピング会場には1000円の入場料がかかるが、LIVE配信、抽選会、○○GPは参加無料...

【連載】ビートルズのことを考えない日は一日もなかった

  • 2024.02.05

80年代、私的ビートルズ物語。 ビートルズ研究と収集に勤しむビートルデイズを始めて早44年(Since1980)。 なにをするにもビートルズが基準だった『昭和40年男』編集長のビートルズ史を、 当時の出来事とともに振り返ります。

変わらぬ美学に宿る新たな意匠。「アリゾナフリーダム」の今季注目は『浮唐草』

  • 2026.08.03

ARIZONA FREEDOMのものづくりは、受け継がれてきた美学を守りながら、新たな表現を追求し続けている。今季は、立体感のある彫刻で唐草を表現した「浮唐草」が登場。伝統的なモチーフに新たな息吹を吹き込み、ブランドの世界観をさらに進化させている。一方で、創業以来愛され続ける定番モデルも、その普遍的...

ジャパンレザーの集大成がここに。AJLP始動。

  • 2026.08.06

ALL JAPAN LEATHER PRODUCT。略して「AJLP」なるビッグプロジェクトが始動した。国産の原皮=地生(じなま)にこだわり、鞣しから縫製まですべてを日本で行う“オールジャパン”に価値を見出し、そのクオリティや魅力を伝えるべく、革のプロフェッショナルたちがここに集結した。 ALL J...