【リノベーション倉庫③】元・除虫菊の保管庫をリノベした、海沿いのトタン倉庫カフェ。|和歌山・有田

和歌山県有田市の地域性や気候を感じられる建物、それが倉庫だった。除虫菊の保管庫だった頃に使われていた設備を随所に残し、コーヒーを飲みながら当時の作業風景に想いを馳せる。地元の風を感じられるオープンなカフェだ。倉庫を利用しているので、人との距離は遠く、自然を近くに感じることができる空間へ……。

トタンの壁をくり抜いた窓から紀伊水道の海を望む「rub luck cafe」。

和歌山県有田市は、みかんの主産地として知られているが、実は蚊取り線香の原料、除虫菊の主産地でもある。海岸線に佇む、かつて除虫菊の保管庫として使われていた倉庫は、2008年にリノベーションが施され、「rub luck cafe」という名の広々とした気持ちのよいカフェに生まれ変わった。

店の看板類は台風の日に飛ばされて、そのままなのだそう。それゆえに、一見するだけではカフェだと気がつかない、秘密基地のような佇まい。山を背景に外壁のクリーム色が際立つ

土日祝日しか営業していない同店。クリーム色のトタンで覆われた外観には、店の看板らしきものもなく、一見すると本当に倉庫だ。厨房が作られた一階には、当時のままの床と、荷下ろし用のリフトが今も残っている。木製の階段などは新たに作ったもので、どれも無骨な雰囲気を醸している。

天井は除虫菊倉庫の頃のまま。正面のくり抜 かれた窓からの採光のほかは照明器具はわずかで、その手前のステージ向きにソファを配置

チーク材の床板が美しく残る二階は、大空間の客席。ミュージシャンを呼んで音楽イベントをするというときに、当時空いていた床を塞いで、ステージを作った。紀伊水道の海を望む窓は、トタンの壁をくり抜いたワイルドなもので、日中は木で支えて開けておくという。側面の白く塗られた板は、製材所の知り合いから、安値で売ってもらったもの。テーブルや椅子も、知り合いからの貰いものが多いとか。

倉庫感の残る1階。むき出しの鉄骨がいい感じ

店主の半田雅義さんは、そんな素敵な繋がりに感謝する一方、自由度が高く、遊び心を持てる倉庫に魅力も感じている。

「秘密基地のようなものを目指して作りました。だから窓にサッシを付けることもできたけど、くり抜くだけに留めたんです。台風など、風雨が本当にすごいときはさすがに閉めますけどね(笑)。でも、本当はそういうところもお客さんに見せたい。ここは夏暑く、冬寒い。目の前に海があって、自然と共に生きている感じがするんです。
ただ良い景色が見たいだけなら、もっといい所があると思うんです。倉庫を改装したこの場所でしか感じられないものを感じてほしい。僕らはそういうところも楽しんでやっています」

地下足袋が似合う半田さんの個性が、空間にも現われていた。

倉庫として使われていたころのリフト。現在は音楽イベント時など大きな機材を運ぶ際に現在も使用する
2階の壁の倉庫時代の換気扇は木の縁取りを取り付けてインテリアのようにしている

むき出しになった天井の鉄骨やリフトがこのカフェの魅力。広々とした空間に、間を置いて設置されたソファやテーブル。スペースに余裕があるので、プライベート感さえ感じるのもこの店ならでは。“秘密基地” という言葉がぴったりな空間をぜひ味わってみてもらいたい。

【DATA】
rub luck cafe(ラブラックカフェ)
和歌山県有田市千田1470-2
TEL0737-83-0028
営業/11:00〜日没
休み/平日(土日祝日のみ営業)
http://proyect-g.com/rubluckcafe/

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(出典/「Lightning 2018年2月号 Vol.286」)

この記事を書いた人
めぐミルク
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めぐミルク

手仕事大好きDIY女子

文房具、デザイン、ニッポンカルチャーなどのジャンルレスな雑誌編集を経てLightningへ。共通しているのはとにかくプロダクツが好きだということ。取材に行くたび、旅行するたびに欲しいものは即決で買ってしまうという散財グセがある。Lightningでは飲食、ハウジング、インテリアなどを担当。
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