「SUZUKI(スズキ)」の歴代バイクと代表作「ハヤブサ」とは?

  • 2021.10.24  2020.06.25

遠州地方(現在の静岡県西部)の織機メーカーから世界中に広がるモーターサイクルと小型自動車のメーカーへと転進したスズキ。時代を先取りした製品造りから生まれたのが、究極のスポーツバイク“ハヤブサ”だ。ハヤブサ誕生までの歴代バイクの系譜を追いながら、スズキ、そしてハヤブサの魅力に迫る。

ハヤブサ誕生までのスズキの歴史。

繊維を反物に織る織機で身を興した創業者の鈴木道雄は、モータリゼーションの到来を予見して、戦前から自動車の開発に着手。終戦から5年後の’50年、自転車に装着するモーターバイクのパワーフリーを発売する。当時、遠州地方を中心にモーターバイクのメーカーは数多くあったが、排気量を必要最小限の36ccとすることで価格を抑えたパワーフリーは、大ヒットとなった。

その後、プレスフレームを採用したモーターサイクルのコレダ、前輪駆動方式を採用した軽自動車のスズライトを発売。スズキは、オートバイと小型自動車のメーカーとして発展して行く。特に2輪車では、量産バイク初の水冷方式を導入したGT750、レーサー譲りのアルミフレームとフルカウルを採用してレーサーレプリカブームを巻き起こしたRG250、GSX-R、さらに油冷方式を採用したGSX-R750など、時代を先取りした製品造りがされていた。

そして、そうしたスズキスピリッツの集大成といえるのが、スーパースポーツを超える究極のバイクとして、“アルティメットスポーツ”という新しいコンセプトを掲げ、’99年に登場したGSX1300Rハヤブサだ。空力に優れた車体に、175psを発揮する新開発の水冷DOHC並列4気筒エンジンを搭載。世界最速のバイクとして称賛された。さらに’08年のモデルチェンジによって、その地位は確固たるものとなった。

ハヤブサまでにスズキが手掛けたヒット作を年代を追ってみていこう。

1909年 鈴木式織機

浜松市で農家に生まれた大工職人だった鈴木道雄が、1909年(明治42年)に創業した鈴木式織機製作所がスズキの前身。戦前の’36年に自動車の試作が行われたこともあったが、終戦後も織り機の製造が続けられた。

1952年 パワーフリーE1

後の二代目社長となる鈴木俊三が、遠州地方特有の強い風でも楽に乗れるようにと、自転車に装着する補助エンジンの開発を開始。パワーフリーE1はその最初の製品で、自社製の36cc2サイクルエンジンを採用していた。

1955年 コレダCOX

スズキ初の4サイクル単気筒を搭載して’54年に発売された90ccのコレダCOを、`56年に新設される第2種原付免許に合わせて123ccとしたコレダCOX。同排気量で2サイクルのコレダSTもあった。

1955年 スズライト

創業者で社長の夢であったスズキ初の量産自動車。360cc空冷2サイクル2気筒を搭載した軽自動車で、国産車で初のFF(前輪駆動)方式を採用。写真のセダンのほか、ライトバン、デリバリーバン、ピックアップもあった。

1962年 RM62

’60年から世界GPへの挑戦を開始したスズキは、’62年、マン島TTレースの125ccクラスでRM62を駆ったE.デグナーが初優勝。さらに翌年、同50ccクラスで伊藤光男が日本人で初めて(マン島TTレースでは唯一)の勝者となった。

1970年 ジムニー

ラダーフレームや固定車軸を採用し、高い機動力を発揮する四輪駆動車。維持費の安い軽自動車(しかも税制が優遇される商用車)でありながら、大型車に迫る実用性から大人気となった。現在も後継車が販売されている。

1971年 GT750

’65年発売のフロンテ800で量産経験のあった水冷2サイクル3気筒エンジンを搭載した、スズキ初のナナハンスポーツ。当時のカタログには「4ストローク6気筒に匹敵するバランス」と謳われていた。

1977年 GS750

ハヤブサへとつながる4サイクル4気筒車。オイルショックや環境規制の流れから、コレダCOX以来となる4サイクルを採用したGSシリーズ。空冷DOHC2バルブ並列4気筒の750と2気筒の400があり、後に550と1000が加わった。

1982年 GSX750S

日本人の魂を具現化した歴史に残る名車。空冷DOHC4バルブ並列4気筒のGSX1100をベースに、ドイツ人デザイナーのH.ムートが日本刀をイメージしてデザインした“カタナ”。国内では、当初ハンドルがアップタイプでスクリーンのないGSX750Sが発売された。

1985年 GSX-R750

油冷方式を採用した大型レーサーレプリカの元祖。’83年に登場したRG250、翌年デビューのGSX-Rに続く大型車初のレーサーレプリカ。DOHC4バルブ並列4気筒は、シリンダーヘッドをオイルで冷却する油冷方式を採用していた。

1999年 GSX1300R

世界最速の座を目指して開発された究極のマシン。GSX-R1100のレーサーレプリカスタイルから決別し、アルティメットスポーツという新しいコンセプトを掲げて登場したフラッグシップ。1軸バランサーを備えた水冷DOHC並列4気筒は新設計。

2008年 ハヤブサ1300

初期型の美点を残しながらヨーロッパの排ガス規制ユーロ3への対策を期に第2世代へと進化したハヤブサ。排気量を1299ccから1340ccに拡大して、最高出力も175psから197psへアップ。ボディデザインは一新され、足まわりも大幅に改良された。

そして2014年に登場した、国内仕様として凱旋したスズキのフラッグシップ「隼(ハヤブサ)」。

ハヤブサは初代以来、輸出仕様を逆輸入する形で国内へ導入されてきたが、’14年に海外仕様と同等の最高出力145kW(197PS)を維持しつつ、日本の騒音規制に適合した国内仕様が登場。国内の2輪車で初めてETC車載器を標準で装備している点も注目を集めた。

  • エンジン:DOHC水冷4サイクル直列4気筒
  • 排気量:1339cc
  • 全長:2190mm
  • 全幅735mm
  • 全高:1165mm
  • ホイールベース:1480mm
  • 最低地上高:120mm
  • シート高:805mm
  • 車両重量:266kg
  • タンク容量:21L
  • 最高出力:145kW〈197PS〉・9,500rpm
  • 最高トルク:155Nm〈15.8kgf・m〉・7200rpm
  • Fタイヤ:120
  • 70ZR17M
  • C(58W)
  • Rタイヤ:190
  • 50ZR17M
  • C(73W)
  • 変速機形式:常時噛合式6段リターン
  • 販売価格:160万9200円

独特の有機的なエアロフォルムは、マン・マシン一体のワンピースコンセプトによって、あらゆる乗車姿勢で高い整流効果を発揮する。

1339cc水冷DOHC並列4気筒エンジンは、145kW(197PS)の最高出力だけでなく中低速でのトルクを稼ぎ、乗りやすい特性を実現。

油圧で作動する湿式多板クラッチには、エンジンブレーキによる後輪のスリップを抑制するバックトルクリミッターを装備する。

フロントブレーキは、従来のツーピース構造に比べ軽量かつ高剛性のブレンボ社製ラジアルマウントモノブロックキャリパーを採用。

メーターは、回転計と速度計、燃料計、水温計の4つのアナログタイプを装備。中央には液晶インフォメーションパネルを備える。

縦型2灯式ヘッドライトと左右ラムエアインテークの外側に配置されたフロントウインカーが、隼のアイデンティティを主張する。

オーナーに聞くハヤブサの魅力とは?

2005 GSX1300R HAYABUSA/オーナー勝田力也さん|’05 年式のハヤブサと 23 年間乗り続けているハーレーのチョッパーを、 気分に応じて乗り換えているという勝田さん。どちらに乗るときも着るレザージャケットは、ラングリッツのコロンビアで、フルオーダーしたたけに着心地が抜群だという

空冷Vツインのハーレー・リジッドチョッパーと、4気筒のロードスポーツという両極端なバイクが好きだと言う勝田さん。4気筒のロードスポーツは特にスズキの油冷エンジンが好きで、GSXーR750やGSF1200を乗り継いできたが、最も速いスズキのロードスポーツに乗ろうと思ってハヤブサを選んだという。

「ヨシムラを連想させるパールクリスタルレッド×パールネブラブラックが設定されていることから、’05年モデルをあえて探して購入しました。実際に乗ってみたら、パワーがあってスピードが出るというだけでなく、油冷エンジンのような低回転域のトルクもあって、とても運転しやすいのに驚きました。これからもずっと乗り続けたいですね」

左上)上段がマルチリフレクターのロービーム、下段がプロジェクターのハイビームという縦2灯ライトは、個性的なフロントマスクを形成。右上)フロントブレーキは、φ320mmフローティングディスクとトキコ製異径対向6ポットキャリパーを組み合わせたダブルディスク。左下)ハンドルバーが差し込まれているブラケットはトップブリッジとは別部品で、振動を低減するためにラバーを介して固定されている。右下)勝田さんは、ステップをストライカー製のバックステップに交換。取り付け穴を変えることでステップの位置を6カ所から選べる。

【問い合わせ】
スズキ
TEL0120-402-253
http://www.suzuki.co.jp

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(出典/「Lightning 2017年5月号 Vol.277」)

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