アメリカンファッションとカルチャーを長年追ってきた雑誌「ライトニング」では、「ブーツの教科書」と題して、幾度となくブーツについて掘り下げてきた。その知識と経験をもとに、秋冬のファッションの基本となる「ブーツ」に関する、マスターすべき “お約束” を徹底的に紹介する。
購入する際に知っておきたいブーツの種類、定番のブランドの紹介から始まり、カッコよく着こなすためのロールアップ術やファッショニスタたちのコーディネイト例まで。日々のメンテナンスの仕方も完全網羅。ブーツ初心者からブーツラバーまで知っておきたいブーツにまつわるあらゆることをお届けする!
そもそもメンズブーツにはどんな種類があるの?
メンズ向けのブーツといえば、大きく分けて「レースアップブーツ」系と「プルオンブーツ」系の2つがある。着脱のしやすさの違いだけでなく、ファッションと合わせたときのバランス、フィット感などが異なるので、いろいろ試してみるといい。もともとワークブーツとして用途に合わせて紐のありなしなどデザインが決まった経緯があるので、そのあたりもチェックしてみると面白いだろう。人気のデザインをピックアップして紹介しよう。
【人気No.1】ハンティングブーツ
レースアップブーツを代表するデザイン「ハンティングブーツ」。その名の通り、狩猟用に開発されたもの。英国の上流階級のスポーツではなく、アメリカでの狩猟に使われたものを指す。狩猟が盛んなミネソタ州に本拠を置く、レッドウィングによって1950年代に生み出されたトラクション・トレッド・ソールのモデルを装備したモデルが代表格。日本では1990年代ストリートカジュアルにおいて一世を風靡した。
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【人気No.2】エンジニアブーツ
プルオンブーツの定番といえばエンジニアブーツだろう。今でこそタウンユース、バイカーなど幅広く愛されているが、もともとは飛行機や列車のエンジニアのために作られたもの。つま先を保護するためのスチールトゥ、工具や金属片から足を守る肉厚なレザーのシャフト、グリップ力のあるソールを装備している。
紐は巻き込み防止のため省かれ、ベルトでホールドするという目的から計算されたデザインもまた、無骨で男らしさ漂う所以だろう。
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【人気No.3】サイドゴアブーツ
近年人気を集めているデザインであるサイドゴアブーツ、別名チェルシーブーツ。英国発祥で、もともとヴィクトリア女王のために作られたものが発祥と言われている。
特徴としては、プルオンブーツでありながらフィット感とスマートさを合わせ持つ点。両サイドに施されたゴムにより、脱ぎ着のしやすさはもちろん、ホールド力も兼ね備える。英国ではフォーマルなシューズであったが、19世紀後半ごろからアメリカでは大衆的な靴として広がった。
そのほかの代表的なメンズブーツの種類と目的を一覧でチェック。
【レースアップブーツ系】
- ロガーブーツ・・・森林での作業用
- ハンティングブーツ・・・狩猟用
- チャッカブーツ・・・砂漠行軍用
- マウンテンブーツ・・・登山用
【プルオンブーツ系】
- エンジニアブーツ・・・鉄道など整備工用
- ウエスタンブーツ・・・乗馬靴
- ファーマー&ローパーブーツ・・・農作業など
- モカシンブーツ・・・屋外作業用
- サイドゴアブーツ・・・元々はヴィクトリア女王のために誕生
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メンズに人気のブーツブランドってどんなのがある? まずは知っておきたい4大ブランド。
いざ、シューズショップやセレクトショップ、百貨店の靴売り場に出掛けたとき、どんなブーツブランドがあるのか知らないと探すのも一苦労。それぞれのブランドには誕生の背景、歴史、得意とするものなど特徴がある。ここでは、日本における定番中の定番、知っておきたい4つのブランドを紹介する。
【人気ブランド①】RED WING レッドウィング
王道中の王道「レッドウィング」。アウトドアシーンやワークシーンのものであったレッドウィングは、日本においてファッションアイテムとして発展。「877」「875」をはじめ、ペコスやエンジニアなど、今日もストリートファッションの中心にある定番ブランドである。
【人気ブランド②】WHITE’S BOOTS ホワイツブーツ
一度は手に入れたいと誰もが思うであろう、キングオブブーツ「ホワイツ」。創業はなんと南北戦争以前の18世紀半ばというから驚きだ。今もなお昔ながらのハンドメイド製法を守り続けており、メイド・イン・USAを貫いている名門。一生モノのブーツといえば、ホワイツと言われる憧れのブランドだ。
【人気ブランド③】WESCO ウエスコ
ホワイツと双璧を成す、至高のブーツといえば「ウエスコ」も外せない。創業こそ1918年と後れを取るが、ロガー、ラインマン、消防士といったタフな現場で働く男たちの足元を守ってきた、創業100周年を迎えた老舗だ。現在も手仕事による大量生産を行わないモノづくりを貫き、特にカスタムオーダーには定評がある。
【人気ブランド④】DANNER ダナー
メンズブーツの中でも、アウトドアブーツは最新技術の粋を集めた、機能性が注目されるブーツだ。「ダナー」は1932年の創業以降、アメリカで初めてビブラムソールを使ったシューズを開発、1960年代にはマウンテントレイルで注目されアウトドア業界で一躍知名度を上げた。1979年には、今では当たり前のように使われてるゴアテックスを世界で初めて採用したダナーライトを開発。アウトドアブーツ界の最高峰のブーツだ。
世界のブーツブランド、注目の日本ブランド人気ランキング31選。
ワークブーツ、ドレスブーツ、アウトドアブーツなど、メンズのブーツは様々なシーンやTPOに合わせて作られている。ワークブーツといえばアメリカのイメージが強いが近年では日本製が世界中で注目の的に。
先ほど紹介した4つのブランドに加え、ブーツ好きなら誰もが知っている各分野で高い評価を受けているブランドをここでは紹介する。それぞれがナンバーワンと呼ぶにふさわしいブランドであり、順番は優劣ではないのであしからず。世界のブランドと日本製と分けてリストアップしたので全部知っているかチェックしてみて。
世界のブーツブランド18選
- RED WING レッドウィング・・・ワークブーツの王道ブランド
- WHITE’S BOOTS ホワイツブーツ・・・ブーツ界の最高峰
- WESCO ウエスコ・・・至高のカスタムブーツ
- DANNER ダナー・・・アウトドアブーツの最高峰
- ALDEN オールデン・・・アメリカ紳士靴ブランドのトップ
- Paraboot パラブーツ・・・フランス生まれの名門が作る登山靴
- Tricker’s トリッカーズ・・・英国王室御用達! カントリーブーツといえばここ
- Crockett&Jones クロケット& ジョーンズ・・・世界で最も多くの木型の種類を持つ、英国老舗
- DR.MARTENS ドクターマーチン・・・ストリートにおけるアイコン的ブーツ
- Clarks ORIGINALS クラークス オリジナルズ・・・英国を代表する軍靴にしてデイリーブーツ
- BUCO ブコ・・・一旦は消滅した伝説的モーターサイクルブランド
- VIBERG ヴァイバーグ・・・伝統製法を守るカナダの老舗ブーツメーカー
- Timberlandティンバーランド・・・保証付き完全防水ブーツといえば
- RIOS of MERCEDES リオス オブ メルセデス・・・“キング オブ カウボーイブーツ”
- BENSON SHOES ベンソンシューズ・・・欧州の靴文化を支えた、地中海・カサブランカの老舗
- Lewis Leathers ルイスレザーズ・・・気品漂う英国生まれのライディングブーツ
- RUSSELL MOCCASIN ラッセルモカシン・・・タウンユースでも人気の定番アウトドアブーツブランド
- CHIPPEWA チペワ・・・スネークブーツなど革新的なブーツを開発
日本製ブーツブランド13選
- Rolling dub trio ローリングダブトリオ・・・究極の日本人の足に合うブーツ
- CLINCH クリンチ・・・シャフト細めのスタイリッシュデザイン
- MOTOR モーター・・・革人形作家の本池氏がディレクション
- Attractions アトラクションズ/BILTBUCK ビルトバック・・・バイカーから圧倒的支持を集める
- MAKERS メイカーズ・・・上品且つエイジングも楽しめる
- BROTHER BRIDGE ブラザーブリッジ・・・浅草発のヘリテージ感が魅力のブランド
- RFW アールエフダブリュー・・・独自のカッティングが光るデザイン
- SLOW WEAR LION スローウエアライオン・・・日本人の足型に合うオリジナルの木型を使用
- SKOOB スクーブ・・・個性的な一足が手に入る浅草発ブランド
- DERIVE BOOT MAKER ディライブ ブート メーカー・・・オーダーとカスタムに定評あり
- 安藤製靴/PULSE パルス・・・日本生まれのアウトドアシューズ
- LONE WOLF ロンウルフ・・・シュガーケーンが手掛けるブーツブランド
- goro ゴロー・・・登山家憧れのアウトドアシューズ
▼それぞれのブランドの詳しい情報はこちらの記事をチェック!
メンズブーツの鉄板ファッションコーデを指南!
カッコいいブーツを手に入れたら、どんなファッションに合わせるか、コーディネイトは楽しみであり悩みの種になることも。ブーツのデザインによって似合うボトムス、ロールアップの仕方も変わる。さらに秋冬ではなく、春夏に履く場合、どんなコーデなら暑苦しく見えないのか。そしてバイカーなら、バイカーらしいブーツの流儀を押さえて着こなしたいところ。注目の鉄板コーデをチェックしよう。
【チノパン×レースアップブーツ】
例えば9インチのレースアップなら、このようにカカトが見える丈のパンツを選ぶか、ロールアップするとバランスよく決まる。トップスが重たくなる冬だからこそ、裾がだぶつくともたついた印象になってしまうので、細かなディテールが大事になってくる。
【デニム×エンジニアブーツ】
Lee 101Z に’60sのダブルHウエストのエンジニアを合わせたヴィンテージコーデ。濃紺のストレートデニムを履くことが多いが、丈は少しクッションが着くくらいでロールアップせずにヒールで踏まない程度の長さが目安。バイクに跨ると裾が上がることを踏まえた長さだ。
【デニム×ミリタリーブーツ】
ヴィンテージアイテムを使ったコーディネイトの成功例。米国海軍の名作フィールドブーツであるN-1フィールドブーツにはリーバイスの505Eをロールアップして短め丈で攻略した。デニムの裾ひとつで、全体のバランスがカッコよく決まり、やぼったく見えなくなるので、ロールアップはこだわるべきポイントだ。
【バイカー×エンジニアブーツ】
紐の巻き込み防止の心配もないエンジニアブーツは、バイカーコーデの必需品。愛用ブーツは「ALL AMERICAN BOOT×GLAD HAND JOYRIDE」。街乗りやタウンユースで3年間履き続けた結果、地色の茶が浮き出たヴィンテージのようなエイジングに。週一でオイルとクリームを使ってメンテをしているだけあって光沢感が素晴らしい。アメリカ製らしい野暮ったいシルエットを活かしたバイカーコーデに仕上げている。
▼ブーツコーデサンプルもチェックしよう!
ブーツを購入する前に知っておきたい、メンテナンス方法。
ブーツラバーの仲間入りしたら、メンテナンスについても知っておきたい。ブーツのお手入れは基本的には年に2度ほどで問題ない。写真のように、ブラシ、クロス(塗りこみ用・拭き上げ用)、オイル(革の種類で変える)の3点があれば簡単に自分でもメンテナンスは可能だ。
また、革によっては防水性のものあるが、ラフアウトなど汚れやすいものは防水スプレーを施しておこう。保管にも、カビが発生しないように通気を考え、シューツリーを使うのがベスト。難しく考えなくて大丈夫だが、日ごろからちょっとした気遣いをお忘れなく。
▼お手入れと保管について詳しい記事はこちら!
(出典/「Lightning特別編集 ザ・ブーツバイブル」「別冊Lightning vol.190 ブーツの教科書」「Lightning2019年12月号」)
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