一度は消滅しつつも、モーターサイクルギアとしてのスピリッツを継承し続ける「BUCO」の革ジャン。

モーターサイクルシーンが急拡大した第二次世界大戦終了後、高品質を追い求めたプロダクツを生み出していたBUCOも急成長を遂げる。時代の変化と共にブランドは一度消滅となるも、現在はヴィンテージリプロダクションにおいて世界的に評価の高いThe REAL McCOY’SがBUCOの精神を引き継ぎ、生産を手掛けている。単なる復刻に留まらない、進化を続けるラインナップに迫る。

これまでもこれからも最高品質を追い求め。

ホースハイドの文字と馬のイラストが描かれる、ヴィンテージと全く同デザインのブランドタグ。高級感の漂う鉄紺色にゴールドの刺繍で、最高品質と評されるBUCOの存在感を際立たせている

軍事での使用を目的とするものは品質の良し悪しが人命に関わってくるため、常にハイクオリティが求められる。皮肉なことながら第二次世界大戦において軍事用として活用されることになったモーターサイクルも、これまでのクオリティから飛躍的な進化を遂げることとなった。

第二次世界大戦終了後、モーターサイクルの目的は趣味としてやファッションのひとつへと移り変わる。同時に、バイクに乗る際に着用するジャケット=モーターサイクルジャケットの需要が急拡大し、様々なメーカーからレザーのライダースジャケットが発売される。戦時中にレザープロダクツを軍へ納入していたBUCOもこの市場へと参入。JH-1の誕生から改良を重ね、現在に至るまで語り続けられる名作J-24やJ-100などのモデルが誕生したのだった。

The REAL McCOY’S本社に保管されているヴィンテージの看板。レザージャケットではなくモーターサイクルジャケットと表記されていることからも、バイクシーンでの着用を前提とされていたことが窺い知れる

高品質のホースハイドを使用し、ライダーの為に改良が続けられ、常にハイクオリティを追い求める製品作りを行っていたものの、ヘルメットを主軸とした生産体制へと舵を切ったことにより1970年代に消滅してしまった。そして現在はヴィンテージリプロダクションにおいて世界的評価を受け続けるThe REAL McCOY’Sが手掛けることにより、ハイクオリティを追求したBUCOが受け継がれている。

ヴィンテージウエアをそのまま再現するのではなく、最高品質のホースハイドとパーツを使い、現在のライフスタイルのなかでより着用しやすいようにアップデートが続く。そう、当時のBUCOがそうだったように、最高品質を求め続けるあくなき探求心はいまもなお継承され続けている。

1950年代当時の雑誌広告記事。描かれている人物は男性のみならず女性の姿もあり、女性ライダーからの需要も多くあったのだろうと想像がつく。身体を守るためにもセットアップでの着用を提案していたため、ジャケットのみならずレザーパンツも掲載されている

J-24 ¥275,000_

1953年に誕生した、BUCOの最高傑作とも呼ばれるモデルJ-24。Dポケットとその上に付くコインポケットや斜めに付くスラッシュポケットなど、ライダーに必要な機能を追求した結果として生まれたフロントデザインが目を惹く一方、エポレット部分の装飾やスナップボタンは全てシルバーで統一され、全体の雰囲気が洗練された印象を受ける。着用を重ねるごとに鈍い光沢へと経年変化する金属パーツと、革全体に現れるシワと茶芯。この堂々たる出で立ちは唯一無二で、多くの人が魅了され続ける理由のひとつだ。

1950年代頃に使用されていた真鍮製ジッパーを忠実に再現したThe REAL McCOY’Sオリジナルジッパーを使用。着用するごとに鈍く光る経年変化にも期待したい
各ポケットには菱形のタロンジッパーが用いられる。動くたびに揺れるそのデザインがアクセントにも
エポレットにはシンプルなシルバーパーツが付属。さりげない装飾が洗練された印象を際立たせている
同モデルの代名詞として継承されるD型のポケット。このモデルの機能美の真髄とも言えるだろう

J-100 ¥198,000_

モーターサイクルが競技として確立された以降はレーサー向けの商品開発が行われるようになる。そのなかで生まれたのが、シングルライダースジャケットの最高傑作と呼ばれるJ-100だ。レース用途として開発されたものはより軽くすることを考えたのか、裏地が付かない簡素なシャツタイプのデザインだった。後に一般流通をする際には裏地が付き、保温性や袖通しの良さ、耐久性など、ジャケットとしての完成度を高めるように改良が施された。写真はジャケットタイプだが、The REAL McCOY’Sではシャツタイプも手掛けている。

スタンドカラーの襟先にはBUCOの文字が刻印されるスナップボタンが付属。装飾がほとんどないフロントデザインのアクセントにもなっている
胸ポケットにはJ-24と同様の菱形タロンジッパーが付属。左右対称の一文字が潔く、シャープな印象
フロントジッパーもJ-24と同様のマッコイジッパーが用いられるが色はシルバーになる。スッキリとした印象となるのは、黒とシルバーのみのカラーリングも大きい
ライダースジャケットを代表するディテールとして挙げられる袖口のジッパー。扇形のタロンジッパーを使用

JH-1 ¥275,000_

BUCOがライダースジャケットを作りだした最初期に作り上げたモデルがこのJH-1だった。やや大き目の襟やスナップ式のウエストベルトなど、どこかアビエイタージャケットの流れを汲んだデザインが残る。このモデルから、よりライダースジャケットの完成形を目指す探求が始まったとされる、ブランドを語る上で欠かせないモデルだ。

このモデルの象徴的なデザインのスナップボタン式のウエストベルト。クラシカルな印象が強いディテールだ
馬のイラストやホースハイドの文字が入る前の簡素なタグ。創業者の名前が記されている
ウールライニングが付くことから、防寒着としての着用もしやすい

J-82 ¥297,000_

1950 ~ ’60年代頃に実在したJ-82ジャケットをベースに、キルトパッドのカスタムオーダーが施されたジャケットをイメージして誕生した。オリジナルのモデルはこの年代頃から大量生産へと舵を切ったことによりカウハイドへと変更されていくが、あえてホースハイドで作られているのも、BUCOのスピリッツを継承し続けている証だ。

ベルトパーツはレザーと同色のものを使用。ベルトを閉めずに着用する際も雰囲気を損ねない
背面上部、肩、肘に付けられるキルトパッドが目を惹く。デザイン性のみならず、実際にバイクに乗るうえでも心強い仕様
ポケットのジッパーは同年代の物と同じ菱形タロンが付く

【DATA】
THE REAL McCOY’S TOKYO
Tel.03-6427-4300
https://therealmccoys.jp

※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。

(出典/「CLUTCH2022年10月号 Vol.87」)

この記事を書いた人
CLUTCH Magazine 編集部
この記事を書いた人

CLUTCH Magazine 編集部

世界基準のカルチャーマガジン

日本と世界の架け橋として、国外での販路ももつスタイルカルチャーマガジン。本当に価値のあるモノ、海外記事を世界中から集めた、世界基準の魅力的コンテンツをお届けする。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

全16色! 10年以上のロングセラーを誇る「HEATH」の名作ネルシャツが超人気なワケ

  • 2026.09.30

秋冬のアメカジ服の定番、ネルシャツ。横浜のセレクトショップHEATHが手がけるオリジナルブランドBLUE PORTのネルシャツが10年以上のロングセラーを誇るとのことで、その人気の秘密に迫る。 【理由①】優れたコストパフォーマンス ディテールやシルエットにもこだわった高いクオリティに対して、なんと税...

2ndとEDWIN両チームの世代の異なる4人が集結! EDWINと考えるトラッド学

  • 2026.09.15

本誌でも何度も紹介してきたEDWINのコンセプトショップ限定アイテムは、普遍的なデザインとそのクオリティの高さから2ndが理想とするトラッドスタイルともばっちりハマる。今回は初の試みとして、2ndとEDWIN両チームの世代の異なる4名で“EDWINで作るトラッド”を考えてみた。 20代らしくアクティ...

いつもの装いに、頼れる履き心地。この秋は、コートスニーカーとチロリアンシューズがあればいい

  • 2026.09.18

トラッドな装いになら、足元はやっぱり品よくいきたい。でも、履き心地だってこだわりたい。そんな欲張りな気分に応えてくれるのが「ロックポート」。クラシックな佇まいと快適さを両立した2足を紹介する。 品よく履けて、しっかり快適 「お洒落は我慢」とは言うけれど、格好よさも履き心地も譲れない。そんなわがままに...

トラッドの相棒にドゥニームのジーンズを! ウエアハウスが1988年のクラボウデニムを再現

  • 2026.09.17

1980〜90年代に日本のセルビッジジーンズの先駆けとして一世を風靡したデニムブランド「ドゥニーム」。同ブランドの創業当時のレシピをもとに、再始動を手掛けたのが「ウエアハウス」だ。彼らの徹底的な研究・解析によって生み出された至極の1本は、まさにオーセンティックそのもの。そして、本当の意味での“良い色...

Pick Up おすすめ記事

労働者やアウトドアマンに愛された実用服。「ウエアハウス」のフランネルシャツ

  • 2026.10.02

ミクロレベルまで研究し、古着と見間違うほどのプロダクツを現代に蘇らせるウエアハウス。当時の生産技術や時代背景までも丁寧に掘り下げられて完成した服は、限りなくヴィンテージに近い存在だ。そんな彼らが生み出す服こそ、オーセンティックと呼ぶにふさわしい。 糸そのものから再現し旧式の織り機を用いて製作 フラン...

今季ワードローブに加えたいアイテムを厳選紹介! 「EIGHT-G」で秋支度。

  • 2026.10.04

秋の装いが楽しくなる季節。ミリタリーやワークといったアメリカ由来の実用服をベースに、素材やディテールへこだわりを詰め込んだエイトジーの新作から今季のワードローブに加えたいアイテムをピックアップ。 (右)ジャケット110,000円(TMJ2615)、シャツ23,100円(8LS-81)、ジーンズ24,...

2ndとEDWIN両チームの世代の異なる4人が集結! EDWINと考えるトラッド学

  • 2026.09.15

本誌でも何度も紹介してきたEDWINのコンセプトショップ限定アイテムは、普遍的なデザインとそのクオリティの高さから2ndが理想とするトラッドスタイルともばっちりハマる。今回は初の試みとして、2ndとEDWIN両チームの世代の異なる4名で“EDWINで作るトラッド”を考えてみた。 20代らしくアクティ...

無垢の金属、輝く伝統。純金や純プラチナを使った「市松」の究極の逸品

  • 2026.09.25

純金や純プラチナなど、純度100%の軟らかい金属をアクセサリーにするためには非常に高い技術が必要だ。それを可能にするのが「市松」。約30年にわたって培った“叩く”技術が可能にする唯一無二のリングの輝きに迫る。 熟練の技なくしては完成しない究極の逸品 原材料高騰の影響もあって、希少性が高まっている純金...

日本の技で蘇る、旧きよきアメリカンベーシック。100年前の起毛機を使った「DISCUS」のスウェット

  • 2026.09.18

「ディスカス アスレチック」の「MADE IN JAPAN」プロジェクト。和歌山で受け継がれる約100年前の起毛機とそれを支える職人の技。そのこだわりから生み出されるスウェットの魅力を追った。 スウェットの裏側に宿る百年起毛 1973年、アメリカで誕生した「ディスカスアスレチック」。その歴史を日本の...