一度は消滅しつつも、モーターサイクルギアとしてのスピリッツを継承し続ける「BUCO」の革ジャン。

  • 2022.09.20  2022.09.18

モーターサイクルシーンが急拡大した第二次世界大戦終了後、高品質を追い求めたプロダクツを生み出していたBUCOも急成長を遂げる。時代の変化と共にブランドは一度消滅となるも、現在はヴィンテージリプロダクションにおいて世界的に評価の高いThe REAL McCOY’SがBUCOの精神を引き継ぎ、生産を手掛けている。単なる復刻に留まらない、進化を続けるラインナップに迫る。

これまでもこれからも最高品質を追い求め。

ホースハイドの文字と馬のイラストが描かれる、ヴィンテージと全く同デザインのブランドタグ。高級感の漂う鉄紺色にゴールドの刺繍で、最高品質と評されるBUCOの存在感を際立たせている

軍事での使用を目的とするものは品質の良し悪しが人命に関わってくるため、常にハイクオリティが求められる。皮肉なことながら第二次世界大戦において軍事用として活用されることになったモーターサイクルも、これまでのクオリティから飛躍的な進化を遂げることとなった。

第二次世界大戦終了後、モーターサイクルの目的は趣味としてやファッションのひとつへと移り変わる。同時に、バイクに乗る際に着用するジャケット=モーターサイクルジャケットの需要が急拡大し、様々なメーカーからレザーのライダースジャケットが発売される。戦時中にレザープロダクツを軍へ納入していたBUCOもこの市場へと参入。JH-1の誕生から改良を重ね、現在に至るまで語り続けられる名作J-24やJ-100などのモデルが誕生したのだった。

The REAL McCOY’S本社に保管されているヴィンテージの看板。レザージャケットではなくモーターサイクルジャケットと表記されていることからも、バイクシーンでの着用を前提とされていたことが窺い知れる

高品質のホースハイドを使用し、ライダーの為に改良が続けられ、常にハイクオリティを追い求める製品作りを行っていたものの、ヘルメットを主軸とした生産体制へと舵を切ったことにより1970年代に消滅してしまった。そして現在はヴィンテージリプロダクションにおいて世界的評価を受け続けるThe REAL McCOY’Sが手掛けることにより、ハイクオリティを追求したBUCOが受け継がれている。

ヴィンテージウエアをそのまま再現するのではなく、最高品質のホースハイドとパーツを使い、現在のライフスタイルのなかでより着用しやすいようにアップデートが続く。そう、当時のBUCOがそうだったように、最高品質を求め続けるあくなき探求心はいまもなお継承され続けている。

1950年代当時の雑誌広告記事。描かれている人物は男性のみならず女性の姿もあり、女性ライダーからの需要も多くあったのだろうと想像がつく。身体を守るためにもセットアップでの着用を提案していたため、ジャケットのみならずレザーパンツも掲載されている

J-24 ¥275,000_

1953年に誕生した、BUCOの最高傑作とも呼ばれるモデルJ-24。Dポケットとその上に付くコインポケットや斜めに付くスラッシュポケットなど、ライダーに必要な機能を追求した結果として生まれたフロントデザインが目を惹く一方、エポレット部分の装飾やスナップボタンは全てシルバーで統一され、全体の雰囲気が洗練された印象を受ける。着用を重ねるごとに鈍い光沢へと経年変化する金属パーツと、革全体に現れるシワと茶芯。この堂々たる出で立ちは唯一無二で、多くの人が魅了され続ける理由のひとつだ。

1950年代頃に使用されていた真鍮製ジッパーを忠実に再現したThe REAL McCOY’Sオリジナルジッパーを使用。着用するごとに鈍く光る経年変化にも期待したい
各ポケットには菱形のタロンジッパーが用いられる。動くたびに揺れるそのデザインがアクセントにも
エポレットにはシンプルなシルバーパーツが付属。さりげない装飾が洗練された印象を際立たせている
同モデルの代名詞として継承されるD型のポケット。このモデルの機能美の真髄とも言えるだろう

J-100 ¥198,000_

モーターサイクルが競技として確立された以降はレーサー向けの商品開発が行われるようになる。そのなかで生まれたのが、シングルライダースジャケットの最高傑作と呼ばれるJ-100だ。レース用途として開発されたものはより軽くすることを考えたのか、裏地が付かない簡素なシャツタイプのデザインだった。後に一般流通をする際には裏地が付き、保温性や袖通しの良さ、耐久性など、ジャケットとしての完成度を高めるように改良が施された。写真はジャケットタイプだが、The REAL McCOY’Sではシャツタイプも手掛けている。

スタンドカラーの襟先にはBUCOの文字が刻印されるスナップボタンが付属。装飾がほとんどないフロントデザインのアクセントにもなっている
胸ポケットにはJ-24と同様の菱形タロンジッパーが付属。左右対称の一文字が潔く、シャープな印象
フロントジッパーもJ-24と同様のマッコイジッパーが用いられるが色はシルバーになる。スッキリとした印象となるのは、黒とシルバーのみのカラーリングも大きい
ライダースジャケットを代表するディテールとして挙げられる袖口のジッパー。扇形のタロンジッパーを使用

JH-1 ¥275,000_

BUCOがライダースジャケットを作りだした最初期に作り上げたモデルがこのJH-1だった。やや大き目の襟やスナップ式のウエストベルトなど、どこかアビエイタージャケットの流れを汲んだデザインが残る。このモデルから、よりライダースジャケットの完成形を目指す探求が始まったとされる、ブランドを語る上で欠かせないモデルだ。

このモデルの象徴的なデザインのスナップボタン式のウエストベルト。クラシカルな印象が強いディテールだ
馬のイラストやホースハイドの文字が入る前の簡素なタグ。創業者の名前が記されている
ウールライニングが付くことから、防寒着としての着用もしやすい

J-82 ¥297,000_

1950 ~ ’60年代頃に実在したJ-82ジャケットをベースに、キルトパッドのカスタムオーダーが施されたジャケットをイメージして誕生した。オリジナルのモデルはこの年代頃から大量生産へと舵を切ったことによりカウハイドへと変更されていくが、あえてホースハイドで作られているのも、BUCOのスピリッツを継承し続けている証だ。

ベルトパーツはレザーと同色のものを使用。ベルトを閉めずに着用する際も雰囲気を損ねない
背面上部、肩、肘に付けられるキルトパッドが目を惹く。デザイン性のみならず、実際にバイクに乗るうえでも心強い仕様
ポケットのジッパーは同年代の物と同じ菱形タロンが付く

【DATA】
THE REAL McCOY’S TOKYO
Tel.03-6427-4300
https://therealmccoys.jp

※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。

(出典/「CLUTCH2022年10月号 Vol.87」)

LiLiCo

昭和45年女

人生を自分から楽しくするプロフェッショナル

LiLiCo

松島親方

Lightning, CLUTCH Magazine, 2nd(セカンド)

買い物番長

松島親方

ランボルギーニ三浦

Lightning

ヴィンテージ古着の目利き

ランボルギーニ三浦

ラーメン小池

Lightning

アメリカンカルチャー仕事人

ラーメン小池

上田カズキ

2nd(セカンド)

アメリカントラッド命

上田カズキ

パピー高野

2nd(セカンド)

断然革靴派

パピー高野

村上タクタ

ThunderVolt

おせっかいデジタル案内人

村上タクタ

竹部吉晃

昭和40年男, 昭和45年女

ビートルデイズな編集長

竹部吉晃

清水茂樹

趣味の文具箱

編集長兼文具バカ

清水茂樹

中川原 勝也

Dig-it

民俗と地域文化の案内人

中川原 勝也

金丸公貴

昭和50年男

スタンダードな昭和49年男

金丸公貴

岡部隆志

英国在住ファッション特派員

岡部隆志

杉村 貴行

2nd(セカンド)

ブランドディレクター

杉村 貴行

2nd 編集部

2nd(セカンド)

休日服を楽しむためのマガジン

2nd 編集部

CLUTCH Magazine 編集部

CLUTCH Magazine

世界基準のカルチャーマガジン

CLUTCH Magazine 編集部

趣味の文具箱 編集部

趣味の文具箱

文房具の魅力を伝える季刊誌

趣味の文具箱 編集部

タンデムスタイル編集部

Dig-it

初心者にも優しいバイクの指南書

タンデムスタイル編集部

昭和40年男 編集部

昭和40年男

1965年生まれの男たちのバイブル

昭和40年男 編集部

昭和45年女 編集部

昭和45年女

“昭和カルチャー”偏愛雑誌女子版

昭和45年女 編集部

昭和50年男 編集部

昭和50年男

昭和50年生まれの男性向け年齢限定マガジン

昭和50年男 編集部