プロパイロット2.0ではまだ回避できないモノがある
プロパイロット2.0はかなり高性能な運転支援システムだ。
しかし、ご存知のように日産は『自動運転』という言葉は使わない。あくまで『運転支援』だというのだ。
その日産の主張の意味を体感する体験をしたので、それについて書いておこう。
実際のところ、プロパイロット2.0はかなり優秀で、ハンドルから手を離すことはできるし、よそ見をすることも可能だ。『やってはいけない』となっているが、ちょっとスマホを見たり、マンガを読むことぐらいはできるかもしれない。
しかし、やはり運転中は前を見て、いつでもハンドルを持てるようにしておいた方がいい。
正直、その瞬間には何が起こっているのか分からず回避してしまった
それは関西からの帰り。伊勢湾岸道で、刈谷PAを通り過ぎ、東名自動車道の分岐を越え、新東名自動車道を走っていた時のことだ。
(これは違う場所だが)下の写真のような感じの広い3車線道路で、おそらく制限速度は120km/hのエリアではなかったかと思う。この写真と同じような感じで、前に何台かトラックが走っていて、筆者は中央車線を走っていた。プロパイロット2.0をオンにして、前のトラックについて100km/h強ぐらいのスピードで走っていたと思う。
そんな時、前のトラックがスッと、左の走行車線に車線変更した。
開けたレーンを見ると、何かが車線のど真ん中に立っている。
「!?」
あわてて、プロパイロット2.0の制御を無視して、ウィンカーを出して左側の走行車線に回避する。プロパイロット2.0の制御中でも、人間の操作の方が優先されるので、それは問題なく回避できる。
なんと、中央車線に立っていたのは、オートバイだった。そして、ライダーは、中央分離帯のところにいた。
何が起こったのか分からなかったが、記憶に残った映像を思い返してみると、どうもタンデムシートに乗せられていた振り分けバッグが、後ろにズリ落ちて、それでバイクが停止して立っていたようなのだ。バイクは多分、ライムグリーンのカワサキだったように思う。
ライダーは転んだ風には見えなかったのだが、慌てててしまって中央分離帯の方に退避してしまったようだ。なんとか、路側帯まで移動して欲しかったし、逃げるなら路側帯側だろう! と思ったが、仕方ない事情もあったのかもしれない。ともかく、自分の見たものが信じられないような奇妙な光景だった。
プロパイロット2.0は回避できたのか?
運転しながら思い返してみると、直立したバイクに対して、プロパイロット2.0は反応しなかったように思う。
もし、ハンドル操作をしなかったら、その先で緊急ブレーキが動作したり、ハンドルが動作して回避したのかもしれないけど、さすがにそれを限界まで試す余裕は筆者にはなかったし、とっさにハンドルを操作して回避してしまった。
では、ハンドルを操作していなかったら、どうなっていたのだろうか?
広報車を日産に返却する時に、この点を聞いてみた。
すると、「おそらく現在のプロパイロットでは、その状況は回避できません」とのことだった。
あそこで、ハンドル操作をしていなかったら、激突していたことになる。バイクといえば200kgぐらいある金属製の物体である。アリアで激突していたら、かなり大変なことになっていただろう。
ちなみに、現在開発中の将来世代のプロパイロットでは、こういうシーンでも回避が可能になるとのこと。
↑この映像、すごい技術なので、ぜひ見て下さい!
クルマの緊急回避性能を飛躍的に向上させる運転支援技術【日産】
https://www.nissan-global.com/JP/INNOVATION/TECHNOLOGY/ARCHIVE/ADVANCED_DRIVER_ASSISTANCE_TECH/
筆者の運転歴の中では、事故ったクルマの破片が一面に散らばっていたこともあるし、高速道路上を逆走して来たクルマに遭遇したことや、歩いている人を見たこともある。角材や、トラックのチェーンが落ちていたこともあるし、トラックがひっくり返って一面にマヨネーズが散らばっていたことも、首都高のコーナーを抜けたら路面全面に缶ジュースが散らばっていたこともある(ブシュブシュ踏みながら通った)。バイクで鹿に激突してしまったこともある(ちょっと経験豊富過ぎる気もする……)。
実際、道路ではどんなアクシデントが起こっているか分からない。プロパイロット2.0など優れた安全支援システムを積んだクルマでも、回避し切れない何かが道路上では起こっていることもある。ぜひ、運転中は前を見て、いつでもハンドル操作できるようにして走行していただきたい。
(村上タクタ)
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