アドビ40周年と日本法人30周年
シリコンバレーでポストスクリプトの原型になるページ記述言語の開発を始めるためにアドビが創業されたのは1982年。日本法人が設立されたのは、1992年ということで、それぞれ40周年と、30周年を迎えた。
筆者が、出版社に入ってDTPに初めて触れたのが1992年7月だから、折りしもアドビの日本法人設立直前だったということになる。当時、筆者のいた会社(株式会社ライダースクラブというバイク雑誌の会社だった)にはPSプリンターがあり、Photoshopの動くMacintosh IIciがあり、PageMakerで誌面はデザインされていた(当時としてはとても先進的だった)。当時のPageMakerは、まだアルダス社のブランドだったが、後にアドビ社のものとなり、後のInDesignへと進化する。
……などという想い出に浸るとキリがないが、クリエイティブはもちろん、ドキュメントやマーケティング方面にビジネスを広げ、サブスクリプション方式を確立することで、現在のアドビの収益基盤が成立したというようなお話などがあった。
現在のアドビのビジョンは『心、おどる、デジタル』で、社内では、「それって、心、踊ってる?」などと言うように使われているそうである。面白い。
『アドビ未来デジタルラボ』設立発表
アドビの日本市場での注力テーマは『デジタル人材』『デジタルエコノミー』『デジタルトラスト』ということで、日本のクリエイター、マーケターの力を解き放ち、わくわくする日本のデジタル社会の未来を描くために、本日『アドビ未来デジタルラボ』が設立された。
主要メンバーはアドビの役員に加えて、アドビフェローであり開発者の及川卓也さん、ITエバンジェリストの若宮正子さん、AR/MR開発者の伊藤武仙さん、UX/UIデザイナーの深津貴之さん、産学連携の長田新子さん、動画クリエイターの明石ガクトさん、コンサルタント/経営者の馬渕邦美さん。ソーシャルリスニングとしてSNSからの声も聞くという。
活動テーマは下記の通りで、調査、討論、実証実験を経て提言を行っていくという。
Substance 3Dのデモがすごい
続いて行われたデモはアドビSubstance 3Dシリーズを使った3Dモデリングのデモ。
まだ完成品が存在しない状態や、完全にコントロールされた状況下での製品写真の撮影などのために、3Dモデリングのニーズは今後さらに高まっていくと思われるが、Substance 3Dはそういうことを可能とする技術だ。
ステージでは、Substance 3D Modelerで、円筒形を重ねてモデルを作るところからデモを開始。
途中からはVRゴーグルを着けて、VR空間内でモデリングを行うデモが行われた。
最終的には、ガラス瓶の中に3本の枝状のアロマディフューザーが差し込まれた絵まで完成させられるとのこと(途中、少し『キュー○ー3分クッキング』的ではあったが)。
名物広報もアドビに参入
我々業界のうちわの情報ではあるが、アップル、NECレノボの広報を歴任されてきたベテラン広報の鈴木正義さんが執行役員・広報部長として着任されたのもニュース。
鈴木さんは、同じく有名広報の遠藤雅代さんと共著で、12月17日発売で『マスコミ対策の舞台裏 役員からの電話で起こされた朝』という本を上梓される。
我々メディア取材シーンの裏面が分かる本なので、ぜひご覧になってみて欲しい。鈴木さんが元アップル、遠藤さんが元ソニー時代の、iPod、ウォークマン発表時の裏話なんかも少しは書かれていると思うので、楽しみだ。
(村上タクタ)
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