逆転の発想で誕生したL型を快適に楽しむ一台。
ここに紹介するのは、おそらくLightning誌で紹介する車両の中ではかなり新しい部類に入るであろう、’97年式のシルビアQ’sだ。純正オプションのエアロに、SSRメッシュを履いたシンプルなスタイル。
「なぜビンテージオート誌に?」という疑問を抱くかもしれないが、その答えはエンジンルームの中にある。なんとこのS14シルビアは、フルチューンのL28改3.1リッターを搭載し、キャブレターの吸気音を堪能できる一台なのだ。これを製作したのは茨城県の谷島自動車だ。
製作を担当した谷島自動車のメカニックである齊藤さん。まずはこのクルマを作った経緯を聞いてみた。
「大前提として、自分はL型が大好きなんです。そこで、より剛性のあるボディと進化した足回りのボディにL型をスワップすることで、もっと快適になるはずと単純に思ったのがきっかけです」
ベースに選ばれたのは、NAエンジンを搭載したシルビアQ’sのAT仕様。これをベースにソレックスのφ50キャブを装着し3.1リッター化したL28と、カメアリクロスを組み込んだ5速マニュアルトランスミ ッションを搭載。シンプルなシルビアの外観からは想像もできないL型の排気音とキャブの吸気音を堪能できるスペシャルな一台となった。
「元々シルビアにはRBをスワップした事例もあったため、スペース的には問題なさそうということはわかったので、とりあえず搭載してみたんです。結果としてコアサポートを若干カットしてラジエターを前方に移動しただけでエンジンはすんなり搭載できました。エンジンルームはディテールアップするにあたり、サイクルフェンダー化しました。ブラックにペイントし、配線や配管もある程度ヒドゥンしています」
こうしてL型を堪能できる世にも珍しいシルビアが完成。Zやハコスカといった車両から考えると、かなり進化したシャシーと足回りを駆使して、L型エンジンをとことん楽しむことができるようになったそうだ。これまでありそうでなかった逆転の発想で完成したこのシルビアの登場によって、旧車を楽しむ新しい形が誕生したといっていいだろう。
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