“せんべろ”や“ハシゴ酒”、“ネオ大衆酒場”などが昭和時代を知らない若者の間で流行っている今、「安くて旨い」横丁酒場が人気を集めている。しかし、それだけで選んでしまうのはモッタイナイ。なぜなら歴史の長い横丁酒場には必ず「物語」があるのだから。日本で最古の現存する店、「みますや」。100年以上の歴史を持つだけに、店内はもちろん、料理、器などあらゆるものに想いが詰まっているだろう。
日本最古の居酒屋は開店時間に行列ができる繁盛店。

東京、いや日本で最古の現存する居酒屋だ。明治38(1905)年創業なので、すでに100年もの歴史を誇る。予約席がなかなか取れないので、開店時間には店の前に行列ができる。とはいえ、昼には手頃な価格の定食も提供し、突出して何が旨いわけでもない。だが、思い出したように行きたくなる。

ぬたマグロ、どぜう丸煮、ねぎま串焼き……江戸期に成立した屋台や茶屋の煮売で出していたような、往時からのメニューも揃う。それらがどれも、いかにも江戸前の味付けなのが嬉しい。
アルコールがちょっとツンと来る、安いほうの燗酒にまたよく合う。いつの間にやら何本も銚子がテーブルに並ぶ。おっかなびっくり暖簾をくぐっても、店を出る頃には、まるで時代劇の登場人物の気分になれる、まさにタイムスリップ酒場だ。





【DATA】
みますや
東京都千代田区神田司町2-15-2
TEL03-3294-5433
営業/11時半~13時半、17時~23時
休み/日曜・祝日
※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。
(出典/別冊Lightning Vol.209「TOKYOノスタルジック横丁」)