【東京横丁酒場ガイド】カネス(一之江)|江戸川の外れにある『酒場遺産』の風趣に酔う。

  • 2023.08.16

”せんべろ”や”ハシゴ酒””ネオ大衆酒場”などが昭和時代を知らない若者の間で流行っている今、「安くて旨い」横丁酒場が人気を集めている。きっかけはそうであっても、通ううちに歴史ある横丁酒場ならではの「物語」が見えてくるだろう。創業90年超の歴史ある酒場が江戸川・一ノ江にある「カネス」だ。情緒と活気が共存するカネスのストーリーを見ていこう。

創業91年。紺地の「大衆酒場」と赤地の「中華そば」の二つの暖簾が並ぶ。

ふたつ並んだ暖簾はもはや一之江の名物。中華そばの暖簾は昭和29年に提供し始めてから出したものだという

1932(昭和7)年の創業時はなんと茅葺屋根だった。都営地下鉄新宿線が一之江まで開通したのは’86年。元は都電が走り、’68年には全廃となったトロリーバスが走っていた。現在は3代目の夫婦が切り盛りし、女将の浅野頼子さんは「当初は駄菓子屋でした」と、昔を振り返る。

「この席が一番周りが見えていいんだよ」とほぼ毎日来る会長氏(右)。常連客はそれぞれお気に入りの席があるとか。ジョッキとグラスは、もはやヴィンテージになった時代のもの

名物の煮込みのパンチのある風味にビールが捗る。焼酎ハイボールには氷が入っていない。微かに感じる甘みは生のレモンや砂糖で作ったエキスの賜物。この組み合わせが昭和へのタイムスリップを加速する。

「焼酎ハイボール(370円)」も「ウイスキーハイボール(400円)」も氷無しが流儀

紺地の「大衆酒場」と赤地の「中華そば」の二つの暖簾にも、街道筋の茶屋だった来歴を感じる。とはいえ、中華メニューといえば、ラーメンにワンタンのみ。後者を所望すると、煮干しの効いた深いスープに感嘆する。ワンタンをつまみに飲む熱燗。癖になりそうな味わいだった。

煮干しや豚骨等から出汁をとった「中華そば(500円)」は、昔懐かしい正統派の東京ラーメン。〆に人気
浅く〆た「しめさば(350円)」
優しい風味の自家製「塩らっきょう(300円)」
「シシャモ」や「ぶつ納豆」、「しらすおろし」「梅きゅうり」など200~300円代のシンプルなメニューが多い。生ビールは大か小

煮込み(400円)」は、お店を語る上で外せない名物

DATA
カネス
東京都江戸川区一之江6-19-6
TEL03-3651-0884
営業/16時半~22時、日曜・祝日14時~22
休み/水曜、毎月第3木曜

※値段など情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。

(出典/別冊Lightning Vol.209TOKYOノスタルジック横丁」)

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