今回は、ウルフマンバーバーのオーナーである理容師の曽原さんが所有する「1975年式AMCグレムリン」をキャッチアップ。アメリカでも珍車と言われるレアな1台に迫ったぞ。
珍車で異形だからこそ、逆に愛したくなるモデル。
栃木県の佐野市から始まり、現在では都内にも3店舗が存在するウルフマンバーバーのオーナーを務める曽原さん。自身のサロンでもクラシックなアメリカンバーバーを思わせる店内に、クラシックスタイルをベースにしたスタイリングがその真骨頂。
若いころから古着や旧い音楽に傾倒していただけに、そのクルマ選びも旧いアメリカ車がまずは選択肢になったという。
こういうスタイルでバーバーをやっている以上、サロンが提案するスタイルに合わせて洋服やクルマも楽しんでもらいたいという思いを率先するかのように、最初に手に入れたのは戦前のホットロッドだった。
「どうせ、旧いアメリカ車に乗るなら、手ごろなモデルから段階を踏んでステップアップするのではなくて、最初から最終到達地点のひとつに行っちゃえと思ってホットロッドを手に入れました」と、その独自の考え方もおもしろい。
おかげで自身2台目に手に入れたグレムリンも、それほど細かく考えずに乗ろうと思ったという。
「ホットロッドは戦前のクルマなので、乗るのも取り回しも慣れるまで大変でしたけど、これに慣れてしまえば’70年代のアメリカ車なんてそれほど高いハードルではなかったんですよ」
もともとは、漠然とマスタードカラーの旧いアメリカ車に乗りたいなと思っていたところに、知り合いのアメリカ車専門店が現地で見つけてきたというのがその出会い。
ただ、旧いアメリカ車のなかでもメーカーはAMC(アメリカン・モーターズ・コーポレーションの略。当時のGM、フォード、クライスラーよりも小さなメーカーで、1987年にクライスラーに買収される)だし、モデルもグレムリン。まずアメリカ旧車の王道ではないクルマだったが、逆にそれも心惹かれた理由だった。
グレムリンといえば直訳では「小さな悪魔」という意味で、アメリカ人が考えた当時のコンパクトカーのひとつ。
フォードはピント、シボレーにはベガというライバル車も同時代に登場し、その中でも通常サイズのクルマをぶった切ったような独特なデザインのグレムリンは今となってはかなりの異形。だからこそアメリカ旧車党のなかでもかなりコアなモデルといえる。
「王道ともいえるフルサイズのアメリカ車もカッコいいんですけど、僕がひねくれた性格なのか、誰もが選ばなそうな旧いアメリカ車の方が気になっちゃって」
と、大きなボディが当たり前のアメリカ車で、あえて1970年代に一時代を作ったコンパクトなモデルをチョイスするあたりがおもしろい。歴史的には当時、コンパクトカーは日本車や欧州車の方が人気で、アメリカブランドのコンパクトカーはビジネス的には大成功はしなかっただけに、今となっては稀少なモデルのひとつ。
しかもグレムリンには発売当初からV8エンジンの設定があって、コンパクトなボディに大排気量エンジンを搭載していたことで、後年にはプライベーターたちのドラッグレースの競技車両(いわゆる草ドラッグのレースカー)として中古車両が使われていたという、これまたおもしろいストーリーもあるクルマだった。
まずは純正なのに他のクルマでは体感することができない独特なスタイリングが気に入っているという。乗り方も独特で、当時そのままの雰囲気を大事に、過度なレストアはせず、整備やメンテをしっかりとし、経年で色褪せたところはそのまま楽しんでいる。
旧いクルマが生きてきた歴史もいっしょに楽しみたいという、自然体で付き合える相棒のひとつになっている。
▼ AMCグレムリンのスタイリングはこちらの動画でチェック!
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