創造性を生み出す、ホンモノに囲まれた空間。
「僕のスタイルの始まりは音楽からです。パンクロックが大好きで、革ジャンやブーツをカッコ良く着こなしている写真を穴が開くほど眺めていました」
音楽とファッションをキッカケに、クルマやバイク、タトゥーといったアメリカのロウブロウカルチャーに影響を受けたと語るMASATOさん。その後の人生を変えたのは1着の革ジャンだった。
「高校1年生の時に、アルバイトでお金を貯めて初めて革ジャンを購入しました。それから僕の人生が始まったんです」
ヴィンテージファッションに夢中になり、19歳で単身渡米。その後も何度も通って、古着やバイクのパーツを買い集めたり、タトゥーを入れたりしたという。
「日本の流行りとは違うアメリカの自由な空気感が好きで、そのまま僕のスタイルになりました。僕の憧れがロックスターからタトゥーアーティストに変わるのに時間はかかりませんでしたね」
25歳の時にサンフランシスコでタトゥーアーティストとして活動を開始した。創造において大切にしていることは『キープ・ザ・リアル』だ。シーンの渦中に身を置いて、自らが体験したことをベースにクリエイトし続けている。
「バイクやホットロッドが僕の憧れでしたが、今では日常の一部になりました。まだまだやりたいコトが沢山あって、これからもこのスタイルで僕なりの生き方を見せていきたいと思っています」
ロウブロウアートとヴィンテージ雑貨が溢れるオモチャ箱。
玄関を入ると、名古屋で活動するMASATOさんの友人、ESPY ONEさんが描いたスカルのアートピースが壁一面に飾られている。
ヴィンテージのバイクのパーツやオモチャなどのジャンク達。ひとつひとつに思い出がある宝物だ。
棚に並んでいるのは、MASATOさんと息子の稚乃くんをモデルにしたソフビ人形。世界中にファンがいるそう。
革バングルやブーツは必須アイテム。ブーツは50足ほど。ウエスコのスエードはバイク用。キーストンとWolfshead のダブルネームは普段用。
木製の便座カバーにピンストライプで描かれているのは、ホットロッド界の人気キャラクター、ラットフィンク。ソリッドさん作。
人生に大きな影響を与えた、MASATOさんの革ジャンコレクション。
最近、普段の街着にしている’70年代のショット。今まではブラックレザーが好きだったが、50歳を過ぎてから「気分で茶色もいいかなぁ」と思うようになった。
100着ほどある革ジャンコレクションの中で、普段バイクに乗る時に着用しているのがラングリッツ。襟ボア付きのシンプルなダブルライダースで、’80年代のヴィンテージ。
’50年代のSears製ヘラクレスダブルライダースジャケット。友人にペイントしてもらったという背中のロゴとスカルのグラフィックがポイント。
ルイスレザーで製作した限定13着のC×T×MオリジナルJKT。青と黒の配色がオシャレなターンダウンカラーのライダースで、左腕にはC×T×Mのロゴ入りパッチが施されている。
ヴィンテージのルイスレザー。’70年代にロッカーズが着ていた本物で、スタッズやピンズ使いが秀逸。MASATOさんにとって、服を超えてアートピースのような存在となっている。
愛車はホットロッドとチョッパーだけと決めている。
1937年式ハーレーダビッドソンModel Uをベースにした「Speed Ball」。ドレッサーの名残りがある、ボバーからチョッパーに移り変わる前のスタイル。
ウインドシールドやタンクのピンストライプ、レタリングはすべてHoodoo Manさんの作品。
フレームのメッセージ『I HATE EVERY COP IN THIS TOWN!』は、バイカーらしいシャレが効いている。
アレンネス製メーターダッシュはスワップミートで3000円で購入。「見つけた時は手が震えてしまいました(笑)」
ヴィンテージパーツを装ったフェンダーまわり。
ドクロのオーナメントは仲間全員が装着している。
1923年式Fordのmodel Tをベースにした「Toy-T」。21年前、アメリカのサンディエゴから自ら買い付けしたという思い入れの強い作品。日常の足として、現在まで21年間も乗り続けている。
カスタムシート屋でオーダーメイドしたレザーシート。MASATOさんの好きなラビットヘッドのステッチをあしらったお気に入り。
ダートトラックレース用のアルミ製ハンドル。メーターはスチュワートワーナー製のオールドモデル。ETCはハーレー用工具箱を流用した。
エンジンは’70年代のコロナに使われていたトヨタの18RG。ミッションは旧いスープラの5速ミッションで「めちゃくちゃ速い」そう。
パワーユニットはトヨタ製で普段の足として大活躍。「僕は嫁さんと子供もいますが、ホットロッドとチョッパーしか持っていません(笑)」と笑う。
(出典/「Lightning2023年3月号 Vol.347」)
text/T.Morita 守田二草 photo/S.Ise 伊勢悟