昨年、再復刻のリクエストが絶えなかった名作「マッキントッシュのメニュー柄」がサンサーフより再リリースされた際に、せっかくなのでアロハシャツラバーの料理研究家、森野熊八さんに当時のメニューを再現してもらったのがこの企画。ここから当時に想いを馳せてみてはいかがだろう。
料理研究家・アロハシャツ愛好家 森野熊八さん
一流料理人でありながら自らを料理芸人と称するほど、タレントとしても様々なメディアで料理をユニークに伝える伝道師。一方で生粋のアロハシャツコレクターとしての顔ももつ。
再現するのは、1954年2月11日(木曜日)のディナーメニュー!
サンフランシスコとハワイの間を就航していた豪華客船のマトソン・ライン。今回のシャツの柄にもなっている、フランク・マッキントッシュが表紙絵を手がけた船内レストランで使用された歴代のメニュー表の中から、ご家庭でも再現しやすいメニューを森野熊八さんに選んでもらい、再現料理を作っていただきました!
料理名と材料(2人分)
新鮮な鱒のアーモンドソテー
・鱒の切り身(または鮭)
・アーモンドスライス
・レモン汁 少々
・小麦粉 適量
・バッター液 適量 ※小麦粉 大さじ3、溶き卵 1 個分、牛乳(または水)大さじ2を混ぜたもの
・白ワイン 大さじ3
・バター(ソテー用)40g
・バター(ソース用)30g
・ニンニク 1 片
・塩 コショウ 適量
きゅうりのドリア
・キュウリ 1 〜2 本
・ニンニク 1/2 片
・バター 20g
・塩 コショウ 適量
キングカメハメハサラダ
・パイナップル1/6個
・マンゴー 1/3個
・トマト(中サイズ)1個
・レタス 2〜3枚
・クレソン 1束
・アンチョビ(フィレ)1枚
・粒マスタード 大さじ1
・レモン汁 大さじ1
・ハチミツ 小さじ1〜2
・オリーブオイル 適量
・塩 コショウ 適量
各メニューの作り方
新鮮な鱒のアーモンドソテー
1. 鱒 に塩・コショウをして小麦粉をつけ、バッター液を全体につけ、スライスアーモンドを全体につけておく。
2. ニ ンニクを縦半分に切ってフライパンに入れ、ソテー用のバターを入れて中火で加熱し、バターが溶けたら、1 の鱒を皮のついていた面を下にして入れ、焼き色がついたら裏返し、バターをかけながら鱒に火を入れる。
3. 2 の鱒を器に盛り付け、フライパンに残ったバターを、ペーパータオルなどで軽く拭き取り、白ワインを入れて軽く煮詰め、ソース用のバターを入れて混ぜ、塩、コショウ、レモン汁で味を調えて2の鱒にかける。
キュウリのドリア添え
1. キ ュウリは食べやすい大きさに切り、ニンニクは薄い輪切りにしておく。
2. フ ライパンにバターと、1のニンニクを入れて中火で加熱し、バターが溶けたらキュウリを入れて軽く炒め、塩、コショウで味を調える。
キングカメハメハサラダ
1. パ イナップル、マンゴー、トマトは、食べやすい大きさに切り、レタスは、食べやすい大きさにちぎり、水にさらして水気を切り、クレソンは、葉の部分を摘み取り、それぞれ冷蔵庫で冷やしておく。
2. ア ンチョビをみじん切りにしてボウルに入れ、粒マスタード、レモン汁、ハチミツ、オリーブオイルを入れて混ぜ、塩、コショウで薄めに味を調えておく。
3. 2 のボウルに、1のトマト、レタス、クレソンを入れて和え、パイナップルとマンゴーを入れて軽く和え、塩、コショウで味を調えて器に盛りつける。
完成!
見た目にも美しい芸術的なルックス。豪華客船で旅行ができるアメリカの富裕層が食していたという時代背景を考えると、それも納得の出来ばえ。
60年以上前のリアルな豪華客船メニューが現代に蘇る!
箸で簡単にほぐれるほどの柔らかさに、アーモンドスライスの食感とバターの香りが食欲をそそるこの逸品。熊八さんは食材選びにも調理法にもポイントがあると話す。
「まず家庭で作れると言うことを念頭にこの料理を選びました。その理由のひとつが食材で、実は今回鱒と言いながらも鮭を使っています。と言うのもこれらは元々同じ魚で、卵からかえって海に出て帰ってきたのが鮭、川に留まったのが鱒なんです。ただ産卵の関係で絶対的な数が違うので、手に入れやすい鮭を選びました。あとは刺身で食べられる新鮮なものを使うことも大事。料理に自信がない人ほど使った方がいいですね。そうすれば万が一、中が焼けていなくても安心して食べれます。肉も豚ではなく牛を使った方が生で食べられる安心感があるのと一緒で、食材選びはそういうことを考えるとリスクが減ります」
さらに調理法に関しても当時の面影が色濃く残る方法を教えてくれた。「バッター液というのは最近の料理ではあまり使わないんですよ。ただすごく粘り気があるので衣がよりしっかりつくと言う特徴があるんです。今回魚につけるのはアーモンドスライスでパン粉よりもつきにくいので、とても相性が良いんですね。あと火力は必ず中火にすること。焦げ付かず見た目も綺麗に仕上がります。強火をやめたら料理は失敗しなくなりますよ」
(出典/「Ligthning 2021年8月号Vol.328」)
Text&Photo/Y.Yoshida 吉田佳央
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