アメリカの歴史背景が生んだ、優れたデザイン性。
アメリカという国は、移民によって形成されている。人種の坩堝と言われるほど、様々な人種が共存しているが、当然その母国語はバラバラだ。19世紀、多くの移民がアメリカの大地を踏んだ時は、会話はおろかショップの軒先にある看板に書かれたことさえ、分からない人は多かったことだろう。
だからこそ、言語の異なる人達がみんな物事を共通認識できるように、絵や文字を組み合わせて視覚的に「それが何か」を分かりやすく見せるデザインが求められた。その考え方は、まさに“広告”と同じ。そうしてアメリカは、1920年代には世界随一の広告大国になり、’40年代にかけて経済が急成長したと言われている。
その優れたデザイン性は、フェルトを使ったレタリングを見れば明らか。1920年代の各学校のフェルトバナーは、その代表格だ。このようなレタリングはウールニットにも採用され、それが後にいわゆるカレッジプリントのスウェットシャツの礎になった。また、チームジャケットにも当初はフェルトレターが使われたが、’30年代頃からチェーン刺繍を使ってさらに凝ったデザインへと発展した。
この“装飾文化”は、アメリカ史ならでは。その往年のデザイン性と佇まいは、「ノースノーネーム」による本物さながらのフェルトパッチにより、いまなお世界中のファンを魅了してやまない。ここでは、そんな同ブランドの世界観を裏打ちする、アトリエにアーカイブされた貴重なヴィンテージの中から、優れたデザインのものを紹介する。
戦前のフェルトバナーは随一のコレクションを誇る。
堀川さんのコレクションの一画を占めるのがフェルトバナーだ。先に述べた時代背景を思い浮かべながら眺めると実に面白い。厳選して紹介しよう。
1923 South Webster High School
1928 Meadville High School
1932 E’ville High School
1920s Princeton University
1930 Skull Gumma
豪華な装飾が魅力のチームジャケットも多数アーカイブ。
続いて紹介するのはチームジャケットの数々。ここにも興味深い装飾の数々が。こちらも厳選して紹介!
1940年代後期から’50年代初期のコーデュロイJKT。
背中の装飾はチェーン刺繍によるもの。左胸にも持ち主の名が刺繍されている。
おそらく1940年代製のもので、当時人気だったレーヨンサテンとコットンツイルのリバーシブル仕様。
豪華なフェルトの装飾が目を引く1着。
1950年代後期のレアな配色のJKT。
黒豹パッチはフェルト地に刺繍ミシンによるステッチワークが施されたもの。レターはチェーン刺繍。
レーヨンサテンとコットンツイルのリバーシブル仕様になった1940年代製。
現在のニューオーバーン学校のトロジャンズのものだろう。
1950年代後期のコーデュロイJKT。
ブラックボディが珍しい。オハイオ州のAkron Rollercade社の装飾がチェーン刺繍で表現されている。
ノースノーネームの2021年新作フェルトパッチ!
貴重なアーカイブをご紹介いただいた堀川さんが手掛ける「ノースノーネーム」の新作パッチを紹介! アメリカンカルチャー感じるアイテムを、帽子やバッグ、ジャケットに取り付けて楽しんでみてはいかが?
【問い合わせ】
スノープラント
TEL03-5849-4310
https://snowplant.buyshop.jp
※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。
(出典/「Lightning 2021年6月号 Vol.326」)
Text/T.Miura 三浦正行 Photo/S.Kai 甲斐俊一郎
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