Chevrolet(シボレー)とは? どんな車種がある?
1904年にビュイックの経営を任されたウィリアム・C・デュラントは、1908年に持株会社ジェネラル・モーターズを組織すると、1908年にオールズモビル、翌1909年にはキャディラック、オークランド(後のポンティアック)、リライアンス(後のGMCの一部)、カーターカーなどを次々と買収するが、デュラントは買収費用による負債を抱えGMの経営権を失ってしまう。
そこでレーシングドライバーであるルイ・シボレーとともに1911年にシボレーを設立。さらにデュラントは1916年にはGMの株を買い戻しGMに返り咲くと、シボレーはGM内でエントリーモデルのブランドとして存続。現在まで続いている。(ちなみに現在GMのブランドは「キャデラック」「ビュイック」「シボレー」「GMC」の4ブランドとなり、日本では「キャデラック」「シボレー」のみ展開されている)
日本でも正式販売されている、シボレーを代表する車種としてはスポーツタイプの「コルベット」「カマロ」がある。そのほか、セダンタイプの「インパラ」、SUVの「ブレイザー」、ピックアップトラックの「コロラド」「シルバラード」などが人気車種に名を連ねる。
【人気車種①】シボレーを代表するスポーツカー「コルベット」。
初代コルベットがデビューしたのは1953年。当時アメリカのクルマは質実剛健な独自の作りを持ってはいたが、ことスポーツカーというジャンルを存在せず、その意味ではヨーロッパに遅れを取っていた。戦争中に兵士たちがヨーロッパで見た2シータースポーツモデルに匹敵するモデルをアメリカでも発売すべく、これまでにないコンパクトなボディに直列6気筒を搭載して登場したのがコルベットである。
ボディは当時の最先端素材であるFRP製を使用するなど、最新の技術が惜しみなく投入されたが、エンジンは直列6気筒エンジンのみで出力はたったの150馬力と非常に非力だった。1955年にようやくシボレーでスモールブロックV8が登場するのと同時にコルベットにもV8を搭載。その後、歴代コルベットはいつもその時代のシボレーの最高峰のエンジンを搭載し続けているフラッグシップモデルとなった。
スティングレイの愛称が生まれた、いまでも人気の高い“C2”。
誕生から10年後の1963年にフルモデルチェンジを果たして登場したのがコルベットC2。それまでコンバーチブルモデルのみだったが、C2の登場と合わせてクーペがラインナップに加えられた。スティングレイの愛称が生まれたのもこのモデルから。
C1時代から積極的にレースに参戦し、レース用のコンセプトカーが生産されており、その中でもゾーラ・アーカス・ダントフというメカニックが1959年に手がけた『XP‐87 スティングレイ・レーサー』が直接的なデザインのルーツとなっている。ボディデザインも空気抵抗を意識したシャープなデザインへと生まれ変わり、レーサーの血統を受け継いだ名実共にアメリカ生まれの純血なスポーツカーとしての地位を確立したのである。
▼C2についてもっと詳しく知るならこちらをチェック!
スティングレイの愛称が復活し、Z06が登場した“C7”。
2013年に登場したC7モデルは、フレーム構造を含む多くの部分を新設計し、テールランプも伝統の丸形をやめ角形を採用するなど、外観も大きく姿を変更された。2015年に登場したZ06は、659psを発生するLT4型6.2リッターV8を搭載。このZ06の登場でコルベットは運動性能はもはや世界のスーパーカーに比肩するところまできたと言える。
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2020年誕生! スーパーカーのボディに伝統のOHV V8を搭載した新型“C8”。
エンジンはこれまで同様OHV方式のLT2型6・2リッターV8で、6450rpmで495hpを発生。トランスミッションは8速のDCTを採用。0-100㎞/h加速はベーシックグレードながらたった2.9秒! 最高速度は194MPH(約312㎞/h)という驚異的なスペックに。C8によって、コルベットはもはやアメリカンマッスルカーの頂点というよりは世界に比肩するスーパーカーとなった。
▼コルベットの歴代モデルは下記記事でチェック!
【人気車種②】マスタングに対抗して誕生したポニーカー「カマロ」。
1964年に登場したマスタングの大ヒットによって、ポニーカー(若者向けの低価格帯2ドアクーペ)と呼ばれるジャンルが誕生。GMも新たなにコンパクトなボディを持つスポーツモデル開発が急務だった。そこでFボディプラットフォームにスタイリッシュなハードトップボディを搭載したカマロを1967年に発売。
ハイパワーエンジンをオプションで搭載できるようにするなど、若者のニーズを的確に捉えることで、デビュー当初から人気のモデルとなった。直列6気筒搭載のほか、V8エンジンを搭載した「SS(スーパースポーツ)」、レーシングモデルの「Z28」、ラリーモデルの「RS(ラリースポーツ)」の3種がラインナップされていた。
3年しか生産されなかった、初代カマロ。
全長4.7mというコンパクトなボディサイズと、流麗なボディを持つ初代カマロ。2ドアハードトップとコンバーチブルのみの設定で、グレードもSS、RS、Z28の3種類だったが、豊富なオプションが用意され、組み合わせて販売された。第一世代は1969年で終了し、わずか3年間の短命に終わるが現在でもファーストカマロのファンは非常に多い。
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現行モデルは第6世代。史上初の、カマロターボが誕生!
外観は先代モデルのキープコンセプトながら、シャシーやコンポーネンツを見直し、剛性を28%向上しつつ、約90 ㎏の軽量化を果たした現行モデル。搭載されるエンジンは、従来通り6.2リッターV8と、新開発の2リッター直列4気筒ターボを導入し、初のターボエンジンが搭載されることとなった。
▼もっと詳しくカマロを知るならこちら!
【人気車種③】シボレー発SUVの代表格「ブレイザー」。
フォードのブロンコに対抗してGMが打ち出したSUVであるシボレーのK-5ブレイザー。このK-5とはフルサイズを意味し、コンパクトサイズのブレイザーがS-10だ。写真は第二世代(1973~1991年)のモデル。アメリカでクロスカントリーのレースに出場したこともあるヘビーデューティなカスタムカーで、インチアップされて迫力が増している。
K-5は1969年に誕生し、2度のモデルチェンジを経て1994年まで生産された。その後、改良が加えられ後継車「タホ」へと名称が変更された。また、S-10は1983~2005年まで生産され、その後登場したクロスオーバーSUV「エクイノックス」へとその系譜はつながっている。
一度「ブレイザー」の名称は消滅したが、2018年に新型クロスオーバーSUVのネーミングとして復活した。
▼写真のK5ブレイザーはこちらの記事で紹介!
【人気車種④】日本でも一世を風靡したミニバン「アストロ」。
90年代にアメカジブームがあったが、同じく人気となったのがアメリカ車だった。この時代、’80年代に主流だったマッスルカーやスポーツカーは徐々に減少し、変わって増えてきたのが、当時数多く輸入されたシボレー・アストロやダッジ・ラムなどのバン、シボレー・カプリスやビュイック・リーガルなどのステーションワゴン、シボレー・C1500などのピックアップといったクルマたちだった。
中でも当時の人たちの印象に最も残っているのが、シボレー・アストロだ。ほとんどがアメリカで使われていた中古車を並行輸入した個体で、ローダウンした上で、当時一世を風靡したBOYDをはじめとしたビレットホイールを装着して販売された。当時はストック車両を見ることのほうが稀で、カスタムアストロを特集した本が何冊も発行され大ブームとなった。2005年にはアストロは市場から姿を消したが、今も記憶に残るクルマである。
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【人気車種⑤】現在販売されている唯一のフルサイズバン「エクスプレス」の前身「シェビーバン」。
VW(フォルクスワーゲン)タイプ2同様に、リアエンジン構造のシボレーコルベアバンが’65年に生産を終了したことを受け、’64年に登場したのがGシリーズと呼ばれるキャブオーバースタイルのバンだ。「CHEVY VAN(シェビーバン)」という愛称で親しまれたキュートなバンは、その後幾度ものモデルチェンジを経てフルサイズバンのエクスプレスと名称を変えつつ、現在まで生産を継続している唯一のアメリカンフルサイズバンだ。
【EXPRESS(1995~)】新型プラットフォームで新世代のバン「エクスプレス」に。
見た目こそ先代と似ているが、全く新しいGMT600シャシーを使った新造車。この1995年モデルからエクスプレスという名称となり、ショートボディで、全長約5.6m、ロングボディは約6mを超える巨大な車両となった。その後、2003年にフェイスリフトを行いピックアップ同様のデザインのフロントフェイスとなった。2014年にライトデューティなG1500の生産を終了。現在はよりヘビーデューティなG2500やG3500が継続して生産されている。
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【人気車種⑥⑦】シボレーのピックアップトラックといえば「コロラド」「シルバラード」。
2004年に誕生したミッドサイズピックアップトラックが「コロラド」だ。308馬力のV6エンジンを標準搭載し、エンジンも十分なパワーを発揮し、アウトドアでもその力を存分に感じることができる。
そして、こちらがシボレーが誇るフルサイズピックアップトラック「シルバラード」。1999年にC/Kシリーズの後継として登場し、2019年にはアメリカでの販売数がフォードのFシリーズ、ラムのピックアップに続き3位に輝くシボレーを代表するクルマである。
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愛車はシボレー! カッコいい中古車&カスタム車を拝見!
1.シボレー シェビーバン×「パティスリー ル・シエル」代表・宮本崇市さん
千葉県鎌ケ谷市にあるパティスリー・ル・シエルは地元の人に愛されるケーキショップ。そんなお店の脇には、キュートなバンが停まっている。今から半世紀以上前に製造されたシボレーのパネルバンは、丸目のヘッドライトが特徴的だが、フロントガラス下にボウタイエンブレムがなければ、シボレーであることもわからないほど個性的。カーゴスペースは内装がしっかり貼られており、対面ベンチシートが設置されているが、将来的には冷蔵設備を搭載したいそうだ。
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2.シボレーアストロ×フォトグラファー・伊藤恵一さん
愛車遍歴はランドローバーディスカバリーに続きアストロ、そして3台目もアストロというデカいクルマが大好きだという伊藤さん。フォトグラファーという仕事ながらカメラ機材をたくさん積むことも多く、家族でキャンプも行くため、積載量の高いアストロは最適なのだとか。「一度このサイズになれてしまうと、普通のクルマには戻れませんね(笑)」
3.シボレーシェビーバン×「ボヘミアンズ」CEOガーデナー菊地 亮さん
茅ヶ崎にあるボタニカルショップ、ボヘミアンズの代表であり、ガーデナーとしてクリエイティブな庭を創り出す菊地さんは、レトロな風合いがオシャレな雰囲気を醸し出す1978年式のシボレーのシェビーバンを愛用中。全長が約4.6m、幅と高さが約2mと、大きな車体に配されたレッドカラーが、長年の時を経て綺麗に色落ちし、程よく味が出たラットスタイルに。そのエイジングした外装は、自由の国アメリカを想像させる、まさにお手本のような佇まいだ。サイドミラーが見えづらいなど、年式による不便さは若干あるものの、それを補って余りある所有感は、言葉では言い表せない高揚感を味わえる。
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4.シボレー G10 シェビーバン × サーフショップ「ホーリースモーク」梶川さん
ワーゲンのキャンパーやE350ベースのウィネベーゴを乗り継ぎ、梶川さんが辿り着いた答えはカーゴバンを自分仕様にモディファイすることだった。ワーゲンバスでハイルーフの利便性に気づき、余分な装備がないカーゴバンをベースにプロジェクトをスタートさせ、約2カ月で完成させた。収納力や居住性、パワー、梶川さんが求める条件をすべて満たしたこのマシンは、自分のこだわりを追求できるというセルフカスタムの本質を表現している。
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ここからは、カリフォルニアでスナップしたシボレーユーザーを紹介!
5.1969 Chevrolet Sportvan(シボレー スポーツバン)
探そうと思うと意外とレアなクルマであることに気がつく’60年代のフルサイズバン。丸目のフロントマスクはワーゲンバスの兄貴みたいなスタイル。オーナーのデビッドはこれを4年間所有しているというお気に入りの1台。ちなみにこのバンにはヴァネッサという名前を付けているんだとか。
6.1962 Chevrolet Bel Air(シボレー ベル エア)
「今日は波乗りの来たわけじゃないんで、セダンなんだよね」と、他にもクルマ持ってるぜをアピールするケビンはプロツーリング仕様にカスタムされたベルエアを駆る。カーショーに持って行っても遜色ないクオリティのクルマを日常使いしているところは、よほどな愛好家である
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7.1968 Chevrolet Corvette(シボレーコルベット)
サーファーのクルマといえばワゴンやバンというのが常識だけど、ご覧のようなコルベットという人もいる。「サーフィンに行くときは助手席にボードを載せるんだよ」とオーナーのマークはさらり。アメリカではそれが成立しちゃうからおもしろい。なぜか車内に常備するヘルメットを被って撮影するという陽気な性格であった。
8.CHEVROLET CAMARO CONVERTIBLE(シボレー カマロ コンバーチブル)
しっかりとレストアされて甦った1968年式シボレー・カマロ・コンバーチブルの雄姿。オープンモデルにはこんな大人っぽいボディカラーがよく似合う。センス良し。
9.Chevrolet Corvette(シボレー コルベット)
7世代目となる現行シボレー・コルベットはクーペモデルも、ルーフが外せるいわゆるタルガトップになっている。このスタイルは昔からアメリカ車に存在していた。
シボレーを新車で買うなら? 中古で買うなら?
現在GMのブランドは「キャデラック」「ビュイック」「シボレー」「GMC」の4ブランドとなり、日本では「キャデラック」「シボレー」のみ展開されている。つまり、シボレーは直営店があるので新車を購入することが容易だ。だが、取扱い車両は「コルベット」「カマロ」に限られる。そのほかの車両を手に入れるには並行輸入が選択肢になってくる。
また、中古車で手に入れるというのも選択肢だ。特に旧車を手に入れるにはアフターケアを安心して任せることのできる店選びが必要になる。もしシェビーバンなどフルサイズバンを探しているのなら、ライトニング本誌でもたびたび取材でお世話になっている「DEEZ CREW」がおすすめ。詳しくは下記記事をチェックしてみてほしい。
いかがでしたでしょうか? 幅広い車種を出しているシボレーは、人によってさまざまなイメージがあるはず。特にライトニングでは遊べるクルマとしてシェビーバンが登場することが多いが、コルベットやカマロといったスポーツカーも注目したいところ。旧車も年式で変わるデザインが面白く、選択肢のひとつに加えてみてはいかが?
(出典/「Lightning 2017年7月号 Vol.279」「Lightning 2020年8月号 Vol.316」)
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