靴底の張り替えのタイミングは? 製法によって異なるソール交換と修理の目安を伝授!

  • 2023.02.07  2020.06.18

何度もリペアする度に蘇るのがレザーシューズの魅力。でもそのタフさに甘えて過信していない? 適度にメインテナンスをしなければ、長持ちしないので、その心得を知っておきたい。修理の見極めのタイミングも靴の製法によって異なるのでぜひ押さえてほしい

お気に入りの靴をいつまでも履くために、修理は必須。

ファッションが好きなら、ブーツやレザーシューズを持っていない人はいないだろう。ガシガシと気にせずに履けて、使えば使うほど味が出て、愛情が湧いてくるのが革靴の醍醐味だ。ただ頑丈と言ってもそれは限界があり、適度なタイミングでリペアを行わなければ、ダメになってしまう可能性だってある。

そこで世田谷代田にあるシューリペア&カスタムショップ「ブラス」の松浦さんに、気に入った靴を愛用するための心構えを聞いた。

「BRASS Shoe Co. 」クラフトマン・松浦稔さん|1977年生まれ。大学を卒業後、エンジニアとして働くが、シューリペアの世界に興味を持ち転職。有名リペアショップで技術を学び、2007年に世田谷代田にBRASS Shoe Co.を設立する。そして待望のオリジナルブランド、クリンチを自社生産でスタート

「もちろん日々のメインテナンスも大切なのですが、もともとオイルがたっぷりと入った革は、すぐに抜けきってしまうということはありません。それよりも気を配りたいのは、ソールですね

オールソール交換をすればいいと思って、アウトソールがギリギリになるまで履く方がいますが、これは少し危ないですね。その理由はブーツの型崩れです。特に左右のどちらが極端に減る歩き方をする人は気をつけてください。ソールは直せますが、ブーツそのものの型崩れする場合があります。

あと製法によって、気を使うのも大切です。ワークブーツから紳士靴まで定番のグッドイヤーウェルト製法であれば、何度もオールソール交換ができますが、ステッチダウン製法の場合は、少し事情が異なります

もちろん堅牢な作りで、長年使うことも可能。ただこの手法はアッパーを外に逃がし、そこにアウトステッチをかける構造ゆえに、何度もオールソール交換を繰り返すうちに、ステッチ穴が増えて切れるんです。アッパーをコバまで使う一番の理由は、防水性。だからヒール付きのワークブーツやマウンテンブーツが主流です。こまめにヒール交換をしたり、ワンピースソールであれば、アウトソールのみを交換することで、安心して長く使えるはずですよ。

マッケイであれば、ソール中底と直接縫われているシンプルな製法なので、アウトソールにあるステッチを切らないのが大切。もちろんブランド側では考慮されていますが、レザーソールならゴムを張ると耐久性がグッと上がります。

大事なのはリペア=オールソール交換ではなく、こまめに部分的に修理する方が結果的に経済。靴も長持ちすると思いますよ。クラークスに代表されるクレープソールもヒールを継ぎ足せますし、フラットなクッションクレープも足せるんです」

靴はファッションの前に道具。そのポテンシャルを活かせるように常に気を配っておく必要だあるのだ。

製法別で異なる交換のサインを見極める。

シューズと言ってもそのソールの付け方は数種類ある。それぞれの製法でリペアのサインが違ってくる。代表的な製法別に紹介していこう。

1.【グッドイヤーウェルト製法】ヒールの削れすぎは靴全体を傷める恐れアリ。

レッド・ウィング モックトゥ6’|レッド・ウィングの大定番。フラットで柔らかなクッションクレープソールだが、適度なタイミングで交換を。ソール交換1万2960円~

もっともメジャーな製法と言えるのが、グッドイヤーウェルト製法だ。大きな特徴はアッパーとウェルト(コバ部分)を縫製し、外側にステッチを掛けることでアウトソールをくっつけるという工程。アッパーとソールが直接繋がっていないので、物理的には何度もオールソール交換ができるという仕組み。

ただこの部分に甘えて、ギリギリまで穿いてしまう人が多いのも事実。そうなるとアッパーに歪みが生じ、リペアではどうにもならないので注意してほしい。

交換のサインはコレ!

ギリギリまで履くのはNG。この程度が修理に出すギリギリのラインだ。

グッドイヤーウェルト製法とは?

キング・オブ・ワークブーツでお馴染みのレッド・ウィングから、英国のノーザンプトンの紳士靴メーカーまで使っている代表的な製法。ハンドソーンウェルテッド製法をアメリカのチャールズ・グッドイヤーが機械化させたもの。

2.【ステッチダウン製法】アッパーの革が削れる前に交換は必須。

クラークス デザートブーツ|メイドインイングランドのクラークス。 クレープソールなので全体がすり減っている。ヒールを交換するだけで効果的だ。ヒール交換3240円

ステッチダウン製法は、クラークスやダナー、ホワイツ、ウエスコなどが代表的。グッドイヤーウェルト製法と違って、アッパーの革をそのままコバ部分に持ってくるため、気密性が高く、防水性能は抜群。雨の多い土地にはメジャーな製法だ。

ただ何度もオールソール交換を繰り返すと、アッパーの革にミシンによる穴が空き、それがいつか繋がって切れてしまう。作り自体は頑丈で、何十年も履けるものなので、適時に部分修理をしていくことで、安心して愛用できる。特にクラークスはクレープソールなので、アッパーが削れないように注意したい。

歩きやすいが、その分減りやすいクラークス。ゴムソールを足すことができる で、ヒール交換が可能。熱心なファンは前の方に穴が開くことを心配して二重にすることも

交換のサインはコレ!

このくらい擦り減ったら部分的な修理をするとベスト。長く履くにはよく確認しておこう。

ステッチダウン製法とは?

グッドイヤーウェルト製法よりも旧い伝統的な製法のひとつ。アッパーの端をそのままウェルト部分まで持っていき、アウトソールと縫製する。そうすることで袋状になるので、気密性が高く、屈曲性にも優れる。

3.【マッケイ製法】ステッチが切れないよう予防策を取るべし。

ユケテン デッキシューズ|ホーウィンのコードバンを使ったデッキシューズ。トゥが減っていて、アッパーを傷付けているのがもったいな い。ソール交換1万2960円

もっともシンプルな製法のひとつであるのが、マッケイ製法。エレガントに仕上がるのでイタリアの高級ブランドも多く採用する。中底をそのままアウトソールと縫い合わせる製法の為、返りが良く、軽く仕上がる。また柔らかな革でも難なくアッパーに使えるため自由度が高い。そのためデッキシューズやローファーなど、シューレースがないものによく用いられる。

ただアウトソールにステッチがあるので、そこが切れるとソール交換。ステッチ部分から水が侵入する可能性もある。なのでレザーソールになっている場合は、安全策としてラバーを付けたり、減りの激しいトゥにガードを付けることをオススメ。

マッケイ製法でレザーソールの場合は、この2つのケアをすると耐久性がかなり違ってくる。ハーフラバーは、耐久性だけでなく、 雨天時に滑りにくくなるのもポイント。スティールトゥも絵になる。 ハーフラバー3240円~、スティールトゥ4320円~

交換のサインはコレ!

ステッチ部分まで削られはじめてきたら交換のサイン! このまま履いてしまうと切れてしまう。

マッケイ製法とは?

アッパーの革を内側に巻き込み、そのままソールと縫ってしまうシンプルな製法。靴の重さはソールの重量に直結するので、この製法はかなり軽く作れる。また包み込まれるような履き心地になるのもポイントである。

LiLiCo

昭和45年女

人生を自分から楽しくするプロフェッショナル

LiLiCo

松島親方

Lightning, CLUTCH Magazine, 2nd(セカンド)

買い物番長

松島親方

ランボルギーニ三浦

Lightning

ヴィンテージ古着の目利き

ランボルギーニ三浦

ラーメン小池

Lightning

アメリカンカルチャー仕事人

ラーメン小池

上田カズキ

2nd(セカンド)

アメリカントラッド命

上田カズキ

パピー高野

2nd(セカンド)

断然革靴派

パピー高野

村上タクタ

ThunderVolt

おせっかいデジタル案内人

村上タクタ

竹部吉晃

昭和40年男, 昭和45年女

ビートルデイズな編集長

竹部吉晃

清水茂樹

趣味の文具箱

編集長兼文具バカ

清水茂樹

中川原 勝也

Dig-it

民俗と地域文化の案内人

中川原 勝也

金丸公貴

昭和50年男

スタンダードな昭和49年男

金丸公貴

岡部隆志

英国在住ファッション特派員

岡部隆志

杉村 貴行

2nd(セカンド)

ブランドディレクター

杉村 貴行

2nd 編集部

2nd(セカンド)

休日服を楽しむためのマガジン

2nd 編集部

CLUTCH Magazine 編集部

CLUTCH Magazine

世界基準のカルチャーマガジン

CLUTCH Magazine 編集部

趣味の文具箱 編集部

趣味の文具箱

文房具の魅力を伝える季刊誌

趣味の文具箱 編集部

タンデムスタイル編集部

Dig-it

初心者にも優しいバイクの指南書

タンデムスタイル編集部

昭和40年男 編集部

昭和40年男

1965年生まれの男たちのバイブル

昭和40年男 編集部

昭和45年女 編集部

昭和45年女

“昭和カルチャー”偏愛雑誌女子版

昭和45年女 編集部

昭和50年男 編集部

昭和50年男

昭和50年生まれの男性向け年齢限定マガジン

昭和50年男 編集部