その“星”が、ライダースジャケットの歴史を変えた。
1913年、アメリカ・ニューヨークでアーヴィン・ショット、ジャック・ショットの兄弟によって設立されたショット。現在、そのファクトリーは、ニューヨークと隣接するニュージャージー州のユニオンという街にある。広大な面積を持つファクトリーには110人ほどの職人が、レザーや布帛のショットのアイテムを黙々と作っている。
元々はレインコートを作っていたショットだが、1928年に『PERFECTO』シリーズをリリースし、そのフラッグシップモデルとして’50年代にエポレットに星型スタッズを配したライダースジャケット「ワンスター」を誕生させた。なぜスターだったのか。その疑問を、現在ショットのCOOを務めるジェイソン・ショット氏にぶつけてみた。
「正確な記録は残っていないのですが、ミリタリーの階級章から着想を得たのは間違いありません。その男らしい装飾が、瞬く間に人気を博していったのです」
ワンスターが誕生してから70年余り。その時代時代の空気感を取り入れ、進化を続けながらも、その根幹は全く揺らぐことはない。当時の製法を今でも守り続け、「ライダースジャケットのアイコン」として、いまなお頂点に君臨し続けるSchottワンスター。ファクトリーで働く職人のひとりひとりから、頂点を護り続けるプライドがひしひしと感じられた。
Schottワンスターを産み出す、誇り高き職人たち。
レザージャケットにとって非常に重要な工程が「裁断」。傷を避け、革の繊維の方向を読みながらパーツを切り出していく。この繊維の向きを読み誤ると、型崩れの原因にもなってしまう。
エポレットとポケットフラップの抜型。この抜型を革の上にセットし、プレス裁断機を使って圧力によってパーツを抜き出していく。
身頃のパーツに、スラッシュポケット用の切れ込みを入れていく。この際、革を重ね合わせ、6枚同時に切っていくことができる。
ポケットフラップやジッパーなどが取り付けられ、徐々にライダース然とした姿が現れてきた。
襟の縫い合わせ部分を叩いて馴染ませていく。この作業を行うカーメンさんはSchottのファクトリーに34年勤める大ベテランだ。
新作などのデザインを担当するデザイナーのチャーリー氏。この先、彼の手によってどんなアイテムが生み出されていくのか楽しみだ。
(出典/「CLUTCH2022年10月号 Vol.87」)
Photo by Tadashi Tawarayama 俵山忠 Text by CLUTCH Magazine 編集部 https://schott-nyc.jp/
関連する記事
-
- 2024.11.21
この冬の相棒必至の革ジャン6選! スポーツジャケット編
-
- 2024.11.20
この冬の相棒必至の革ジャン7選! ライダースジャケット編
-
- 2024.11.15
経年変化とカスタムで、自分だけの一着を作る悦びを味わってみないか?
-
- 2024.11.12
いろんな革製品をゴシゴシしたくなる革専用ブラシ。