アイウエア=ファッションを確立した「アイヴァン」
アメリカ東海岸のトラッドファッションをベースに、当時のトレンドだったアイビースタイルを日本に根付かせたヴァンヂャケットと協業するかたちで1972年に産声を上げた、「アイヴァン」。“着るメガネ”という新しいコンセプトを提唱した今までにない洗練されたデザインは、まだその概念すらなかったアイウエア=ファッションという打ち出しで続々とアイコニックなモデルを開発。今日における国産メガネの礎を築いたと言っても過言ではない。
その後、ブランドは一時休止を余儀なくされたが、2018年に復活を果たす。そして、そのきっかけにもなったのは、ここにある2モデルである。ウェリントン型プラスチックフレームの[Webb]と、ボストン型コンビネーションフレームの[E-0505]は、まさにアメリカンクラシックを体現する、オーセンティックなデザイン。しかし、その背景には鯖江の職人たちによる、匠の技が息づいていることは、忘れてはいけない純然たる事実なのだ。
美しい光沢と滑らかな曲線をフリーハンドで磨く「Webb」
プラスチックフレームの製作はメタルフレームに比べていまだに多くの工程がハンドメイドである。[ウェブ]の生産を長年請け負っているこの工場は、プラスチックを専門に取り扱っているだけあって、年季の入った機械が随所に見られるなど、昔ながらのメガネ作りの風景が多分に残されていた。
なかでも[ウェブ]の真髄である、美しい光沢とフォルムを生み出すため、最も重要となる工程が「磨き」。メガネの磨きは大きく分けてふたつ。バレルと呼ばれる箱の中で研磨剤とともに数日間、回しながら磨く「ガラ入れ」と、数種類の布を使い分けながら手作業で行われる「バフ磨き」があり、それぞれの工程を3回ずつ交互に行う。
特にバフ磨きに関しては、手作業のため、職人の経験が物を言う。「磨きながら削り、丸みを出しつつも、角をつける」、この相反するような奥深い匠の技により、あの特徴的な甲丸感とシャープな直線のバランスが生まれるのだ。
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