【~1920s】かつて主流だった「サドルブリッジ(イチヤマ)」
この時代のメガネは、ファッションアイテムではなく、あくまで実用品。「識字者」やエリートなどの特権階級の人々が、マイサイズでオーダーして使うようなものであったのだ。サドルブリッジは、ノーズパッドがなく、ブリッジを鼻に乗せて使う原始的なデザインである。
カメマンネン
クラシックなチタン製サドルブリッジ。カラーもアンティーク調で、当時の雰囲気を満喫できる。4万1800円(アイウェア メビウスTEL03-5728-2018)
アイヴァン
可変式のイチヤマパーツを使用した高機能な一本。テンプルもセル素材で、ほどよくモダン。5万600円(アイヴァン 東京ギャラリーTEL03-3409-1972)
【1920s】実用品から装飾品へ変わっていく「リムレス」
レンズを囲う「リム」がなく、剥き出しになっているデザイン。「ブリッジ」と「左右のテンプル」の計3つの部品を直接レンズに装着していることからスリーピースと呼ばれる。なお、この頃からアイウエアが実用品ではなく、装飾品であるという考えが生まれ、彫金が施されるようになる
イエローズプラス
ブリッジに施された細かな彫金や、パッドの抱き蝶仕様など、実にミニマルなのにこだわりは満載。3万8500円(G.B.ガファスTEL03-6427-6989)
ディグナクラシック
美しい彫金など、ブランド得意のクラシックスタイル。一方素材はグニャリと曲がるゴムメタル。4万8400円(ディグナ ハウスTEL03-5843-1612)
【1930s】メガネ界における偉大な発明「フルビュー」
ノーズパッドが開発され、テンプルをフレームの上部に配置することが可能に。着用した際に、より視界が開けるようになった。アイウエア界における最も偉大な発明のひとつ。なお、「フルビュー」という名称は、AO(アメリカンオプティカル)が開発し、30年代に特許を取得。
アイヴァン7285
平均以上に高い位置につくテンプルは、ネジ留めを鼻側につけることで実現。5万7200円(アイヴァン 7285 トウキョウTEL03-3409-7285)
エイチフュージョン
昭和初期に開発されたサンプラチナ製で、光沢の強いエレガントな一本。3万1900円(アールイー:アイウェアアンドコーヒーTEL096-285-9009)
【1940s】デザインと機能性が融合するミッドセンチュリー期のモダンアイウエア「バーブリッジ」
フルビューをさらにに発展させたようなデザインで、ブリッジが最上部に配置される。ミッドセンチュリー期ということもあって、モダンデザインがアイウエアにも採用されるようになった時代だ。モダンアイウエアの基礎となるデザインの登場となった。
サイ スペックス
ブリッジ部分に彫金を施し、当時の雰囲気を活かしつつモダンな印象も感じる。4万7300円(グローブスペックス エージェントTEL03-5459-8326)
イエローズプラス
バーブリッジ&リムレスと、クラシックなアイウエアデザインを存分に堪能でき、クリーンな雰囲気。3万8500円(G.B.ガファスTEL03-6427-6989)
【1950s】プラスチックの台頭で、メタル一辺倒の時代に変化が生まれたコンビフレーム「ブロウ」と「パイロットグラス」
初めて高品質で安定した樹脂素材が導入されるようになり、レンズ上部がセル、下部がメタルで構成されるコンビフレームが世界的に流行。AO社がサーモントという名称で商標登録している。かのマルコムXが愛用したことでも有名。
サイ スペックス(ブロウ)
クラシックなブロウタイプの[マリック]は、クリアカラーが新鮮。5万5000円(グローブスペックス エージェントTEL03-5459-8326)
ルネッタ バダ(ブロウ)
ボリュームのある眉部分が、シンプルさのなかで力強さを演出。5万1700円(アールイー:アイウェアアンドコーヒーTEL096-285-9009)
1940年代に米空軍のジェット機導入に伴い、ミルスペックでパイロットのサングラスが創られた。そのルックが人気となってファッションアイテムに。写真のヴィンテージはアポロの月面探査で着用されたモデルで、スミソニアン博物館にも所蔵されている。
アイヴァン(パイロットグラス)
リムとテンプルの接合部に見られる飾りや、イチヤマ風のブリッジなど、さりげない個性でアピール。3万9600円(アイヴァン 東京ギャラリーTEL03-3409-1972)
アメリカン・オプティカル(パイロットグラス)
1958年に生まれ、アメリカ軍にも愛されたロングセラー。いまだに多くの要素を当時より引き継いでいる。3万9600円(クライン アイウェアTEL03-5458-8185)
【1960s】力強さの象徴、セルフレーム全盛期はクラシックなフレームシェイプ「ボストンウェリントン」「ウェリントン」「P3(ボストン)」
60年代には、セルフレームのメガネが全盛を迎える。現代ではウェリントンとボストンの中間として、ボストンウェリントンとも呼ばれる、アイビーらしいクラシックなフレームシェイプも人気を博した時代。なかでも、写真の〈タートオプティカル〉屈指の名作[アーネル]は、現代でも多くの人に愛用される。
アイヴァン(ボストンウェリントン)
シンプルで飽きのこない定番。クラシックカーがモチーフのテンプル芯がアクセント。3万6300円(アイヴァン 東京ギャラリーTEL03-3409-1972)
モスコット(ボストンウェリントン)
名品[レムトッシュ]のジャパンリミテッド。ノーズパッドのクリングスで、日本人も快適な掛け心地。4万6200円(クライン アイウェアTEL03-5458-8185)
1960年代に大流行したセルフレームのなかでも洗練されたクラシックな印象のウェリントンシェイプ。写真はアイビーのアイコン、ジョン・F・ケネディも愛用していた〈アメリカンオプティカル〉の[サラトガ]。AO、シュロン、ボシュロムはアメリカ3大アイウエアメーカーと称される。
E5 アイヴァン(ウェリントン)
変形や経年が少ない「ハイカウント アセテート」を採用。軽量性とフィット感にも富んだ永く付き合いたい一本。4万6200円(アイヴァン PR TEL03-6450-5300)
ディグナクラシック(ウェリントン)
典型的なウェリントンシェイプの[ジャック]。サンプラチナ製の各部リベットは、腐食しづらく実用性も高い。3万7400円(ディグナ ハウスTEL03-5843-1612)
フランスで多く生産されていたパントゥシェイプも、セルフレーム全盛の時代にアメリカで作られるように。なお、パントゥというシェイプ名は、英語ではP3、日本ではボストンと呼ばれている。〈メイ・オプティカル〉というアメリカブランドらが、当時このスタイルでメガネを製造していた。
BJ クラシック コレクション(P3[ボストン])
シルエットはクラシックでありながら、チタン製ノーズパッドを採用したハイブリッド仕様で、着用感も考慮。3万5200円(アイウェア メビウスTEL03-5728-2018)
オリバーピープルズ(P3[ボストン])
『アラバマ物語』のグレゴリー・ペックが着用していたメガネをイメージ。ブリッジなど随所のボリューム感が◎。3万4540円(コンティニュエTEL03-3792-8978)
70年代以降、メガネはより多様化していく
メガネに使用されていたレンズが、フラットなガラスから自由の効くプラスチックになり、それまではできなかった複雑な形をしたフレームが制作できるようになる。フレームデザインは一気に多様化し、一層ファッションアイテムとしてのデザイン性を高めていく。
スティーブ・マックイーン・アイウェア
名優の名を冠して2020年に始動したブランド。彼のスタイルを体現した男らしいデザインが魅力。各5万9400円(グローブスペックス ストアTEL03-5459-8326)
オリバー・ゴールドスミス
アイウエアデザインの多様化は、世界中で起こった。英国も同様で、こちらは同ブランドが70年代モデルを復刻したもの。4万700円(G.B.ガファスTEL03-6427-6989)
【DATA】
グローブスペックス渋谷店
住所/東京都渋谷区神南1-7-5 アンドスビル1F,3F
TEL03-5459-8377
営業時間/12:00〜19:00
休み/無(年始除く)
www,globespecs.co.jp
【ザ・スペクタクルに関する問い合わせ】
グローブスペックス ストア
TEL03-5459-8326
※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。
Photo/Norihito Suzuki, Yoshika Amino Styling/Shun Iizuka Text/Shuhei Takano
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