着るメガネ、EYEVAN。

アメリカ東海岸の学生たちを参考としたスタイルで、日本におけるアイビーブームが成熟期を迎えた1970年代初頭。ファッションアイウエアの原点と言われるブランドが誕生した。その名も「アイヴァン」。ヴァン ヂャケットの石津謙介氏とともに、アイヴァンを立ち上げた山本哲司氏(現代表取締役会長)は、「着るメガネ」をスローガンに掲げて、当時、視力矯正器具でしかなかったメガネを業界で初めてファッションアイテムとして打ち出した。

ファーストコレクション発表時より大々的に展開された、スタイリッシュで前衛的な広告戦略は瞬く間に若者たちの注目を集める。また当初より販売員への意識改革を図り、服飾業界の有識者を講師に招いたセミナーを開くなど、その大胆かつ地道な啓蒙活動は、今日の日本におけるファッションアイウエア文化の礎を築いた。以降も77年に始動した若者向けライン「アイビーリーガース」の爆発的なヒットや、80年代後半には世界のセレブが愛用するなど、その認知度は世界レベルへと広がった。

そんなアイヴァンは2003年に展開を一時休止するものの、2018年には復活。欧米のヴィンテージスタイルを軸に、独自のモダンなエッセンスを加えたフレームデザインは服好きにこそ人気を集める。〝着るメガネ〞の文化を生みだした先駆者が、今また業界のトップブランドとして返り咲いたのだ。

時代の先端を行く広告戦略でメガネのイメージを一新。

ブランド発足当時より、「メガネ=ファッション」として、世間に広く、かつスピーディに打ち出すため、積極的な広告戦略を仕掛けたアイヴァン。そのモダンで洗練されたビジュアルは、当時の若年層を中心にすぐさま受け入れられた。さらに、それを文化として根付かせるため、直にユーザーと接する販売員の意識改革を推進。ファッション業界の有識者を講師に招いたセミナーや新作発表展示会などを積極的に行った。その他にも、メガネを感覚的に選ぶことができるオープンディスプレイを業界で初めて採用するなど、今日におけるアイウエアの在り方に大きな影響を与えている。

1987 年はアメリカンクラシックに回帰。当時としては珍しいコンビネーションフレームや大ぶりなボストンフレームが流行した。モノクロームで淡いビジュアルがそれを強調する
ドラマティックなライティングの中で、メタルフレームを着用する男女が印象的に写る1973年のポスタービジュアル。この広告宣伝効果か、斬新なデザインのメタルフレームがファッションアイウエアの新たな潮流として人気を獲得した
1973 年にはテレビCMも制作。メガネを掛けた目元にフォーカスする構成は至極スタイリッシュ。ヤング編とアダルト編が作られ、幅広い年齢層をターゲットとしたことが伺える
発足当時、1973 年頃の広告「メガネを着る革命」では、服装とともにメガネも着替えることを強く打ち出した。日本におけるファッションアイウエアの幕開けである
アイビーを強調した学生向けライン「アイビーリーガース」では、VANの創業者である石津謙介氏や当時の学生たちを大胆に もモデルに起用した広告も。80 年代には本場アイビーリーグでの撮影も行われてる

アイヴァンのクラシックス

世界屈指と評されるメイド・イン・ジャパンの技術力や積極的に取り入れられるオリジナルパーツ。アイヴァンのフレームはヴィンテージデザインをベースとしながらも、モダンなエッセンスが加えられている。定番人気を獲得するボストンウェリントン型の[ウェブ]や、優雅なツーポイントの[オービット]など、往年のアメリカントラディショナルスタイルを体現するデザインに加えて、フレンチヴィンテージから着想を得た、[メイソン]や[サドラー]がひと際目を惹く。

(上から順番に)

OFF-17T

スパイク・リーも愛用した80年代の傑作アーカイブを復刻。オーバル型のチタンフレームに特徴的なプラスチックのノーズパットを融合させたデザインは無二。4万700 円

Mason

フレンチヴィンテージの人気デザインであるクラウンパントをエッヂの効いたフロントとワイドテンプルで現代的にアレンジ。丁番は60年代のデザインを再現。3万3000円

Webb

アメリカントラディショナルの基本である、ボストンウェリントン型の永久定番。オリジナルのカシメ丁番や柄を彫り込んだテンプル芯は横から見ても印象的。2万9700 円

Orbit

ヴィンテージに用いられたヨロイとレンズの間に板を挟むデザインのツーポイント。フィット感を高める純チタンフレームに職人技が光る彫金がエレガント。4万6200 円

Sadler

通称パリジャンと呼ばれるフレンチヴィンテージをアレンジ。リム上部がやや膨らみ、小ぶりながら肉厚で力強いデザインはアメリカデザインとは異なる魅力。3万800 円

“ 着るメガネ” 、3人の場合。

個性豊かなデザインコンセプトで、あらゆる趣向にフィットするアイヴァン。年齢、性別、国籍も異なる3人に相応しいメガネとコーディネイトを考えてみた。

Euro Vintage Style×[Mason]

NILS
Age_43
Country_Germany
Eyes_Blue
Hair_Dark Blonde

リム上部が王冠のような型をした通称クラウンパントはフレンチヴィンテージを代表するシェイプ。ノーカラージャケットにバンドカラーシャツ、首元にスカーフを巻いた、ヨーロッパスタイルに完璧なマッチングを魅せる。

メガネ3万3000円/アイヴァン、ノーカラーワークジャケット3 万9600円/ハバーサック エキップメント(ハバーサック,フラッグシップストア☎03-3477-0521)、バンドカラーシャツ3万800円/ ユーゲ ン(イデアス☎03-6869-4279)、パンツ4万1800円/アナザー アスペクト、ベルト9900円/トリーレザー(ともにメイデン・カンパニー☎03-5410-9777)、スカーフ1万2100円/ アナトミカ(アナトミカ東京☎070-3144-0378)、ローファー12万6500 円/ジェイエムウエ ストン(ジェイエムウエストン青山店☎03-6805-1691)

American Casual Style×[Pond]

SHINSHIN
Age_31
Country_Japan
Eyes_Dark Brown
Hair_Black

アメリカンヴィンテージの原点である「フルヴュー」タイプから着想を得たフルメタルモデルには往年のアメカジスタイルが相応しい。一見シンプルながら職人技が光る美しい彫金やディテールに強いこだわりも感じさせる。

メガネ4万1800円/アイヴァン、トラッカージャケット5万5000 円/ワイス(ユーソニアン グッズストア☎03-5410-1776)、ウエスタンシャツ1万8700円/ブルー ブルー(ハリウッド ランチ マーケット)、パンツ4万1800円/ アナザー アスペクト(メイデン・カンパニー☎03-5410-9777)、ストール8800円/ トゥータル(ハバーサック,フラッグ シップストア☎03-3477-0521)、シューズ13万6400円/ オールデン (ラコタ ハウス 青山店☎ 03-5778-2010)、ベルトスタイリスト私物

Mannish Traditional Style×[E-0505]

HINA
Age_21
Country_Japan
Eyes_Dark Brown
Hair_Dark Brown

ボールドストライプのジャケットが主役のマニッシュな装いには、アイヴァンのアイコンモデルをコーディネイト。完成されたデザインのボストン型コンビフレームはクセが少なく、年齢や性別を問わない普遍性を持つ。

メガネ3万6300円/アイヴァン、スクールジャケット17万6000円/アナトミカ(アナトミカ東京☎03-5823-6186)、シャツ2万9700円/アナザー アスペクト、ベルト9900円/トリーレザー(ともにメイデン・ カンパニー☎03-5410-9777)、タンクトップ8800円、フレアパンツ2万6400円/ともにヤングアンドオルセン ザ ドライグッズストア(グーニーPR☎03-6441-2142)、シューズ6万9300円/パラブーツ(パラブーツ青山店☎03-5766-6688)

【問い合わせ】
アイヴァン 東京ギャラリー 
TEL03-3409-1972
https://eyevaneyewear.com/

(出典/「2nd 2022年8月号 Vol.185」)

この記事を書いた人
2nd 編集部
この記事を書いた人

2nd 編集部

休日服を楽しむためのマガジン

もっと休日服を楽しみたい! そんなコンセプトをもとに身近でリアルなオトナのファッションを提案しています。トラッド、アイビー、アメカジ、ミリタリー、古着にアウトドア、カジュアルスタイルの楽しみ方をウンチクたっぷりにお届けします。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

革ジャン好きなら一度は通るべき! 「No,No,Yes!」の最上級オーダー“アルチザン”とは?

  • 2026.06.01

「世界にひとつだけの革ジャンを作る」。それは、レザーラバーの憧れだ。革好き注目のブランド「No,No,Yes!」が誇るオーダーメニューの中でも最上級に位置する「アルチザン」とはいったいなんなのか? その正体に迫る。 革ジャンの伝道師・モヒカン小川が実際に“アルチザン”を体験 これは単なる革ジャンの話...

働くヒトとヴァーグウォッチ。【vol.01靴磨き職人/「Chett」店主・大平雄太さん】

  • 2026.05.21

「Time is Money」=「時は金なり」。自身の仕事に誇りを持ち、日々働く人々は有限な“時間”というものを重んじ、身につけるプロダクトにも徹底的にこだわる。アンティークウォッチの旧きよきディテールを備えながら、手軽かつデイリーに使うことのできるヴァーグウォッチはそんな彼らの心強い相棒となる。 ...

「ファーストアローズ」創業30周年記念! 「JELADO」「RE-BUILT」とのコラボによる銀で彩った、贅沢なデニム。

  • 2026.06.29

日本屈指のシルバーアクセサリーブランド「ファーストアローズ」が創業30周年を記念して、これまでの集大成かつファンへの感謝の気持ちを込めて、「JELADO」と「RE-BUILT」とコラボしたスペシャルなデニムを制作。限定100本。節目の年に相応しいこだわりに満ちたデニムの詳細を大解剖! First A...

上質な革を日常に。「INCEPTION」のショルダーバッグは経年変化が楽しみになる相棒だ

  • 2026.06.26

レザーほど、所有者とともに過ごした年月が如実に現れる素材はない。毎日のように身につけるレザーバッグは、なおのことである。“革”に徹底的にこだわるINCEPTIONのショルダーバッグはクラッチマンの相棒として最適な存在だ。 FANNY PACK 腰に巻いて使用することを目的とするファニーパックをショル...

日本人に最適化された新作の“JAPAN LIMITED”に注目!「MOSCOT」現代に引き継がれるアメリカンクラシックのDNA

  • 2026.05.20

1915年にNYで創業し、アイウエアデザインの王道を形づくった「モスコット」。多様なデザインで溢れるいまこそ、伝統に裏打ちされたクラシックな佇まいに惹かれる。 新作の“JAPAN LIMITED”のラインナップを紹介! 2016年よりスタートした“JAPAN LIMITED”は、インラインにはないノ...

Pick Up おすすめ記事

働くヒトとヴァーグウォッチ。【vol.01靴磨き職人/「Chett」店主・大平雄太さん】

  • 2026.05.21

「Time is Money」=「時は金なり」。自身の仕事に誇りを持ち、日々働く人々は有限な“時間”というものを重んじ、身につけるプロダクトにも徹底的にこだわる。アンティークウォッチの旧きよきディテールを備えながら、手軽かつデイリーに使うことのできるヴァーグウォッチはそんな彼らの心強い相棒となる。 ...

革ジャン好きなら一度は通るべき! 「No,No,Yes!」の最上級オーダー“アルチザン”とは?

  • 2026.06.01

「世界にひとつだけの革ジャンを作る」。それは、レザーラバーの憧れだ。革好き注目のブランド「No,No,Yes!」が誇るオーダーメニューの中でも最上級に位置する「アルチザン」とはいったいなんなのか? その正体に迫る。 革ジャンの伝道師・モヒカン小川が実際に“アルチザン”を体験 これは単なる革ジャンの話...

日本人に最適化された新作の“JAPAN LIMITED”に注目!「MOSCOT」現代に引き継がれるアメリカンクラシックのDNA

  • 2026.05.20

1915年にNYで創業し、アイウエアデザインの王道を形づくった「モスコット」。多様なデザインで溢れるいまこそ、伝統に裏打ちされたクラシックな佇まいに惹かれる。 新作の“JAPAN LIMITED”のラインナップを紹介! 2016年よりスタートした“JAPAN LIMITED”は、インラインにはないノ...

上質な革を日常に。「INCEPTION」のショルダーバッグは経年変化が楽しみになる相棒だ

  • 2026.06.26

レザーほど、所有者とともに過ごした年月が如実に現れる素材はない。毎日のように身につけるレザーバッグは、なおのことである。“革”に徹底的にこだわるINCEPTIONのショルダーバッグはクラッチマンの相棒として最適な存在だ。 FANNY PACK 腰に巻いて使用することを目的とするファニーパックをショル...

もはや芸術品! 「Horizon Blue Jewelry」の装飾品の域を超えた美学

  • 2026.06.26

あまりに精緻で、目を見張るほどに美しいHorizon Blue Jewelry。その作品群を目の当たりにすれば、単なるアクセサリーの域を超え“芸術品”とも称される所以を容易に理解できるだろう。ここでは、アートピース級の美しさを湛えるジュエリーのなかから今後発売予定の新作も含めて紹介する。 アクセサリ...