Slackのプラットフォームとしての利便性を向上させる生成AI機能
Slackは大変便利だが、一方でSlackでコミュニケーションすることに時間がかかるというジレンマがある。
筆者も複数の組織でSlackを使ってきているが、組織の人たちがしっかりとコミットしてくれればとても便利なツールである反面、あとからスレッドを追うのが大変だったり、未読のチャンネルを消化するのに追われたりもする。『Slack疲れ』という言葉ができるほどだ。
一般には、Slackはメッセンジャーツールだと思われているが、Slack自身は『仕事のためのプラットフォーム』だと言っている。たしかに、使いこなせば、さまざなファイルをSlack上で管理したり、Slack自体が仕事のコミュニティと化していったりして、『プラットフォーム化』していくことを感じる。
在宅勤務でも仕事が回るのは、明らかにSlackのおかげだといえる。
Slack AI 日本版が4月17日にローンチ
Slackも他の多くの企業と同様に生成AIの活用を試みており、当然のことではあるが、2月14日には『Slack AI』として、生成AI機能の組み込みを発表した。
今回の発表は、その日本版、日本語対応についてだ。4月17日にローンチとのこと。
発表会に登壇されたのはセールスフォースジャパンの山瀬浩明さん。オンラインでSlackのユーザーインターフェイス/ユーザーエクスペリエンス担当SVPのクリスティーナ・ジャンザーさん。
日本でAIの企業利用が進まない理由は?
SlackのWORK FORCE LABの調査によると、ワールドワイドでは、『AIツールを試したことがある人』は2023年9月には5人に1人だったのが、2024年1月には4人に1人へと24%増加しているのだという。
しかし、日本では調査の中ではもっともAIの普及率が低く2024年1月時点でも5人に1人。差し迫って導入することに緊急性を感じている日本の経営幹部は87%と、世界でもっとも多いらしい。
Slackによると、スムーズに仕事に生成AIを導入するには、企業が明確なガイドラインを設けることが重要なのだそうだ。Slackでの利用であれば、企業の管理者が重視するセキュリティや、権利面での問題がクリアになっていることが導入のしやすさに繋がる。
今回、Slack AIとして搭載される機能は以下の3つ。
・回答の検索
・チャンネルの要約
・スレッドの要約
『回答の検索』は、たとえば過去のスレッドから特定の情報を検索するには、検索のノウハウと、長い時間が必要だった。しかし、Slack AIがあれが、指定した情報を過去のスレッドから探して教えてくれる。生成AIにはハルシネーション(さもありそうな答えを作ってしまう)の問題があるが、Slack AIの『回答の検索』機能では、エビデンスも提示してくれるので、安心だ。
『チャンネルの要約』機能は、あとから参加した場合や、普段あまり細かく見ているわけにはいかない関係性のチャンネルを見る時に役立つ。長く続いているチャンネルでも、AIが概要を取りまとめてくれる。
『スレッドの要約』は、事務的なやりとりで長々と続いているスレッドの要点を教えてくれる。急を要する時でも、この機能があれば、スレッドの概要を素早く把握できる。
残念ながら、Enterprise Gridのみ
これは便利! ……と思ったのだが、Slack AIの機能は、現在のところEnterprise Gridで、個別の契約をしないと使えないらしい。
ウチの会社でも契約してくれると、作業効率が上がりそうなのだが……導入されるだろうか?
(村上タクタ)
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