こうやって最新のHUAWEI WATCH Ultimateを、Apple Watch Ultraと並べたくなるほど、製品のクオリティは高いし、旺盛な開発力で、ユニークな製品を出し続けている。
日本国産スマホの全売上高よりはるかに巨額な研究費
創業は ’87年。日本にいる我々がHUAWEIの名を初めて聞いた時には、数多くある中華携帯メーカーのひとつ……だと思っていたが、その成長はいちじるしい。
毎年売上高(利益ではない!)の10%を研究開発に投じることで知られており、特許出願数は6年連続世界1(2017〜2022年)、2022年度の研究開発費はなんと3兆円を超えるとのこと。この金額は、日本製スマートフォンの総売り上げを束にしても足りない金額で、投じられている研究開発費が、総売り上げより多いとあっては太刀打ちできるものではない。
それだけの研究開発費を投じるHUAWEIの新製品が面白くないワケはなくて、5月24日に開催された発表会でもユニークな新製品がいろいろと発売された。
今回発表されたのは、HUAWEI WATCH Ultimateというフラッグシップスマートウォッチを中心に、5つの新製品。発表会会場で触れてきたが、どれもユニークで、クオリティ感も高い。
米国とのさまざまなあつれきにより課せられた制限
もうちょっとHUAWEIについて一般の読者の方のために補足説明しておくと、HUAWEIの急成長はアメリカの勘気に触れて、TSMCなどからの高性能チップの供給を受けられなくなったり、最新のAndroid OSを使えなくなったりしている。アメリカはHUAWEI製品は中国当局の諜報活動に利用されているとして、国内での利用や部品の輸出入に制限をかけたのだ。
5G通信(特に基地局側)においては4Gまでと違ってHUAWEIの技術が世界を席巻する可能性があったから、それを防ごうとしたイチャモンかもしれないし、中国当局のことであるから本当にそういうことがあったのかもしれない。いずれにしても、我々一市民レベルから見たら、どちらが言っていることが正しいのかはよく分からない。
実際のところ、現在のHUAWEIの製品にはGMS(Google Mobile Service)を搭載したAndroidは搭載できず、Androidのオープンソース部分を土台に独自開発したEMUIというOSで提供されている。さらに中国本土では、独自開発されたHarmony OSというOSで動作しているそうだ。
巨大な資本と開発力を持ち、良くも悪くも独自性が強くなりつつある企業……それがHUAWEIなのである。
自由にチャレンジできる立ち位置
筆者はアップルの製品が好きだが、アップルはアップルで、常に最高の完成された製品を提供するという自らの過去の成功に縛られている部分がある。常に、製品ラインを絞って、最高の製品のみを提供するというのがアップルの流儀だが、つまりそれは『ちょっとしたチャレンジ』を行いにくいということでもある。
そういう意味では、HUAWEIは自由で、新製品を出してみて、売れなければそのラインはやめるという自由度がある。それゆえにHUAWEIの製品はユニークだと思うのだ。だから、時間が許せば、HUAWEIの新製品発表会には足を運ぶようにしているのだ。
特にスマートウォッチのような新しい分野において、HUAWEIの開発力は力を発揮すると思う。
対して、アップルは医学的にちゃんとエビデンスの取れた機能しか搭載せず、可能であれは医療機器として使えるレベルに完成させてから提供しようとする傾向がある。
それはそれで素晴らしいし、安心できることなのだが(特に医療分野においては)、次々と新機能を投じるHUAWEIを見ていると、これはこれで楽しいと思ってしまう。
ヘルスケアデータは、安心できる場所に置いておきたいし、何より長期間継続して取得することが大切。スマートウォッチを短期間で変更することはできないし、筆者はApple Watchを使い続けると思うが、もし複数付けられるものならHUAWEIのスマートウォッチも試してみたいと思うほど、それは魅力的だ。
巨大で高品質なスマートウォッチ『HUAWEI WATACH Ultimate』
さて、前置きばかりが大変に長くなったが、今回日本市場に向けて発表された新製品をご紹介しよう。
まずは、発表の一番中心となったのは、HUAWEI WATACH Ultimate。5月26日に13万5080円(市場想定価格)で発売される。
ご覧のように、大きくて中央に丸形の液晶を備えている。ダイバーズウォッチのような見た目だが、文字通りダイバーズウォッチとしても機能する。
ボディはジルコニウムをベースとしたリキッドメタル。独自の16層の構造を持ち、水深100mまでのダイビングに対応した防水性能を持つ、サファイヤガラスに有機EL液晶と、最新のテクノロジーと、高品位な素材がふんだんに使われている。
ダイビングウォッチとしても有能で、ダイビングデータを継続的にモニタリングし、オーバースピード上昇、減圧停止、ガスの切り替えなど20カテゴリー以上のリマインダーを提供し、飛行機利用禁止時間の提案なども行ってくれる。
もちろん、登山、ランニングなどのアクティビティも記録できるし、日常的なスマートウォッチとしても使える。
ちなみに、HUAWEI HealthアプリはEMUI版や、Harmony OS版だけでなく、iOS版やAndroid版もあるので、iPhoneユーザーも使うことができる(どこまで機能を使うことができるのかは検証が必要だが)。
バッテリーライフが通常に使って14日間というのは、アップル製品ユーザーとしてはとても羨ましい。
ベルトが膨らんで血圧測定可能な『HUAWEI WATCH D ウェアラブル血圧計』
血圧計測に特化したのが『HUAWEI WATCH D ウェアラブル血圧計』。
6月14日から、6万0280円で発売される。
面白いことに、専用のベルトが、ポンプアップして血圧を測る。すごい(笑)
日々血圧を測る必要のある人は一定数いるはずなので、これを必要としてる人もいるはず。
ちなみに、上記は筆者の数値だが、めっちゃ高くて不安(汗)取材中なので、重い荷物を背負って歩き回っているので仕方がないのか。本来は5分ぐらい安静にしてから計測して下さいとのこと。
時計の中にイヤフォンが入る『HUAWEI WATCH Buds』
なんと、スマートウォッチの中に完全ワイヤレスフォンを収納できるというユニークな商品が、こちら、HUAWEI WATCH Buds。
5月24日発売で7万1280円。
なんと、時計の中に完全ワイヤレスイヤフォンが入っているという、007もビックリの仕組み。
このイヤフォン、案外音質もいいし、超コンパクトに作られていて、左右も向きも気にしなくていいというところが案外便利。ワイヤレスイヤフォンって、「あれ? どっちが右?」となるシーンはけっこうあるのだが、このイヤフォンは耳に入れると、自分がどっちの耳に入ったのか感知するのだそう。
金属のリング状の部分が充電端子だから、ケース……時計に入れる時も向きを気にしなくていい。意外にこれがユーザーフレンドリー。
ものすごいテクノロジーなんだけど、時計に入れなきゃならないかっていうのはちょっと疑問。時計が厚くなる(厚さ14.99mm)のはイヤだし、時計のバッテリーから給電するのもイヤじゃないか? それよりむしろスマホに収納できるようにしてくれると便利かも。
オープンイヤーなのにノイキャンな『HUAWEI FreeBuds 5』
これもけっこう優れモノな『HUAWEI FreeBuds 5』。
5月24日発売で2万1800円。
アップルのAirPodsのいわゆる『うどん』の部分にはバッテリーが入ってるが、その部分はイヤフォンを耳にフィットさせるためのカウンターウェイトの役目も果たしている。
HUAWEI FreeBuds 5はその部分を大型することにより、より内部スペースに余裕を確保し、バッテリー動作時間を延ばすことに成功している(ノイズキャンセリングオフで約5時間)。また、フィット感も大変良い。
オープンイヤーのヘッドフォンであるにも関わらず、優れたノイズキャンセリング能力を持っていることも評価に値する。
HUAWEIの製品はいずれもクオリティが高く、性能も十分で、ユニークなチャレンジも行われている。
国家間のいがみ合いの狭間にデバイスメーカーが挟まることなく、我々がさまざまなデジタルデバイスを楽しめる日々が来ることを願ってやまない。
(村上タクタ)
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