Parallels Desktopは、Mac上でWindowsなどのOSを動作させる仮想化ソフトウエア。従来は、Mac上でWindowsを動作させるのに最適のアプリケーションだったが、MacのチップセットがインテルからApple Mシリーズチップに変更されたことで、十分にWindowsを動作させられなくなっていた。
『Mシリーズ搭載機はParallels Desktopじゃあ、Windowsを十分に使えない』。そう思っている人も多いと思う。しかし、状況は大きく変わってきている。そしてParallels Desktop 18は、さらに状況を改善しており、『Parallels Desktopで、再びMac上でWindowsをできるようになった』と言える状況になりつつある。
そのあたりも含めて、Parallels Desktop 18について解説しよう。
インテルCPU搭載機とARM搭載機、どちらでも動作する
まず、Parallels Desktop 18の商品紹介から。
Parallels Desktop 18は、最新のmacOS Venturaをホスト側と、ゲスト側、Windows 11をゲスト側に使えるParallels Desktopの最新バーションだ。インテルMacと、Apple Mシリーズチップ搭載Macの両方で動作するが、仮想化ソフトであるから、その上で動作させられるOSは搭載されているチップセットに左右される。つまり、インテルMacであれば、インテル版のWindows。Apple Mシリーズチップ搭載Macであれば、ARM版のWindowsが動作するということになる。
通常エディションと、プロエディション、ビジネスエディションがある。通常版に対して、プロエディションはアプリ開発者が利用して便利なように、複数環境を容易にハンドリングできるようになっている。アプリの開発時に、いろいろなバージョンのOSで繰り返しテストをしたりするのが便利なようになっている。さらにビジネスエディションは、会社などで管理者が多数のマシンにParallels Desktopをダウンロードして集中管理する場合に適している。
オンラインストアでの価格はこちら。
使用頻度が高ければ、年間1万0400円を払って、最新のものを使い続ける。あまり使用頻度が高くなければ、今のバージョンを当分使える永続ライセンスとを買って、2〜3年はそれを使い続けるという感じの利用スタイル(これでは、ゲスト側は最新OSにできないがそれでも良ければ)がいいのではないかと思う。
店頭での価格など、詳しくはParallelsのサイトを参照のこと。
Parallels Desktop
https://www.parallels.com/jp/
状況が変わって、ARM版が動作するだけでも十分に
さて、Apple Mシリーズチップの登場によりパラレルズユーザーが困ったのは、パラレルズが仮想化ソフトウエアであるから、Mシリーズチップ上のParallels Desktopではインテル版のWindowsが動かないということだ。2年前、ARM版のWindowsといえば、Surfaceなどで使う、どちらかといえば軽いノートパソコン向けのアプリケーションしか動作しないという印象だった。
しかし、2年で状況は大きく変わってきた。
まず、ARM版のWindowsが、かなりインテル版のWindowsアプリを動作させられるようになったというのが大きい。結果的にParallels Desktop 18で、ほとんどのWindowsアプリが動作するようになったというワケだ。
Windows 11 on ARMは、インテル版Windows用の32bit版のアプリ(x86と呼ばれるもの)をエミュレートすることができるし、64bit版のアプリ(ほぼx64と呼ばれるもの)のほとんどを動作させることができるようになった。
毎年と同じく、日本での発表会に登壇したシニア・プロダクトマネージャーのカート・シューマッカー氏は、「99%のアプリが動作するようになった。もし、まだ動作しないアプリがあれば、ぜひお知らせいただきたい」と、自信をのぞかせた。
もちろん、すべてのアプリの動作が保証されるワケではないが、カバー範囲はさらに広がりつつある。
また、Parallels Desktop 18の仮想化性能の向上、そしてアップルMシリーズチップの性能向上によって、インテル版のアプリをエミュレートする場合でも、より高速に動作させられるようになっているとのこと。
上記はあくまで、ARM版がないアプリに関しての話。当然のことながら、Edgeや、Word、Excel、PowerPointなど、ARM版が存在するアプリに関してはもとより何の問題もなく動作する。
Windowsのライセンスの問題は?
去年まで存在した、もうひとつの問題点についても触れておこう。
Windows 10 on ARMはインサイダープレビューしか存在しなかった。インサイダー・プログラムに登録すればダウンロードできるが少々面倒だった。さらに、いわばベータ版であるインサイダー・プログラムは無償で提供されているが、それがいつまで存在するか分からないという不安感があった。ベータ版の提供が終了すれば使えなくなってしまうかもしれなかったのだ。
Windows 11 on ARMは正規版として、現在のところ無料でダウンロードできる。そして、権利的にも、Parallels Desktop 18上で動かそうというMacユーザーも問題なく使えるのだそうだ。どういう状態で使えるのか? 本当に問題はないのか? いつまで確実に使えるのか? については、現在問い合わせているので、詳細が分かり次第お伝えしたい。
新しい機能にも完全対応。近日レビュー予定!
新しいParallels Desktop 18はmacOS Venturaに対応しているばかりか、WindowsアプリとMacアプリが混在した状況でステージマネージャを使うこともできる。公開されたばかりの最新機能に完全に対応してくるところにParallelsの技術力の強さを感じる。
Pro Motionディスプレイのリフレッシュレートがオンザフライで同期される点、Mシリーズチップへの最適化、Bluetoothを介してのゲームコントローラーでの接続性の改善、USB 3.0経由で接続するウェブカメラ、ゲームキャプチャデバイス、ライブストリーミングデバイスなど様々な映像/音声デバイスへの接続性が改善されている。
さらに、インテルのx86アプリケーションを動作させる時の互換性がさらに高くなっているとのこと。その他にもさらに多くの機能が搭載されているという。
本日から、インストール可能になるので、筆者も使ってみてレポートをお届けする。お楽しみに!
(村上タクタ)
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