メーカーの威信をかけてレストアされた世界最古のベントレーTシリーズが完成。往年のラグジュアリーサルーンの威厳が甦る。

英国の高級車の代表格でありながら、積極的にレースに参戦するなど、ラグジュアリーとパフォーマンスを両立させるブランドとして名高いベントレー。イギリス車のどのブランドも経験した数々の危機を乗り越えながらも100年以上の歴史を誇るブランドとして今も君臨している。そんなベントレーの歴史の中でも欠かせないモデルである1965年にデビューした初代Tシリーズの最古のモデルがベントレーの手によってフルレストアして甦った。その美しさは必見。

ヘリテージコレクションとして追加された世界最古のTシリーズ。

ベントレーのTシリーズは、簡単に言えばロールスロイスのシルバー・シャドウのベントレー版。その外観上の違いは各種のエンブレムとフロントグリルのデザインといったところ。デビューはシルバー・シャドウと同じく1965年の9月だった。

ボディはブランド史上初のモノコック構造、4ドアサルーンのみという設定で、一部コーチビルダーによる2ドアサルーンや2ドアクーペが作られたのみで、初代のTシリーズは1868台が製造されたと言われている稀少車だ。

今回レストアされた車両は由緒正しきモデルで、元々同社の試験車や広報車両として使われていた個体。現代まで長期間保存され、数十年走行することなく眠っていたという。

そんな歴史的な1台が発見されたことで、クラシックベントレーのレストアを専門とするP&Aウッドがフルレストアを敢行した。

ボディの修復やサブフレームの修復、当時の事故による修復跡の最修理や配線に至るまで、徹底的に当時の面影を取り戻す作業を施して甦った。

このモデルは今後も走行可能な状態で保存され、英国はクルーにあるベントレーキャンパスで永久展示されること。

かつてはどの自動車メーカーも新車の開発にやっきになり、クラシックモデルは一部の愛好家たちがコストと情熱で維持、レストアしていくことが当たり前だったけれど、EVやハイブリッドカーの台頭によって、やっとメーカーもかつての歴史的なモデルを「ヘリテージ」として保存、再生、維持していく動きが盛んになってきた。

今後も各メーカーで歴史的な名車が甦るのは旧車ファンにはうれしいニュース。クルマだって貴重な文化遺産であることが、ここ最近やっと認知されてきた好例かもしれない。

前後とも左右が張り出したボディに丸目4灯のフロントマスクがクラシックベントレーらしさ、ベントレー、ロールスロイスでは初となるモノコックボディだった。スペックはロールスロイスのシルバー・シャドウと同様だが、外観上の違いはラウンドしたデザインのフロントグリルだ。

往年の4ドアサルーンの正しいカタチ。ラグジュアリーながらスポーツ走行にも耐えるスペックを持ち合わせていた。前後ともメッキバンパーというスタイルが時代感あり。

インテリアにはメーターパネルからドアの内張りまでウォルナットのリアルウッドが使われる英国高級車らしい仕様。アメリカ車や他の欧州車では味わえない雰囲気。現車はコラムシフトのATになる。

フロントシートの背面にはウォルナットのミニテーブルを装備。後部座席に乗ることがメインのクルマであるということを再認識。ヘッドレストの無いシートが1960年代らしさだ。

フルレストアによってより荘厳な雰囲気を取り戻したベントレーのフードオーナメント。搭載されるエンジンは225馬力を発生させる6.25LのV8だ。

1950年代の主流だったテールフィンの面影を残すリアのデザイン。ライセンスプレートは当時のベントレー・プレスオフィスの登録番号と同じプレートになっている。

この記事を書いた人
ラーメン小池
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ラーメン小池

アメリカンカルチャー仕事人

Lightning編集部、CLUTCH magazine編集部などを渡り歩いて雑誌編集者歴も30年近く。アメリカンカルチャーに精通し、渡米歴は100回以上。とくに旧きよきアメリカ文化が大好物。愛車はアメリカ旧車をこよなく愛し、洋服から雑貨にも食らいつくオールドアメリカンカルチャー評論家。
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