大型化して、きらびやかになったミッドセンチュリー時計

1900年代初頭に、各メーカーがそれまで主力だった懐中時計から腕時計の開発へシフトし、2つの大きな戦争によって過酷な環境下でも使えるような機能性が確立された。その結果、戦後のミッドセンチュリー期には、スポーツウォッチと呼ばれる時計が生まれ、ドレスウォッチはより豪華で視認性に優れた華美なデザインが増えていく。そんなミッドセンチュリー期の腕時計について、「プライベートアイズ」の店長、前田利晃さんに訊いた。

サイズは大きく、デザインにも独特の仕様が見られるように変化。

「プライベートアイズ」店長・前田利晃さん|世界有数のバブルバックのスペシャリストである名店プライベートアイズの店長。時計選びもセンス抜群で顧客からの信頼も厚い

ミッドセンチュリー期のアンティークウォッチは、時計好きであれば誰もが知っているようなモデルが次々とリリースされた黄金期である。大きな戦争で確立された機能性を基にスポーツウォッチが台頭し、ドレスウォッチにおいてもその後の年代にはない凝った意匠が多く見られる。そこで戦前のロレックス・バブルバックからミッドセンチュリー期のモデルまで精通するプライベートアイズの前田さんに、その魅力を聞いた。

「大きな変化としては、ケースサイズですね。今もスタンダードになっている36ミリ前後のケース様々なメーカーからリリースされた時代でもあります。あとは40ミリ前後のスポーツウォッチですよね。様々な試行錯誤を繰り返して完成度を高めていた時期でもあるから、この年代ならではのデザインや仕様が見られるのも醍醐味だと思いますよ」

1940年代から’50年代にかけて様々なメーカーが視認性やトレンドを取り入れて大型化していく。こちらのオメガは右が’40年代、左が’50年代のスモールセコンドモデル。ともに18金ケースを採用。右63万8000円、左48万4000円
’40〜’50年代頃までは戦前の流行であったアールデコの面影を残したデザインも散見される。ともにハミルトンで好景気に沸くアメリカの勢いが感じられる豪華なデザイン。ともに14金ホワイトゴールド。右9万6800円、左22万円

【注目ポイント①】針とインデックスが年代によって変化する。

1930s ブルースティール

おそらくブラックだった文字盤がエイジングされてブラウンチェンジしたIWCのスモールセコンド。1930年代を象徴するブルースティールと呼ばれる青い針が特徴だ。61万6000円

1947 ドルフィンハンド

同じIWCでも’40年代後半になるとイメージが変わってくる。スタンダードな35ミリケースのステンレスモデル。立体的なインデックスとドルフィンハンドが絵になる。39万6000円

1960s アルファハンド

こちらは1960年代の36ミリケースのRef.648という品番。独自の機構であるペラトン式の自動巻。文字盤はシンプルであるが、針はドルフィンハンドで個性的である。39万6000円

1968 ペンシルハンド

IWCを代表するモデルのひとつであるヨットクラブは、ヨットマンのために作られたスポーツモデル。この頃にはかなりシンプルになり、ペンシルハンドになっている。27万8000円

【注目ポイント②】ロレックスは大型化!

バブルバック(31mm)

プライベートアイズが得意とする名作バブルバック。こちらは1940年代のRef.3133。珍しいピンクゴールドのコンビだ。価格未定

ビックバブル(34-36mm)

通称ビッグバブルと呼ばれるデイトジャストの元祖的なモデル。ビッグバブルが36ミリ、セミバブルが34ミリを指す。85万8000円

【注目ポイント③】ユニークなデザインが多い!

なんとも個性的な文字盤とスクエアケースがマッチしたゼニスの自動巻モデルは1960年代。文字盤には回転数である28800の表記が入る。29万7000円

今も続くオメガの名作スポーツウォッチであるシーマスターは、1957年製。クサビのインデックスやアップライトのロゴなど、この年代特有。19万8000円

各メーカーからダイバーズウォッチが発売されたのも’50年代の大きな流れ。エテルナのスーパーコンチキは1960年代。凝縮感あるデザイン。69万3000円

【DATA】
Private Eyes
東京都北区滝野川6-9-1
TEL03-3940-0707
営業/11:00~19:00
休み/月曜
https://www.watchnet.co.jp

※情報は取材当時のものです。

(出典/「Lightning 2024年4月号 Vol.360」)

この記事を書いた人
Lightning 編集部
この記事を書いた人

Lightning 編集部

アメリカンカルチャーマガジン

ファッション、クルマ、遊びなど、こだわる大人たちに向けたアメリカンカルチャーマガジン。縦横無尽なアンテナでピックアップしたスタイルを、遊び心あるページでお届けする。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

「BEORMA」140年の伝統を受け継ぐ、英国屈指のレザークラフト

  • 2026.10.21

英国トラッドを語るうえで欠かすことのできない存在がレザークラフトだ。140年の歴史とクラフトマンシップを受け継ぎ、現代のスタイルにも馴染む唯一無二のプロダクトを生み出す〈べオーマ〉は、その筆頭となりうる存在だ。 熟練職人の魂宿る伝統のレザークラフト 英国中部の小さな町・ウォルソール。革加工・馬具産業...

東洋エンタープライズが手がける「ゴールド」。高品質な素材選びに一切の妥協なし。

  • 2026.10.20

1965年に創業した日本屈指の老舗メーカー東洋エンタープライズ社が手がける〈ゴールド〉。同社が得意とするヴィンテージへの膨大な知見と技術力の高さを活かしつつも上質にモダナイズしたものづくりに定評がある。着用時のシルエットはもちろん、高品質な素材選びに一切の妥協をしないこと。それこそがシンプルな服に深...

19世紀から英国紳士に愛され続ける世界最高峰のハンドメイド傘

  • 2026.10.19

年間を通じて降水頻度が高い英国において傘は必需品。ひいては英国紳士を象徴するプロダクトのひとつだ。その中でも、旧くから英国王室や上流階級の紳士たちに愛されてきたFOX UMBRELLAS(フォックス アンブレラズ)は最上級の存在である。 手作業から生まれる圧倒的な造形美 真のトラッド好きは服だけでな...

遊び心とヘビーデューティ! 「ジムマスター」のアウトドア&ミリタリー

  • 2026.10.18

ほどよく力の抜けたカジュアルウエアを展開するカナダ生まれの「ジムマスター」。その真骨頂は、実は骨太なアウトドア&ミリタリーにある。ヘビーデューティな機能美を日常着へと昇華させる秘訣は、「ジムマスター」らしいほんのすこしの遊び心! カラフルな配色の裏に確かな実用性あり! 【右】主役は厚手のボアジャケッ...

金子ノブアキが着る【REDKAP × FREAK’S STORE】

  • 2026.10.21

長い歴史を持つワークウエアブランド〈レッドキャップ〉と〈フリークス ストア〉のコラボアイテムを金子ノブアキが今の感覚で着こなす。年齢を重ねたからこそ楽しめる服のこと、ブランドが持つ哲学のこと、そしてこれから大切にしていきたいこと。45歳を迎えた金子さんに、ファッションと生き方について話を聞いた。 タ...

Pick Up おすすめ記事

東京・入谷にできた靴づくりの新聖地「THE ZINE FOOTWEAR CLUB.」にメディア初潜入!

  • 2026.10.18

「ブラザーブリッジ」や「シュアブーツ」を手がける「ザ ジン フットウェア」。店舗と企画・縫製工場がひとつになったいわば“本拠地”を入谷に新設した。メディア初公開となる、その全貌に迫る。 メーカーでもあり店舗でもある新拠点 弊誌の読者であれば、おそらく「ブラザーブリッジ」という革靴ブランドはご存知であ...

メイド・イン・ノーサンプトンを貫く英国靴の筆頭「Crockett & Jones」のモノづくり

  • 2026.10.21

革靴の聖地であるノーサンプトンにて1879年に初声をあげた〈クロケット&ジョーンズ〉。英国靴を語る上で欠かすことのできない同ブランドのモノづくりの現場に足を運んだ。 一足の革靴に宿る147年の歴史と誇り 革靴産業の一大拠点として名を馳せる英国・ノーサンプトン。中世から靴職人が集まり、17世紀には軍用...

19世紀から英国紳士に愛され続ける世界最高峰のハンドメイド傘

  • 2026.10.19

年間を通じて降水頻度が高い英国において傘は必需品。ひいては英国紳士を象徴するプロダクトのひとつだ。その中でも、旧くから英国王室や上流階級の紳士たちに愛されてきたFOX UMBRELLAS(フォックス アンブレラズ)は最上級の存在である。 手作業から生まれる圧倒的な造形美 真のトラッド好きは服だけでな...

【連載】ビートルズのことを考えない日は一日もなかった

  • 2024.02.05

80年代、私的ビートルズ物語。 ビートルズ研究と収集に勤しむビートルデイズを始めて早44年(Since1980)。 なにをするにもビートルズが基準だった『昭和40年男』編集長のビートルズ史を、 当時の出来事とともに振り返ります。

HISTORY OF B.V.D. 着心地を追求した150年

  • 2026.10.20

1876年、ニューヨークで誕生したB.V.D.。風を通すゆったりとした肌着から、水着、街や休日を彩るシャツまで。その歩みを貫くのは、日々を心地よく過ごすための工夫だ。時代ごとの広告や製品を手がかりに、着心地を追求してきた150年をたどる。 HISTORY OF B.V.D. 1876年 ニューヨーク...