大型化して、きらびやかになったミッドセンチュリー時計

  • 2024.04.01

1900年代初頭に、各メーカーがそれまで主力だった懐中時計から腕時計の開発へシフトし、2つの大きな戦争によって過酷な環境下でも使えるような機能性が確立された。その結果、戦後のミッドセンチュリー期には、スポーツウォッチと呼ばれる時計が生まれ、ドレスウォッチはより豪華で視認性に優れた華美なデザインが増えていく。そんなミッドセンチュリー期の腕時計について、「プライベートアイズ」の店長、前田利晃さんに訊いた。

サイズは大きく、デザインにも独特の仕様が見られるように変化。

「プライベートアイズ」店長・前田利晃さん|世界有数のバブルバックのスペシャリストである名店プライベートアイズの店長。時計選びもセンス抜群で顧客からの信頼も厚い

ミッドセンチュリー期のアンティークウォッチは、時計好きであれば誰もが知っているようなモデルが次々とリリースされた黄金期である。大きな戦争で確立された機能性を基にスポーツウォッチが台頭し、ドレスウォッチにおいてもその後の年代にはない凝った意匠が多く見られる。そこで戦前のロレックス・バブルバックからミッドセンチュリー期のモデルまで精通するプライベートアイズの前田さんに、その魅力を聞いた。

「大きな変化としては、ケースサイズですね。今もスタンダードになっている36ミリ前後のケース様々なメーカーからリリースされた時代でもあります。あとは40ミリ前後のスポーツウォッチですよね。様々な試行錯誤を繰り返して完成度を高めていた時期でもあるから、この年代ならではのデザインや仕様が見られるのも醍醐味だと思いますよ」

1940年代から’50年代にかけて様々なメーカーが視認性やトレンドを取り入れて大型化していく。こちらのオメガは右が’40年代、左が’50年代のスモールセコンドモデル。ともに18金ケースを採用。右63万8000円、左48万4000円
’40〜’50年代頃までは戦前の流行であったアールデコの面影を残したデザインも散見される。ともにハミルトンで好景気に沸くアメリカの勢いが感じられる豪華なデザイン。ともに14金ホワイトゴールド。右9万6800円、左22万円

【注目ポイント①】針とインデックスが年代によって変化する。

1930s ブルースティール

おそらくブラックだった文字盤がエイジングされてブラウンチェンジしたIWCのスモールセコンド。1930年代を象徴するブルースティールと呼ばれる青い針が特徴だ。61万6000円

1947 ドルフィンハンド

同じIWCでも’40年代後半になるとイメージが変わってくる。スタンダードな35ミリケースのステンレスモデル。立体的なインデックスとドルフィンハンドが絵になる。39万6000円

1960s アルファハンド

こちらは1960年代の36ミリケースのRef.648という品番。独自の機構であるペラトン式の自動巻。文字盤はシンプルであるが、針はドルフィンハンドで個性的である。39万6000円

1968 ペンシルハンド

IWCを代表するモデルのひとつであるヨットクラブは、ヨットマンのために作られたスポーツモデル。この頃にはかなりシンプルになり、ペンシルハンドになっている。27万8000円

【注目ポイント②】ロレックスは大型化!

バブルバック(31mm)

プライベートアイズが得意とする名作バブルバック。こちらは1940年代のRef.3133。珍しいピンクゴールドのコンビだ。価格未定

ビックバブル(34-36mm)

通称ビッグバブルと呼ばれるデイトジャストの元祖的なモデル。ビッグバブルが36ミリ、セミバブルが34ミリを指す。85万8000円

【注目ポイント③】ユニークなデザインが多い!

なんとも個性的な文字盤とスクエアケースがマッチしたゼニスの自動巻モデルは1960年代。文字盤には回転数である28800の表記が入る。29万7000円

今も続くオメガの名作スポーツウォッチであるシーマスターは、1957年製。クサビのインデックスやアップライトのロゴなど、この年代特有。19万8000円

各メーカーからダイバーズウォッチが発売されたのも’50年代の大きな流れ。エテルナのスーパーコンチキは1960年代。凝縮感あるデザイン。69万3000円

【DATA】
Private Eyes
東京都北区滝野川6-9-1
TEL03-3940-0707
営業/11:00~19:00
休み/月曜
https://www.watchnet.co.jp

※情報は取材当時のものです。

(出典/「Lightning 2024年4月号 Vol.360」)

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