47年間アメリカでピックアップ販売台数トップのお化けモデル、フォードのFシリーズの代表格「F-150」とは?

アメリカを代表するクルマといえばピックアップトラックの存在。日本やヨーロッパと違い、アメリカでは乗用車よりもピックアップトラックが売れるお国柄なのである。クルマは1人1台という文化のおかげで人よりも趣味や仕事、それに買い物の荷物をたくさん載せられるピックアップトラックの方が都合がいいってわけだ。そんなアメリカのピックアップ市場のトップランナーがフォードのフルサイズピックアップのFシリーズ。そのルーツを辿れば70年以上の歴史のある長寿モデルなのだ。そんなアメリカンスタンダードなモデルをディグってみる。

戦後すぐに生まれたFシリーズ・ピックアップトラック。

フォードのフルサイズピックアップといえばF-150がもっともメジャーだが、そのルーツは1948年に発売されたフォードF-1ピックアップが元祖。いわゆるフルサイズピックアップとして生まれたこのモデルがフォードのフルサイズピックアップの歴史を作っていくことになる。

Fの後ろに付く数字は積載量のキャパシティを表現していて、かつてはF100、F150、F250などのモデルが存在していた。

現在の主力モデルとなるF-150は1975年に登場し、それが現在の中核モデルとして成長していった。現在ではフルサイズのライトデューティトラックというカテゴリーで、F-250以上の積載量を誇るモデルはFシリーズ・スーパーデューティという名前で独立している。

初代から続くFシリーズは現行モデルで14世代目という長寿モデル。時代背景でによって正常進化することで、アメリカでは47年間トップセールスを記録するほどの大定番モデルへと成長した、まさにアメリカを代表するモデルなのである。そんなF-150を深掘りしてみる。

現行車で14世代目というご長寿モデルの歴史を抜粋。壮大なヒストリーを旧車からおさらい。

アメリカらしいのはピックアップモデルが歴史をもっとも作っているところ。現地では商用目的だけでなく、普段乗りの乗用車としてピックアップトラックに乗ることは当たり前の文化。とくに多くの趣味を持つ人や、郊外や田舎に住んでいる人にはピックアップトラックの方が使い勝手がいいというのがアメリカ。F150の一部をここで紹介する。

1948年に生まれたFシリーズの元祖がこれ。F-1~F-8までの8タイプが存在していた。中央に寄った丸目のフロントマスクが時代感のあるデザイン。オールドフォード愛好家にとっては記念すべきモデルである。Photo by Ford Motor Company
1953年から1956年モデルまでの第2世代は1950年代らしいボリュームのあるデザインによって「パンプキン」の愛称でも知られているモデル。アメリカ旧車ファンのなかでは人気車種である。この世代からF-100というモデル名になる。Photo by Ford Motor Company
1968年式フォードF-100。1967~1972年までの第5世代。1960年代は直線基調のデザインが主流になり、シャープなイメージのピックアップトラックだった。Photo by Ford Motor Company
1975年式フォードF-150。現在のフォードピックアップの中核をなすF-150の名前が冠されたのがこの年式。Fシリーズとしては第6世代になる。アメリカンピックアップトラックの由緒正しきデザインを感じる。Photo by Ford Motor Company
第8世代目となる1987年式F-150。キャビンのバリエーションは第4世代から増え、シングルキャブだけでなく写真のようなスーパーキャブ(エクステンドキャブ)や4ドアのクルーキャブなどがチョイスできた。Photo by Ford Motor Company
第10世代目となる1999年式はラウンドシェイプを基調としたデザインにモデルチェンジし、それまでのスクエアなイメージのアメリカン・ピックアップのスタイルを変えた。この時代はライバル勢も流線型デザインのピックアップが主流だった。Photo by Ford Motor Company
涙目のようなヘッドライトが特徴になる第12世代目の最終モデルとなる2014年式。このころから現代のモダンなピックアップトラックのイメージに。Photo by Ford Motor Company
八角形のグリルにヘッドライトが上下で分割されたデザインになっているのが特徴的な現行世代となる2023年式は第14世代目。アメリカンピックアップらしい力強さは健在。Photo by Ford Motor Company

F-150ライトニングやラプターなどの派生モデルも見逃せない。

アメリカでもっとも販売力のあるモデルなだけに、F-150をベースにした派生モデルも存在。オフロードの走破性を極限まで高めたマッスルなモデルであるラプターや、EVピックアップトラックであるライトニングが現在では存在している。

ボディ幅が拡大され、より強力なエンジンとオフロード走破性を高めたサスペンションを持つラプター。これはその最強バージョンであるラプターR。ノーマルのF-150とは明らかに違う見た目に変貌している。もともとはフォードのSVT(スペシャル・ヴィークル・チーム)シリーズとして生まれ、現在ではラプターは独立したハイパフォーマンスモデルの名前になっている。Photo by Ford Motor Company
2022年モデルから登場した完全EVのピックアップトラックであるF-150ライトニング。まったく新しいEVモデルではなく、F-150ユーザーも見据えて派生モデルとして登場した。フロントマスクを囲むようにLEDライトが配置されている。Photo by Ford Motor Company

現行モデルってどんな感じ? 新車価格も知りたい。

2023年式のF-150の価格は3万3835ドルからとなっているけど、派生モデルやトリムレベルのチョイスが可能なので、最強のラプターになれば8万ドル近いプライスになる。アメリカ車の中核を成すモデルなだけにバリエーションも豊富で、新車価格といってもキャビンやベッドのチョイスやトリムのチョイスで幅広い設定になっている。

残念ながら日本には正規輸入はされていないので、新車を狙うなら並行輸入モデルのみとなる。といってもそこはアメリカのスタンダードな車種だけに、日本でも中古車を見つけることができる。できればアメリカ車を専門とするショップを頼りたい。専門店であればメンテやリペアにも対応してくれる。

中古車価格は年式や走行距離で変動するが、1960年代以前のクラシックなモデルはコンディションの良い個体ほど高値安定といった状況だ。

アメリカンスタンダードとも言うべきモデルだからこそ、いつかは乗ってみたい。

この記事を書いた人
ラーメン小池
この記事を書いた人

ラーメン小池

アメリカンカルチャー仕事人

Lightning編集部、CLUTCH magazine編集部などを渡り歩いて雑誌編集者歴も30年近く。アメリカンカルチャーに精通し、渡米歴は100回以上。とくに旧きよきアメリカ文化が大好物。愛車はアメリカ旧車をこよなく愛し、洋服から雑貨にも食らいつくオールドアメリカンカルチャー評論家。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

Why Banana Republic? 2nd編集部イチ押し「バナナ・リパブリック」アイテムと、ブランドの魅力を徹底解説

  • 2026.09.16

1978年にアメリカ・カリフォルニア州で創業したバナナ・リパブリック。クラシックとモダンが共存する唯一無二のスタイルや歴史を紐解くことで、我々が彼らのプロダクトを手に取るべき“理由”が見えてくる。(記事をご覧いただいた方への特典を最後に紹介しています) [caption id="attachment...

2ndとEDWIN両チームの世代の異なる4人が集結! EDWINと考えるトラッド学

  • 2026.09.15

本誌でも何度も紹介してきたEDWINのコンセプトショップ限定アイテムは、普遍的なデザインとそのクオリティの高さから2ndが理想とするトラッドスタイルともばっちりハマる。今回は初の試みとして、2ndとEDWIN両チームの世代の異なる4名で“EDWINで作るトラッド”を考えてみた。 20代らしくアクティ...

トラッドの相棒にドゥニームのジーンズを! ウエアハウスが1988年のクラボウデニムを再現

  • 2026.09.17

1980〜90年代に日本のセルビッジジーンズの先駆けとして一世を風靡したデニムブランド「ドゥニーム」。同ブランドの創業当時のレシピをもとに、再始動を手掛けたのが「ウエアハウス」だ。彼らの徹底的な研究・解析によって生み出された至極の1本は、まさにオーセンティックそのもの。そして、本当の意味での“良い色...

ガレージ、インテリア、リフォームまで! 趣味人のための、物件案内。

  • 2020.01.20

好きなものと暮らす、理想の城を手に入れよう。 家は、ただ暮らすためだけの場所じゃない。 どこに住むか、どんな空間にするか、そこで何を楽しむか。 ガレージハウスやアメリカンハウス、趣味部屋、インテリア、リノベーションまで、 「Lightning」ならではの視点で趣味人の理想の住まいを紹介する。

#PR

Pick Up おすすめ記事

毎日に、最良の定番。B.V.D.の「GOLD」は昔ながらの良さと、いま欲しいバランスを兼ね備えたTシャツ

  • 2026.09.16

長く愛されてきた定番には、変わらない理由がある。B.V.D.の「GOLD」もそのひとつ。肌着として培ってきた心地よさをそのままに、今の気分で一枚でも着られるリラックスフィットが加わった。昔ながらの良さと、いま欲しいバランス。その両方を備えた、新しい定番のかたちを見ていこう。 変わらない着心地にゆとり...

トラッドの相棒にドゥニームのジーンズを! ウエアハウスが1988年のクラボウデニムを再現

  • 2026.09.17

1980〜90年代に日本のセルビッジジーンズの先駆けとして一世を風靡したデニムブランド「ドゥニーム」。同ブランドの創業当時のレシピをもとに、再始動を手掛けたのが「ウエアハウス」だ。彼らの徹底的な研究・解析によって生み出された至極の1本は、まさにオーセンティックそのもの。そして、本当の意味での“良い色...

2ndとEDWIN両チームの世代の異なる4人が集結! EDWINと考えるトラッド学

  • 2026.09.15

本誌でも何度も紹介してきたEDWINのコンセプトショップ限定アイテムは、普遍的なデザインとそのクオリティの高さから2ndが理想とするトラッドスタイルともばっちりハマる。今回は初の試みとして、2ndとEDWIN両チームの世代の異なる4名で“EDWINで作るトラッド”を考えてみた。 20代らしくアクティ...

ニューヨーク・ブルックリン発! 作業服由来のデイリーウエアはこう着こなす。

  • 2026.09.16

創業1904年、高層ビルの建設が相次ぐ当時のニューヨークでリアルワーカーに向けて、作業服を提供していた「ブルックリンオーバーオール」。そんな確固たる出自に由来する男服は、カジュアルウエアとして現代にDNAを継ぐ。 旧きよきデザインと生地づくりで飽きのこない王道のワークスタイル 40年代の個体をベース...

ガレージ、インテリア、リフォームまで! 趣味人のための、物件案内。

  • 2020.01.20

好きなものと暮らす、理想の城を手に入れよう。 家は、ただ暮らすためだけの場所じゃない。 どこに住むか、どんな空間にするか、そこで何を楽しむか。 ガレージハウスやアメリカンハウス、趣味部屋、インテリア、リノベーションまで、 「Lightning」ならではの視点で趣味人の理想の住まいを紹介する。

#PR