目指すべき味が明確にある。だからこの場所が生まれた。
入店してまず目に飛び込んでくるのが、フロア中央に鎮座した巨大な焙煎機だ。独自にカスタマイズされたオリジナルの直火式の60kg釜。ガラス張りの焙煎所を取り囲むように、2階から見下ろせるように客席が置かれる。
「カフェに焙煎機を置いたんじゃないんですよ。工場のまわりに客席を置いたんです」と教えてくれたのはドトールコーヒーの常務取締役、そして日本スペシャルティコーヒー協会の理事でもある菅野眞博さん。コーヒーに携わって40年以上。20カ国以上の産地に出向き、優れたコーヒー豆を捜し歩く業界を代表するスペシャリストである。
神乃珈琲は菅野さんの熱意と高い理想を掲げて2016年にスタートしたものだ。良いコーヒーとは何か。菅野さんはその答えを求めて試行錯誤してきた結果、目指すべきコーヒーの味が明確に生まれた。
ただしそれが安定して提供されなくては意味がない。「美味しいものに〝何となく〞はない。すべてに理論が必要」。それが菅野さんの哲学である。そのために神乃珈琲で使用される焙煎機は、既存のものを大幅に改造しオリジナルの仕様に仕上げた。すべては自分だけの味を出すため。
「たとえオークションロットを購入しても、既存の焙煎機で焼けば、厳密には焙煎条件は違うにしても、他店でも飲めるコーヒーになってしまう。焙煎の釜は一番の独創性。そのために自分たちでカスタマイズするしかなかったんです」
菅野さんは、焙煎について話をするととまらない。神乃珈琲で使用する焙煎機は、直火式と呼ばれるものだ。
「以前は、直火式の焙煎機はだめだと言われてきました。小型ならまだいいですけど、ここまで大型の焙煎機に関してはコントロールが難しい。想定外なことが色々とおきるんですよ。でもね、直火型じゃないと出せない味があるんです」
ガラス1枚隔てたカフェスペースではメロウな時間が流れるなか、焙煎工場では菅野さんに認められた数少ない焙煎師が片時も目を離さず豆と対峙している。
「本当は焙煎工場なんてオープンにしたくないですよ。でもコーヒーの世界をもっと知ってほしいので」
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