ラジコンのような外見で、タフに砂浜やダートを駆け回る。
この写真を見て、ホビー好きの人ならラジコン? と思った人もいるはず。ここに紹介するのは、’79年にタミヤがリリースした1/12スケールのラジコン「ワーゲンオフローダー」を実車で再現してしまった一台だ。
ラジコンを再現したとはいえ、そのモチーフになったのは、VWビートルをベースにオフロードを走るためにカスタムされた車両。バハカリフォルニアで開催される過酷なレース「バハ1000」で活躍したことから、このスタイルをバハバグと呼ぶ。
この車両は「ワーゲンオフローダー」をモチーフに、気軽に街乗りができるというコンセプトのもと、東京の空冷VW専門店ガレージタイプワンが製作したもの。
オーナーの大谷さんは、若い頃にビートルに乗ったことがあり、その頃の影響でカリフォルニアに憧れ、いつしかバハバグを製作することを考える。そんな時にたまたま訪れたガレージタイプワンでこのクルマを見てヒトメボレ。2021年に購入した。
元々悪路走破性の高いビートルをベースにカスタムしている上に、純正より大きなタイヤを装着することで、砂浜やダートを駆け回ることができる性能を持つ。大谷さんも遠出こそしないものの、自宅周辺でこのバハバグを楽しんでいるそうだ。
オフロードを走るために進化したスタイル。
通常のビートルと比べるとフェンダーが大きくカットされ、バンパーはパイプ状のガードに変更。より大きなタイヤの装着を可能としている。
エンジン部分から突き出しているのは、マフラーの排気口。上に向いているのはダート走行をする際に中に水や泥が入らないための工夫だ。
タミヤの「ワーゲンオフローダー」はヘッドライトをエプロンに装着した寄り目のナローアイだが、これはフェンダーに備わるワイドアイ仕様だ。
エンジンフードが短くカットされ、エンジンが剥き出しの状態になっている。そんなエンジンを保護するため、パイプ状のガードが備わる。
日本のディーラー車をベースとしているため、このバハバグは右ハンドル仕様。車内は基本的に通常のビートルと変わらない。
左右のミラーはオフローダー特有のデザイン。通常のミラーではオフロードを走行する振動で脱落してしまうため、頑丈な作りとなっている。
車内のミラーは懐かしいウインクミラーを装着。フロントガラス側にはメッキのルーバーカバーが装着される。
大谷さんはRCのワーゲンオフローダーも所有。ヘッドライト部分が異なるのがわかるだろうか? そのほかのカラーリングは見事に再現している。
(出典/「Lightning2023年9月号 Vol.353」)
Text & Photo/D.Katsumura 勝村大輔 取材協力/ ガレージタイプワン TEL042-644-0327 www.typeone.co.jp/
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