曜日、時間に関係なく三茶を歩けば何かしら美味しいお酒と温かいご飯にありつける!
世田谷区三軒茶屋は東京都内でも吉祥寺、二子玉川、自由が丘などと並び、サンチャの愛称で親しまれ、住みたい街ランキングに常にランクインする人気の街。渋谷まで電車で10分程度と都心部へのアクセスも非常に良く、ファッション関係者を始めとし、芸能人、クリエイターなどが多く住み、ライフスタイルへの感度が高い街としても知られている。
ブームとなったカフェやワインバーなど、飲食店のトレンドも三軒茶屋界隈ではすぐに反映され、何かと注目を集める一方で一歩裏路地に入れば、昔ながらの昭和の風情が残る横丁が潜んでいる。その代表格として知られているのが、世田谷通りと国道246号線の分岐点ともなっている「三角地帯」。そして茶沢通りに並行して走る路地の「すずらん通り」だ。この街もまた、呑兵衛が飲み歩きたくなる魅力的なエリアで、飲み飽きることのない魅力を持つ。
「三軒茶屋に住んで9年ほどなんですけど、まだまだ飲み足りないですね(笑)。人気のお店はいつ行っても超満員で入れないことも多々ありますし、気づかないうちに次々と新しいお店もできて、気にはなっていたけれど、結局一度もお店には入れないまま無くなってしまったなんてお店もたくさんあります。とにかく回転が速いですね。でもその中で旧くから営業しているお店もあるのは嬉しいですね。トレンドのお店と長く愛される老舗が数多く混在しているのが面白い街だと思います」
アパレルブランドのプレスを経て、現在、アクセサリーメーカーに勤務する金子さん。彼女の行きつけは「三角地帯」と呼ばれるほぼ中央に位置する「食堂 おさか」だ。
席数は9席というミニマムなサイズながら、22時から、なんと翌日11時頃まで営業しているという三軒茶屋では知らない人はいないというほど、名の知れた深夜食堂だ。彼女はここのオリーブ茶割りと名物の卵かけご飯が大好物。呑兵衛の強い味方となる店なのだ。
店内の壁面には店主による手書きの文字でメニューの丁寧な解説が書かれたメモがいくつも貼られている。オーダーを待つ間に読むのも楽しみのひとつ
三角地帯の「食堂 おさか」を出たあとに、すずらん通りなど駅周辺をふらふらと歩き回り、最終的に辿り着いたのが、茶沢通り沿いの「すこぶる」。こちらも金子さんの行きつけの店。
一軒目で撮影は終了の予定だったが、打ち上げと称して店に入ったところ、カウンターに座る店のオーナーとばったり。撮影趣旨を話すと急なお願いにも関わらず、快くOKしていただけたため、ここでも横丁取材の撮影を続行することに。
「タイミングよくオーナーにお会いができたので撮影できて嬉しいです。私、ここのおばんざいの盛り合わせが好きなんです。野菜中心でサラダ感覚&ヘルシーなので、卵かけご飯セットを食べた後でも軽く食べられちゃいます。なによりお酒に合う味付けがイイ!」
この「すこぶる」。実は2019年の4月に日本橋に進出した。1階、2階フロアともにオール立ち飲み酒場としてオープン。馴染みのスタッフとも会えずじまいだったというが、この日、オーナーとともにそのスタッフとも会えたのは、これまた偶然。そんな意外な出会いや再開も店主やスタッフとの距離が近い横丁ならでは。そして行きつけとしている金子さんの愛嬌の良さならではなのかも知れない。
「金子ー! 久しぶり、元気にしてた? 最近どうしてるのー? 仕事は順調なのー?」
「あー、お久しぶりです! 学生時代からずっとファッション畑の環境にいて、一度ファッションを離れてみようと思って全く別の職種に就いてみたんですけど、やっぱり前々から気になっていたアクセサリー作りが忘れられなくて、最近になって学校の先生の紹介で、以前の職種とは違いますが、またファッションに戻ってきたんですよ! いまは作業を覚えることと一日にやらなければいけないタスクを同時進行していて、こなすだけで精一杯ですよ」
なんて信頼する友人や気の合う先輩たちを交えてディープな人生相談や恋愛相談、昔話ができるのも楽しい酒の席だから。
「三軒茶屋は何と言ってもお店の数が多いので、あまりにも選択肢が多いことも悩みのタネ。ただし、実際、飲むところにも、食べるところにも困らないのは嬉しいことですよね」
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