日本の風土を活かした個性的なクラフトウイスキー。
クラフトウイスキーといえば、地方の小規模な蒸溜所で造られる少量生産のウイスキー。歴史の長いスコットランドやアイルランドは、伝統製法を忠実に受け継ぎ、昔から変わらぬ味を守り続けている。一方クラフトウイスキーは、造り手のこだわりを前面に出したウイスキー造りが、世界のウイスキー業界でトレンドになっているのだ。
例えば、埼玉・秩父にあるベンチャーウイスキーが展開するイチローズモルトは、国内だけでなく海外のファンも多い。またここ数年で、各地にウイスキーの蒸溜所が続々と誕生している。
実は日本はウイスキー造りに最適な地域がたくさん存在している。今後も日本のクラフトウイスキーから目が離せない。
“ミズナラ”は日本のオーク材。
スコットランドやアメリカなど、5大産地では熟成期間など決められていたりするが、日本では明確な定義はなく、熟成させなくても酒税法上はウイスキーに分類することは可能だ。しかし美味しいウイスキーを造る上で、熟成は欠かせない工程だ。
通常はバーボン樽やシェリー樽、ワイン樽などのオーク材を使うが、日本には希少な「ジャパニーズオーク」と呼ばれるミズナラ材があり、この樽で熟成させている蒸溜所もある。ミズナラ材は、白檀や香木のような独特のアロマやフレーバーをもたらす。
常陸野ネストビールの一角で造るクラフトウイスキーのハイボール缶。
茨城の木内酒造は2016年にウイスキーの蒸溜を開始。3年間熟成させた原酒をブレンドし、常陸野の水と炭酸を加えた「常陸野ハイボール」を発売。アルコール度数9%と飲み応えあり。
気軽に蒸溜所見学ができるのもクラフトウイスキーの魅力。
クラフトウイスキーのような小さな蒸溜所でも、見学ツアーを行っている。製造現場を見学できるだけでなく、新作モノや蒸溜所限定などの試飲もでき、ウイスキーの魅力をより間近で知ることができる。詳細は各蒸溜所のHPやSNSをチェック!
主なクラフトウイスキー蒸溜所を押さえよう!
現在日本のみならず、世界が注目している日本のクラフトウイスキーの蒸溜所をチェック。各地の風土を活かしたチャレンジ精神旺盛なウイスキーをぜひお試しあれ。
厚岸蒸溜所|北海道
アウラモルトを目指してアイラ島と同じ環境と似ていたのが北海道・厚岸だ。2016年から蒸溜を開始し、2018年から商品化。
安積蒸溜所|福島
笹の川酒造内にある東北最古の地ウイスキー蒸溜所。戦後から少量ながら製造を続け、2016年に設備を整え本格稼働。
木内酒造 額田蒸溜所|茨城
日本酒、ビールの醸造に加え、ウイスキー造りも開始。原材料は地元産100%を使い、2020年に和製ウイスキーが本格始動。
秩父蒸溜所|埼玉
日本のクラフトウイスキーで最も注目されているのがイチローズモルト。オークションで高額落札されたことも。
三郎丸蒸溜所|富山
若鶴酒造が運営する蒸溜所。1953年から造り続けるブレンデッドウイスキーのサンシャインシリーズをラインアップ。
アルケミエ 辰巳蒸溜所|岐阜
醸造学を学び、世界を旅して日本酒の酒蔵や焼酎蔵などで修行した辰巳祥平氏が岐阜県郡上八幡に建設した蒸溜所。
ガイアフロー 静岡蒸溜所|静岡
オクシズの大自然の中で佇む蒸溜所。2基の初留用蒸溜器を使い分け、まったく違う個性を持った2種類の原酒を造る。
長濱蒸溜所|滋賀
日本最小クラスのポットスチルを設置している蒸溜所。ミズナラやワイン樽で熟成させたアマハガンシリーズを展開。
江井ヶ嶋酒造|兵庫
瀬戸内海を臨む兵庫・明石の蒸溜所。「あかし」には日本酒カスク3年、ホワイトオーク、ブレンデッドの3種類を展開。
※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。
Text/M.Matsumoto 松本めぐみ
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