「塊根植物の王様」と称される人気種「オペルクリカリア・パキプス」。

その奇妙で愛らしいフォルムやインテリアとしても存在感があることから、塊根植物の愛好家は急増中。そんな塊根植物の魅力にずいぶん前から傾倒し、自身のセレクトショップを立ち上げたときに趣味が高じて塊根植物も販売し始めてしまったというオーナーが、すでに塊根植物の「沼」にハマッてしまった人や、初心者で塊根植物を育ててみたいと思っている人にもやさしくお届け!

今回は観葉植物愛好家も憧れる「王様」とも称えられる品種を紹介する。

塊根植物愛好家も熱望する憧れの品種。

魅力的で個性豊かな品種が数多く存在する塊根植物。そんな塊根植物の中で「王様」と称えられるオペルクリカリア・パキプス。

パキプスは、ウルシ科オペルクリカリア属の塊根植物であり、マダガスカル島の南西部トゥリアラの一部の地域のみに自生する稀少種です。

塊根植物の愛好家の中では誰もが知る品種であり、多くの人が熱望する憧れの品種でもあります。

こちらのDig-itで塊根植物案内人の肩書をいただいいている私としても、そろそろご紹介しなければと思っていた「塊根植物の王様」です。

今回は、そんなオペルクリカリア・パキプスについてお話しさせていただきます。

名前の由来は「ずんぐりとした足」。

パキプスという名前は、ラテン語で「ずんぐりとした足」という意味を持つ合成語。

ゴツゴツした凹凸のある表皮と株元に近づくほど太くなる塊根は、まさに象の足のようなずんぐりとした姿をしています。

ちなみに、以前ご紹介したパキポディウム・グラキリスを含む「パキポディウム」という属名もパキプスの名と同じような意味を持ちます。

ジグザグの枝と小さな葉。

ずんぐりと太い塊根に対して、枝は意外と細くジグザグと曲がりながら伸びているのが特長です。また、生育期にはその枝から羽状複葉の丸く小さい葉を展開します。

育成環境により異なる場合はありますが、この小さな葉は休眠期が近づくとともに紅葉し冬季には落葉します。

王様は価格も別格。

こちらはマダガスカル島の現地球で、発根済みの個体。発根済み=根が切られた状態で輸入された株から、新たに根が出た状態のこと。

パキプスの現地球は発根率が低いことでも知られていて、発根済みの株は比較的高額になります。

写真の現地球は高さ約32㎝、太さ約10㎝の個体。一概にサイズの大きさだけで価格が決まる訳ではありませんが、こちらの個体で291500円です。

稀少で高価な品種が多い塊根植物の中においても、高価格なパキプスですが、この大きさに成長するまで年月や、発根率の低さ、そして現地の個体数の少なさを考えると……

実生株をじっくり育てるのもオススメです。

こちらは国内で種から育成されたパキプスの実生株。種を撒いてから2年ほどの実生株ですが、幹には少し凹凸感も出てきています。

用土で隠れているため見えませんが、地中には幹の細さからは想像できない様な太い根が存在します。

この太い根は「パワータンク」と呼ばれており、地中のパワータンクがしっかりと成熟することで、地表の幹も太く育っていきます。

小さくても特徴が現れています。

幹の凹凸感に加え、ジグザグとした枝やパキプスの特徴的な羽状複葉が確認できます。まだ芽吹き始めたばかりなので葉は少ないですが、ここから夏に向けて枝を伸ばしながらさらに葉を増やしていきます。

撮影日は2023611

ちなみに、こちらの実生株は16500円ですが、もう少し小さな実生株だと1万円前後で入手できる場合も。

大きく迫力のある現地球も良いですが、小さな実生株をじっくりと成長させていくのも楽しいのではないでしょうか。

DATA
BIZARRE GREEN
長野県長野市篠ノ井布施高田879-1
TEL026-247-8160
営業時間:11時20時 火曜定休
https://www.bizarre-green.com

この記事を書いた人
傳田達朗
この記事を書いた人

傳田達朗

塊根植物案内人

セレクトショップ 「BIZARRE GREEN」オーナー。約20年勤務したアパレルメーカーで商品企画やプレスを担当。2019年に独立し、地元である長野市にアパレルをメインに趣味の延長で植物も扱うセレクトショップBIZARRE GREEN(ビザールグリーン)をオープン。植物以外の趣味はヴィンテージ雑貨の収集など。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

宮城県大崎市の名セレクトショップ「ウルフパック」が選ぶ「FINE CREEK」の銘品革ジャン4選。

  • 2025.10.31

宮城県大崎市に、ファインクリークを愛してやまない男がいる。男の名は齊藤勝良。東北にその名を轟かす名セレクトショップ、ウルフパックのオーナーだ。ファインクリーク愛が高じて、ショップの2階をレザー専用フロアにしてしまったほど。齊藤さんが愛する、ファインクリークの銘品を見ていくことにしよう。 FINE C...

【J.PRESS×2nd別注】こんなイラスト、二度と出会えない。 著名イラストレーターとのコラボスウェット。

  • 2025.10.21

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【J.PRESS×2nd】プリントスウェットシャツ【AaronChang】 アメリカにある優秀な8つの大学を総称して...

「BILTBUCK」の2025年は新素材によって既存モデルを再解釈した革ジャンに注目だ!

  • 2025.11.03

伝統と革新を往来しながら、レザーの魅力を追求するビルトバック。2025年のコレクションは、オリジナルレシピで仕立てた渾身の新素材によって既存モデルを再解釈。質感と経年変化、レザーの本質的な美学を磨き上げ、洒脱な大人たち〈Hep Cats & High Rollers〉へ贈る、進化であり深化の...

“黒のコロンビア”って知ってる? オンオフ自在に着回せる、アップデートされたコロンビアの名品を紹介!

  • 2025.10.21

電車や車といった快適な空間から、暑さや寒さにさらされる屋外へ。都市生活は日々、急激な気温差や天候の変化に直面している。実はその環境こそ、自然で磨かれた「コロンビア」の技術が生きる場だ。撥水性や通気性といったアウトドア由来の機能を街に最適化し「コロンビア ブラックレーベル」は、都市生活者の毎日を快適に...

【土井縫工所×2nd別注】日本屈指のシャツファクトリーが作る、アメトラ王道のボタンダウンシャツ発売!

  • 2025.10.07

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! トラッド派には欠かせない6つボタンのBDシャツ「6ボタン アイビーズB.D.シャツ」 アメリカントラッドを象徴するア...

Pick Up おすすめ記事

【土井縫工所×2nd別注】日本屈指のシャツファクトリーが作る、アメトラ王道のボタンダウンシャツ発売!

  • 2025.10.07

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! トラッド派には欠かせない6つボタンのBDシャツ「6ボタン アイビーズB.D.シャツ」 アメリカントラッドを象徴するア...

進化したSchottの定番、冬のレザースタイルはこれで決まり!

  • 2025.10.30

アメリカンライダースの象徴であるSchottが、原点回帰とも言える姿勢で“本気”を見せた。伝統のディテールに、現代的な技術と素材を融合。武骨でありながらも軽快、クラシカルでありながらも新しい。進化したSchottの定番が、冬のレザースタイルを再定義する。 668US SPECIAL HORSEHID...

「BILTBUCK」の2025年は新素材によって既存モデルを再解釈した革ジャンに注目だ!

  • 2025.11.03

伝統と革新を往来しながら、レザーの魅力を追求するビルトバック。2025年のコレクションは、オリジナルレシピで仕立てた渾身の新素材によって既存モデルを再解釈。質感と経年変化、レザーの本質的な美学を磨き上げ、洒脱な大人たち〈Hep Cats & High Rollers〉へ贈る、進化であり深化の...

【J.PRESS×2nd別注】こんなイラスト、二度と出会えない。 著名イラストレーターとのコラボスウェット。

  • 2025.10.21

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【J.PRESS×2nd】プリントスウェットシャツ【AaronChang】 アメリカにある優秀な8つの大学を総称して...

生きたレザーの表情を活かす。これまでになかった唯一無二の革ジャン、「ストラム」の流儀。

  • 2025.10.30

生きたレザーの質感にフォーカスし、“バーニングダイ”をはじめとする唯一無二のレザースタイルを提案するストラム。我流を貫き、その意思を思うがままにかき鳴らすことで、オリジナリティを磨き上げる孤高のレザーブランドだ。デザイナー桑原和生がレザーで表現するストラムのモノ作りの哲学、彼が革ジャンを通して描き出...