STEADYの記念すべき100本目は、鯖江の職人技と高いデザイン性に降参です。

そのブランド名が示すとおり、ライフスタイルに寄り添う相棒のようなメガネを、日本のメガネの聖地でもある福井県鯖江の職人たちの技術をメインに生み出すSTEADY(ステディ)。ここのメガネをずっと愛用している筆者であるが、だいたい毎年のように新作を物色。最近ではもはや、あえて自分では選ばず、デザイナーである金子さんのおすすめを素直に聞くというスタイルに。そんな私の新しい相棒として出迎えたのは、ブランドスタートから100本目のデザインとなる節目的なモデルだった。

ひと言で表現すれば”美しい”。それだけも手に入れる価値はある。

STEADYにコンセプトとえば、メガネにも刻まれるThe Ordinary Spectaclesという言葉。つまりは「究極の普通」ということ。

わかりやすく言えば、メガネだけが主張してもいけないし、メガネがその人のイメージを壊してもいけない。もちろん、かけた人の表情やコーディネイト、それにライフスタイルに自然と寄り添い、馴染む存在こそがSTEADYの真骨頂。

多くのSTEADYのモデルを愛用している筆者にしてみれば、メガネにそれほど詳しくない人に言わせると「何かいいね、そのメガネ」となり、玄人に言わせれば「それどこのメガネ?」と言われるのがこのブランドの良さ。そのさりげない主張こそがSTEADYのデザインなのだと実感している。けしてデザインに特化しているわけでもないし、派手でもない。昔から存在しているメガネのデザインをベースにしながら、オリジナリティを追求している。でもこれが実際に人に言われると「むふふ」とうれしいわけ。

そして、何年も前に手に入れたモデルでも、今かけていてもしっくりと普段のファッションに合ってくれるしジェンダーレスなのも強みかなと。

きっとそこにはメガネという限られたデザインのなかで流行を追うことなく、選ぶ素材やコンマ数ミリという単位まで突き詰めたこだわりにほかならないけれど、当のデザイナー本人はそれを多くは語らないのがおもしろい。

「買うのは一般の人なんだから『何か良いよね』でいいの。あまりデザイナーがあーでもこーでもないと言うものでもないんじゃないかな」というスタンスがSTEADYらしさなのだ。

そんなSTEADYの新作のなかから、最近、個人的に選んだ(正確には選んでもらった)のがこのSTD-100。記念すべきブランド100本目のデザインになるモデルというのも選んだ理由のひとつだけど、自分が持っていないデザインのメガネということもあって、このモデルを推薦されて、挑戦しようかと。

リムとテンプルがβチタン。ブリッジとヨロイに純チタンを採用し、メガネパーツの限界の細さといわれる0.7ミリの極薄リム。私はグリーン25%のカラーレンズを入れてちょっとだけ個性をプラス。レンズは自由が丘にあるメガネヤヒカリノアトリエさん(https://hikalier.jp)でお世話になった。3万8500円
テンプルのエンド部分も抜くことによって軽量化もしている手の込んだデザイン。夏のメガネにもぴったりなエアリーで清涼感のあるモデル。メガネ単体で見るとそのデザインの美しさが際立つ
テンプルには記念すべきSTD-100(100本目のデザイン)の刻印が。こういう節目のモデルっていうのもチョイスした理由。ブランドの歴史を感じる
ノーズパッドもチタン製というところも見逃せない。チタンの加工技術は世界でも日本の技術が群を抜くからこそ可能にしたモデルでもある

デザインはいわゆるフルメタルのクラウンパント。クラウンパントとはフランスのメガネに昔からある、フレームの上部が角張った王冠のようなデザインで、下部がいわゆるボストンシェイプになっているカタチ。先シーズンに初めてアセテートとチタンのコンビになったクラウンパントを手に入れたので、いよいよオールチタン(ノーズパッドもチタン)に挑戦してみた。

何と言っても特徴は0.7mmという極薄リム(これが薄さの限界値だとのこと)。これによりエアリーで軽やかなスタイルに。薄く細くても耐久性やバネ性に優れたβチタンの特性を最大限に活かしているところがこの美しさの秘密。

筆者はこの軽やかなフレームにカラーレンズを入れてあえて「個性」を追加したけれど、クリーンにかけるなら透明レンズもおすすめ。

重たい印象にならない細めのメタルフレームは、これからのサマーシーズンにももってこい。

キラリと光るフレームは極細なのでイヤらしくなく、デスクなどに置いたときにわかるメガネ単体の美しさ。そして何日かかけてみてわかる軽さと、もはや降参するしかないのであった。いい歳こいたおっさんの不細工さだったり、ゴリっとしたファッションもこの美しく上品なメガネで少しでも中和させたいのである(笑)

【DATA】
STEADY
TEL03-5787-8371
http://www.steady-2011.com

この記事を書いた人
ラーメン小池
この記事を書いた人

ラーメン小池

アメリカンカルチャー仕事人

Lightning編集部、CLUTCH magazine編集部などを渡り歩いて雑誌編集者歴も30年近く。アメリカンカルチャーに精通し、渡米歴は100回以上。とくに旧きよきアメリカ文化が大好物。愛車はアメリカ旧車をこよなく愛し、洋服から雑貨にも食らいつくオールドアメリカンカルチャー評論家。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

時計とベルト、組み合わせの美学。どんなコンビネーションがカッコいいか紹介します!

  • 2025.11.21

服を着る=装うことにおいて、“何を着るか”も大切だが、それ以上に重要なのが、“どのように着るか”だ。最高級のプロダクトを身につけてもほかとのバランスが悪ければ、それは実に滑稽に映ってしまう。逆に言えば、うまく組み合わせることができれば、単なる足し算ではなく、掛け算となって魅力は倍増する。それは腕時計...

スペイン発のレザーブランドが日本初上陸! 機能性、コスパ、見た目のすべてを兼ね備えた品格漂うレザーバッグに注目だ

  • 2025.11.14

2018年にスペイン南部に位置する自然豊かな都市・ムルシアにて創業した気鋭のレザーブランド「ゾイ エスパーニャ」。彼らの創る上質なレザープロダクトは、スペインらしい軽快さとファクトリーブランドらしい質実剛健を兼ね備えている。 日々の生活に寄り添う確かなる存在感 服好きがバッグに求めるものとは何か。機...

この冬買うべきは、主役になるピーコートとアウターの影の立役者インナースウェット、この2つ。

  • 2025.11.15

冬の主役と言えばヘビーアウター。クラシックなピーコートがあればそれだけで様になる。そしてどんなアウターをも引き立ててくれるインナースウェット、これは必需品。この2つさえあれば今年の冬は着回しがずっと楽しく、幅広くなるはずだ。この冬をともに過ごす相棒選びの参考になれば、これ幸い。 「Golden Be...

グラブレザーと、街を歩く。グラブメーカーが作るバッグブランドに注目だ

  • 2025.11.14

野球グローブのOEMメーカーでもあるバッグブランドTRION(トライオン)。グローブづくりで培った革の知見と技術を核に、バッグ業界の常識にとらわれないものづくりを貫く。定番の「PANEL」シリーズは、プロ用グラブの製造過程で生じる、耐久性と柔軟性を兼ね備えたグラブレザーの余り革をアップサイクルし、パ...

【ORIENTAL×2nd別注】アウトドアの風味漂う万能ローファー登場!

  • 2025.11.14

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【ORIENTAL×2nd】ラフアウト アルバース 高品質な素材と日本人に合った木型を使用した高品質な革靴を提案する...

Pick Up おすすめ記事

【UNIVERSAL OVERALL × 2nd別注】ワークとトラッドが融合した唯一無二のカバーオール登場

  • 2025.11.25

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【UNIVERSAL OVERALL × 2nd】パッチワークマドラスカバーオール アメリカ・シカゴ発のリアルワーク...

【ORIENTAL×2nd別注】アウトドアの風味漂う万能ローファー登場!

  • 2025.11.14

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【ORIENTAL×2nd】ラフアウト アルバース 高品質な素材と日本人に合った木型を使用した高品質な革靴を提案する...

今っぽいチノパンとは? レジェンドスタイリスト近藤昌さんの新旧トラッド考。

  • 2025.11.15

スタイリストとしてはもちろん、ブランド「ツゥールズ」を手がけるなど多方面でご活躍の近藤昌さんがゲストを迎えて対談する短期連載。第三回は吉岡レオさんとともに「今のトラッド」とは何かを考えます。 [caption id="" align="alignnone" width="1000"] スタイリスト・...

決して真似できない新境地。18金とプラチナが交わる「合わせ金」のリング

  • 2025.11.17

本年で創業から28年を数える「市松」。創業から現在にいたるまでスタイルは変えず、一方で常に新たな手法を用いて進化を続けてきた。そしてたどり着いた新境地、「合わせ金」とは。 硬さの異なる素材を結合させるという、決して真似できない新境地 1997年の創業以来、軸となるスタイルは変えずに、様々な技術を探求...

スペイン発のレザーブランドが日本初上陸! 機能性、コスパ、見た目のすべてを兼ね備えた品格漂うレザーバッグに注目だ

  • 2025.11.14

2018年にスペイン南部に位置する自然豊かな都市・ムルシアにて創業した気鋭のレザーブランド「ゾイ エスパーニャ」。彼らの創る上質なレザープロダクトは、スペインらしい軽快さとファクトリーブランドらしい質実剛健を兼ね備えている。 日々の生活に寄り添う確かなる存在感 服好きがバッグに求めるものとは何か。機...