速さやパワーだけでない、安全性と快適性も重視したロッキーオートのZ。
国産旧車が高い価値をもち、ある種の憧れと羨望を集めるようになった現在。そのはるか昔から旧車、特に日産のL型エンジン搭載車が日の目を見るよう、世間の風評をもろともせずに実直にこだわり続けてきた人物がいる。
渡辺喜也。愛知県岡崎市、ロッキーオート代表。海外でメジャーだった旧いクルマに現代のエンジンを載せかえる手法「エンジンスワップ」を、日本の旧車ユーザーに向けて責任をもって浸透させた男。
アンダーグラウンドや個人レベルならエンジンスワップは知られた手法だったが、それをショップが大々的に行ったということが重要なのだ。何しろ企業が行うこと。それにはすべて責任が伴う。生半可な覚悟と技術では到底ビジネスにはできない。
またロッキーオートが求める本質は速さやパワーではない。大事なのは現在の交通事情でストレスなく、かつ安全に、そして快適に旧車を乗れるようにすること。
ロッキーオートの名を知らしめた技術のひとつがオートエアコンの搭載。これは夏場でも快適に乗るためだと思うかもしれないが、実は雨の日に窓が曇らないよう除湿するために搭載したというのが真の理由。不意の雨でもクリアな視界で安全にドライブするためだ。
ここで紹介するのは安全性と快適性、そして走りのエンターテイメント性を兼ね備えたZである。
エンジンは同じ日産の直列6気筒の中でも第二世代のスカイラインGT-Rに搭載されたRB26DETTを2.9リッターまでボアアップした上で搭載している。さらに低回転からブーストが掛かりやすいギャレット製のビッグタービンを使用することで、ターボ車ながら低速からしっかりとトルクのある乗りやすいパワーユニットとなっている。
対応するトランスミッションも純正では役不足で、同じBR系ターボを搭載しているスカイラインから5速マニュアルを換装。リアデフもR200に交換することで強大なパワーをしっかりと受け止めることができるようにした。
そして何よりこのエクステリアに惹かれてしまう人も多いだろう。フロントとリアにスポイラーを装着し、オーバーフェンダーの中にガンメタリックのTE37Vのホイールを装着。どこから見ても「カッコいいZ」を体現している。なおエンジンフードや、後付けボディパーツはすべてカーボン製だ。
S30型がRBを積んだらこうなったのではないか? そんな妄想すら楽しい。まさに正常進化したZといえるのではないだろうか。
動力性能に加え、快適装備も抜かりなし!
エンジンは第二世代GT-Rに搭載されるRB26DETTをベースに、2.9リッターまでボアアップ。ビッグタービンに交換。冷却系も強化している。
純正のままでもスポーティなダッシュ周りは基本的にストック重視。ステアリングはダッツンコンペ。パワステ付きだ。
足周りは4輪ディスクブレーキ化した上で、ホイールはF16インチ、R17インチのRAYSのTE37Vをチョイスし、タイヤも現代のグリップ性の高いものを履く。
RBユニットに換装したことで、オートエアコンも完備。エアコンなので雨の日の除湿も可能。安全かつ快適に運転できる。
【DATA】
ROCKY AUTO
愛知県岡崎市小美町字殿街道153
TEL0564-66-5488
営業/10:00〜19:00
https://rockyauto.co.jp/
(出典/「Lightning2023年5月号 Vol.349」)
Photo/D.Katsumura 勝村大輔 Text/M.Sasaki 佐々木雅啓
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