完全予約制、住所非公開の特別なギャラリー。
筋金入りのヴィンテージ好きで、確固たる世界観を持つ人気デザイナーの大貫さん。人気ブランドのディレクターとしても有名だが、一昨年に自身が多大な影響を受けたプロダクトやアートなどを集めた、完全アポイントメント制で住所非公開のギャラリーをオープンした。
その場所は自身が生まれ育った茨城県の牛久近郊。もともとは石造りの米蔵だった物件で、外に看板もなく、中を覗ける窓もないため、こんな空間が広がっているとは想像もつかない。インスタグラムの公式アカウントにDMにて来店予約をした人だけに所在地を知らせるという仕組みがおもしろい。
「新旧問わずに、自分が本当に好きなものや感銘を受けたプロダクトを展示販売しています。中には私物として購入したヴィンテージもあり、泣く泣く手放すことも(笑)。世界中を旅して、現地で買い付けをしたり、各ジャンルのス
ペシャリストから直接仕入れたり、そのアイテムの歴史や出自などもお客様に提供することを大切にしています。
この場所は、大好きなサンタフェと自分の名前を掛けたサンタセッギャレリーと名付けていて、ネイティブアメリカンが自身で作った工芸品と食品や雑貨、外貨を交換するトレーディングポストをイメージしました。来店するのに少しばかりお手間をお掛けしますが、その分、ここでしか買えないものを揃えています」
大貫さんが感銘を受けたプロダクトの数々の一部を紹介!
10代からずっと集め続けているのが、’70年代のナイキのランニングシューズ。基本的にデッドストックかミントコンディションのみを買っている。右から時計回りに珍モデルとしても有名なナイトトラック、王道のLD1000、カラーリングが気に入ったワッフルトレーナー。
1950〜’70年代にかけてのナバホ族のラグを用いたベスト。右のものは、ニューメキシコ州アルバカーキ、左はターバートレーダーズで購入したものとなる。
数多くのジーンズを持っているが、一番のお気に入りはサンタセッの物。’70年代のコーンミルズのデッドストック生地を15台のヴィンテージミシンを駆使して生産した。
大貫さんのアイコンでもあるアイウエアは、希少な1940年代のフレンチフレームを愛用。この年代のパリジャンでべっ甲柄は、非常に珍しい仕様である。
ここ最近、もっとも熱を入れているのが葉巻。40歳を機にタバコをやめて、葉巻を嗜むようになったそう。キューバ産しか吸わず、お気に入りはコヒーバとパルタガス。AEウィリアムスのスキットルとハンドメイドパイプのブライヤー、そしてメシャムも欠かせないアイテムとして挙げてくれた。
1900〜’50年代にかけてのヴィンテージのネイティブアメリカンジュエリー。すべてナバホ族のハンドメイドで、あえてフレッドハービースタイルは所有していない。多くのスペシャルが混ざっており、大貫さんらしいセレクトが光る。
友人でもあるメゾンエウレカの中津さんが手掛けるRYOKO SCENT FOR KAUFHAUS のSEI / 04 棲。最近お気に入りのフレグランスオイル。
(出典/「Lightning2023年3月号 Vol.347」)
Text/S.Sato 佐藤周平 Photo/N.Suzuki 鈴木規仁 取材協力/サンタセッ ギャレリー http://santasse.com Instagram @ santasse_to_2020
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