リペアとは違う、リメイクの魅力。Brassの独創的かつ実用的なリメイクシューズ。

日本有数のシューズのスペシャリストであるブラス代表の松浦さん。これまで数々のシューリペアやカスタムを経験したからこそたどり着いた、独創的かつ実用的なリメイクシューズを紹介する。

Brass代表、松浦稔氏インタビュー。

「Brass」代表・松浦稔さん|1977年生まれ。東京都出身。2007年に世田谷代田でBrass shoe co.を設立。2012年よりオリジナルブランドCLINCHを展開している

東京世田谷は代田にあるシューリペア&カスタム専門店『ブラス』。ハンドソーンウェルテッド製法を駆使するオリジナルブランドのクリンチや、スタッフのユニフォームとしても使われているBSCユ
ニフォームなど、シューリペア&カスタム以外にも突き詰めたプロダクトを展開している。そんなブラスで見つけたリメイクシューズの数々。それらはカスタムとは一味違った魅力を放っている。

「リメイクと一言に言っても千差万別で、様々なアプローチがあります。個人的にはシューリペアやカスタムができないくらいダメージのあるものや、長年履きすぎて飽きてしまったものをリメイクすることで、また新しいシューズとして使うのが王道かなと思います。

例えばダメージを負ってしまったレザーです。デニムやシャンブレーなどの布帛と違って、レザーは破れてしまうと修正することができません。長年の使用でレザーが乾燥し、そこにダメージが加わることで痛んでしまうケースもあります。そういった場合は、リペアするのではなく、ワークジャケットを直すように、別のレザーを当てたり、ステッチで叩いてリメイクすることをお勧めしています。ワークブーツなら違和感もなく、独特の表情になるのも魅力です」

靴の状態から判断してリペアにするかリメイクにするかを決める。作業はすべてブラスの工房で行われる

松浦さんが言うように、ワークブーツのパッチワークやステッチのリメイクはかなり相性がよく、ダメージデニムをリペアした時の表情に通ずるものがある。これでまた安心して履けるのは実にうれしい。また松浦さんは思い切ってレザーのカラーリングを変えてしまうというリメイクも実践している。

「これも新品にはまずやらない手法ですよね。ここで紹介しているコードバンは、ホーウィン社のナンバー8と呼ばれるバーガンディカラーだったのですが、特殊な染料などを駆使してブラウンのツートンに仕上げました。コードバンの特性上、シミになりやすいので、困っている方にはオススメです。またスウェードの色替えもやっていて、特にベージュのような淡いトーンは汚れが目立ちますし、落ちにくい。そういった場合は毛足を潰しながら染色し、スムースレザーのような表情に仕上げています」

履き込むことで型崩れをしてしまったシューズや、どうしても足に馴染まない場合はリラストで生まれ変えるのも一興。クリンチで使っているラストは細身で評判がよく、ボテッとした形状でもスタイリッシュな印象に変わる。

「リラストは、うちのオリジナルラストでアッパーを修正し、ソールごと交換してしまうものです。うちのラストは、海外のお客さんからも評判がよく、わざわざ郵送でオーダーする方もいるくらい。一見、わかりにくいですが、履いてみると驚かれると思います」

独創的かつ実用的なリメイクシューズを紹介!

ヴィンテージのレッドウィングのエンジニアブーツは、アッパーのステッチによるリペアに加え、ベルトとカウンター、オールソールの交換。オールソール5万5000円、ベルト&バックステイ交換1万9800円、バックル交換1万1000円

ベルトがダメになっていたので、バックルごと交換している。破れた部分はステッチでリペアしており、これがまたいい風合いに。バックステイも交換している
型崩れしていたのでリラストとオールソール交換を行った。アウトソールにはグリーンのオサリバンソールを採用した

レッドウィングのロガーブーツは、ハードな使い込みとレザーが乾燥したことで深刻なダメージを負っていた。アッパーには茶芯のオリジナルレザーのテイストに合わせて、ブラウンのレザーパッチでリペア。パッチ4400円、ステッチ3300円

ご覧のようにアッパーの負荷の掛かる箇所が破れてしまっていたが、ワークウエアをリペアするような感覚でステッチで叩いている。なんとも絵になるリメイクだ

これはオールデンのウィングチップシューズで、ホーウィン社のコードバンを使っている。その革の特性上、シミができていたが、色を抜いて染め替えており、これがいい風合いになっている。ツートーンが斬新さも引き立てる。1万6500円

もともとは深いバーガンディカラーのコードバンであったが、見事にブラウンのツートーン仕様に生まれ変わった。眠っている靴に有効なリメイクだ
メダリオンの入った下部の部分は濃いブラウンで、その上は同系色のツートーンに仕上げている。ソールは柔らかなガムソールになっていて相性がよい

これはウルヴァリンの名作1000マイルブーツをクリンチのオリジナルであるナローラストでリラストしたもの。海外からのオーダーで、本来のラストが足に合わなかったそう。こちらはオールソール交換時しかできないのでご注意を。5万1700円

クリンチで使っているナローラストで作り直しているため、従来のものに比べるとかなりシャープに。いろんな靴に対応できるのもうれしい
アッパーがスタイリッシュなフォルムになったので、ソールはハーフソールでドレッシーに仕上げている

【問い合わせ】
Brass shoe co.
東京都世田谷区代田5-8-12
TEL03-6413-1290
営業/12:00〜20:00
休み/水・木・日曜
https://www.brass-tokyo.co.jp/

※情報は取材当時のものです。

(出典/「Lightning2022年12月号 Vol.344」)

この記事を書いた人
Lightning 編集部
この記事を書いた人

Lightning 編集部

アメリカンカルチャーマガジン

ファッション、クルマ、遊びなど、こだわる大人たちに向けたアメリカンカルチャーマガジン。縦横無尽なアンテナでピックアップしたスタイルを、遊び心あるページでお届けする。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

変わらぬ美学に宿る新たな意匠。「アリゾナフリーダム」の今季注目は『浮唐草』

  • 2026.08.03

ARIZONA FREEDOMのものづくりは、受け継がれてきた美学を守りながら、新たな表現を追求し続けている。今季は、立体感のある彫刻で唐草を表現した「浮唐草」が登場。伝統的なモチーフに新たな息吹を吹き込み、ブランドの世界観をさらに進化させている。一方で、創業以来愛され続ける定番モデルも、その普遍的...

日本最大級のアメカジショッピングイベント「稲フェス」史上初の福岡開催! 限定Tシャツ付プレミアムチケットも登場

  • 2026.05.22

雑誌『Lightning(ライトニング)』が主催し、読者が集う国内最大級のアメカジショッピングイベント「稲妻フェスティバル」。通称「稲フェス」。2026年ついに福岡へ初上陸! 8月9日(日)にマリンメッセ福岡B館で開催される。 いつものお台場開催の稲フェスでは出店しないブランドやセレクトショップが多...

「ATSU LEATHER WORKS」が世に放つ、唯一無二の革パンエイジングモデル。

  • 2026.07.22

ライダースジャケットの世界で独自のエイジング表現を追求してきたアツレザーワークス。その哲学を受け継ぐ初のレザーパンツ“Lily”が誕生。いちから着用者のライフスタイルを刻み込むプレーンモデルと、長年穿き込まれた表情を職人技で再現したエイジングモデルをラインナップ。革をより幅広い季節、幅広いスタイルで...

高額商品もお得にゲット! 夏の“福”を呼ぶオンラインフェス「イナズマ福袋フェア」8月15・16日開催

  • 2026.08.04

真夏のオンラインフェスの開催が決定! 今回はなんと“福袋”。人気ブランドの人気アイテムを袋に詰め込んで販売するぞ。中身は開けてのお楽しみ。もちろん恒例の2日間ライブ配信も。さらに○○グランプリも開催。オンラインショッピング会場には1000円の入場料がかかるが、LIVE配信、抽選会、○○GPは参加無料...

朗報!「ウエアハウス」最高峰レーベルの最高傑作DDシリーズ「1001XX」が待望の再入荷。これは見逃すな!

  • 2026.08.02

ミクロレベルまで研究し、古着と見間違うほどのプロダクツを現代に蘇らせるウエアハウス。当時の生産技術や時代背景までも丁寧に掘り下げられて完成した服は、限りなくヴィンテージに近い存在だ。そんな彼らが生み出す服こそ、オーセンティックと呼ぶにふさわしい。 「1001XX 1947」が近日入荷。夏の装いに欠か...

Pick Up おすすめ記事

変わらぬ美学に宿る新たな意匠。「アリゾナフリーダム」の今季注目は『浮唐草』

  • 2026.08.03

ARIZONA FREEDOMのものづくりは、受け継がれてきた美学を守りながら、新たな表現を追求し続けている。今季は、立体感のある彫刻で唐草を表現した「浮唐草」が登場。伝統的なモチーフに新たな息吹を吹き込み、ブランドの世界観をさらに進化させている。一方で、創業以来愛され続ける定番モデルも、その普遍的...

朗報!「ウエアハウス」最高峰レーベルの最高傑作DDシリーズ「1001XX」が待望の再入荷。これは見逃すな!

  • 2026.08.02

ミクロレベルまで研究し、古着と見間違うほどのプロダクツを現代に蘇らせるウエアハウス。当時の生産技術や時代背景までも丁寧に掘り下げられて完成した服は、限りなくヴィンテージに近い存在だ。そんな彼らが生み出す服こそ、オーセンティックと呼ぶにふさわしい。 「1001XX 1947」が近日入荷。夏の装いに欠か...

日本最大級のアメカジショッピングイベント「稲フェス」史上初の福岡開催! 限定Tシャツ付プレミアムチケットも登場

  • 2026.05.22

雑誌『Lightning(ライトニング)』が主催し、読者が集う国内最大級のアメカジショッピングイベント「稲妻フェスティバル」。通称「稲フェス」。2026年ついに福岡へ初上陸! 8月9日(日)にマリンメッセ福岡B館で開催される。 いつものお台場開催の稲フェスでは出店しないブランドやセレクトショップが多...

【連載】ビートルズのことを考えない日は一日もなかった

  • 2024.02.05

80年代、私的ビートルズ物語。 ビートルズ研究と収集に勤しむビートルデイズを始めて早44年(Since1980)。 なにをするにもビートルズが基準だった『昭和40年男』編集長のビートルズ史を、 当時の出来事とともに振り返ります。

遊びをぎっしり詰め込んだ“俺ジーンズ”を作ってみた。

  • 2026.07.29

児島に本社と工房を置くベティスミスでは、その人に合ったジーンズをフルオーダーで作ることができる。そこで編集部スタッフが現地へ赴き、わがまま言い放題の“俺だけのジーンズ”をオーダー。その様子と完成品をレポートする。 編集・ジョージ(右)|編集部イチのジーンズ偏愛者といっても過言ではない。とんでもないジ...