Brass代表、松浦稔氏インタビュー。
東京世田谷は代田にあるシューリペア&カスタム専門店『ブラス』。ハンドソーンウェルテッド製法を駆使するオリジナルブランドのクリンチや、スタッフのユニフォームとしても使われているBSCユ
ニフォームなど、シューリペア&カスタム以外にも突き詰めたプロダクトを展開している。そんなブラスで見つけたリメイクシューズの数々。それらはカスタムとは一味違った魅力を放っている。
「リメイクと一言に言っても千差万別で、様々なアプローチがあります。個人的にはシューリペアやカスタムができないくらいダメージのあるものや、長年履きすぎて飽きてしまったものをリメイクすることで、また新しいシューズとして使うのが王道かなと思います。
例えばダメージを負ってしまったレザーです。デニムやシャンブレーなどの布帛と違って、レザーは破れてしまうと修正することができません。長年の使用でレザーが乾燥し、そこにダメージが加わることで痛んでしまうケースもあります。そういった場合は、リペアするのではなく、ワークジャケットを直すように、別のレザーを当てたり、ステッチで叩いてリメイクすることをお勧めしています。ワークブーツなら違和感もなく、独特の表情になるのも魅力です」
松浦さんが言うように、ワークブーツのパッチワークやステッチのリメイクはかなり相性がよく、ダメージデニムをリペアした時の表情に通ずるものがある。これでまた安心して履けるのは実にうれしい。また松浦さんは思い切ってレザーのカラーリングを変えてしまうというリメイクも実践している。
「これも新品にはまずやらない手法ですよね。ここで紹介しているコードバンは、ホーウィン社のナンバー8と呼ばれるバーガンディカラーだったのですが、特殊な染料などを駆使してブラウンのツートンに仕上げました。コードバンの特性上、シミになりやすいので、困っている方にはオススメです。またスウェードの色替えもやっていて、特にベージュのような淡いトーンは汚れが目立ちますし、落ちにくい。そういった場合は毛足を潰しながら染色し、スムースレザーのような表情に仕上げています」
履き込むことで型崩れをしてしまったシューズや、どうしても足に馴染まない場合はリラストで生まれ変えるのも一興。クリンチで使っているラストは細身で評判がよく、ボテッとした形状でもスタイリッシュな印象に変わる。
「リラストは、うちのオリジナルラストでアッパーを修正し、ソールごと交換してしまうものです。うちのラストは、海外のお客さんからも評判がよく、わざわざ郵送でオーダーする方もいるくらい。一見、わかりにくいですが、履いてみると驚かれると思います」
独創的かつ実用的なリメイクシューズを紹介!
ヴィンテージのレッドウィングのエンジニアブーツは、アッパーのステッチによるリペアに加え、ベルトとカウンター、オールソールの交換。オールソール5万5000円、ベルト&バックステイ交換1万9800円、バックル交換1万1000円
レッドウィングのロガーブーツは、ハードな使い込みとレザーが乾燥したことで深刻なダメージを負っていた。アッパーには茶芯のオリジナルレザーのテイストに合わせて、ブラウンのレザーパッチでリペア。パッチ4400円、ステッチ3300円
これはオールデンのウィングチップシューズで、ホーウィン社のコードバンを使っている。その革の特性上、シミができていたが、色を抜いて染め替えており、これがいい風合いになっている。ツートーンが斬新さも引き立てる。1万6500円
これはウルヴァリンの名作1000マイルブーツをクリンチのオリジナルであるナローラストでリラストしたもの。海外からのオーダーで、本来のラストが足に合わなかったそう。こちらはオールソール交換時しかできないのでご注意を。5万1700円
【問い合わせ】
Brass shoe co.
東京都世田谷区代田5-8-12
TEL03-6413-1290
営業/12:00〜20:00
休み/水・木・日曜
https://www.brass-tokyo.co.jp/
※情報は取材当時のものです。
(出典/「Lightning2022年12月号 Vol.344」)
Text/S.Sato 佐藤周平 Photo/K.Hayashi 林和也
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