働くクルマは、遊べるクルマ!
ピックアップトラックはアメリカではメジャーでも、現代の日本の街中では一般的にマイノリティな存在。しかし、バイクやクルマをはじめとした趣味関係の取材をしていると、ピックアップトラックに出会う確率が高いように感じる。それは、働くクルマがファミリーカーには不向きでも、趣味のクルマとしては有能だからに違いない。
ここで紹介するマツダ・プロシードキャブプラスはINUCHOPPERの名で知られる田代さんの愛車。自分でバイクを作り様々な草レースに参戦する、まさに遊びの達人と言える男の27年来のトランスポーターなのである。
UF型プロシードは当時の日本では不人気だったが、マツダとフォードが業務提携にあった時代にフォード・レンジャーのOEMで生産され、北米仕様のBシリーズは北米でベストセラーとなったモデルだ。実は筆者も年式違いのUF型プロシードを普段乗りにしているのだがよく聞かれるのは、この時代のミニトラックの中でもメジャーなハイラックスやダットサントラック(D21/D22)ではなく、なぜプロシード? ということ。その質問をそのまま田代さんに投げかけてみた。
「このクルマを手に入れた当時は仕事で北米やオーストラリアに行くことがあって現地でよくこのトラックを見かけたんです。トヨタや日産と比べて無骨な印象でカッコ良く感じたことと、友人がプロシードに乗っていて、荷物を積んでいてもよく走るクルマだなっていうイメージがあったので。整備性も良いし、パーツも簡単に手に入る。タフで頼りになる存在ですよ」
なんとこのクルマは田代さんが27年前に中古で手に入れて以来一度も大きなトラブルに遭うこともなく、ほぼ全て田代さん自身の手によって整備が施され、いまも現役のトランポとして活躍しているのだ。
バイクを積むことを優先すればシングルキャブが王道だが、田代さんの趣味には愛犬のパブロフ君(御年16歳)が同行することが多いので助手席はパブロフ君の特等席。そうなると外に置きたくないデリケートな荷物を置くスペースとして後部座席が必要なのだ。さらに、最近は息子さんと一緒にプロシードの整備を行い、親子でガレージライフを楽しんでいるのだという。
使い捨ての消耗品として扱うのではなく、自分で手を入れ長年大切に乗り続けられているこのプロシードは、趣味を謳歌する大人のライフスタイルに欠かせない存在になっているのだ。
「1993 MAZDA PROCEED」のディテールを拝見!
リアバンパーはアメリカのPEP BOYSで購入したミニトラック用だが、バンパーを装着するだけで一気にアメリカ車のような雰囲気に。
ダッシュ周りは基本的にオリジナルのままで、ステアリングはイタリアメーカーのMOMOをチョイス。レーシーなテイストをプラス。
田代さんがプロシードを選ぶ最大の決め手になったのが2.6Lのパワフルでタフなエンジン。バイクを積載したままでも力強く走るので、イベントなどの遠征にも最適。
プロシード キャブプラスは4人乗りでありながらベッド長1825㎜の長さを誇るので、ゲートは半開きになるが大抵のバイクは真っ直ぐ積むことができる。リアガラスは中央をオープンにできるUS仕様に変更しているため車内から荷台にアクセス可能。
複数のバイクを所有する田代さんだが当日積載していたのは、トラックマスターフレームにYAMAHA DT250の2ストロークエンジンを搭載した自作のフラットトラッカー。エンジンとフレームのクリアランスが市販モデルにはないカスタム感を演出。
(出典/「Lightning2022年7月号 Vol.339」)
Text/Y.Kinpara 金原悠太 Photo/K.Arai 新井康介 取材協力/INU CHOPPER INSTAGRAM:@inuchopper
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