ダッジとは? 2009年まで「ラム」はダッジの人気車種だった。
アメリカ車のビッグ3のひとつクライスラーが有する4つのブランド(クライスラー、ジープ、ダッジ、ラム・トラックス)のうち、ダッジから販売されていた主力車種「ラム」を切り離す形で2009年に誕生したのがラム・トラックスだ。2003年にすでにラムバンは販売が終了しており、現在はピックアップトラックや商用トラック、バンをラインナップしている。そのため現在のダッジは乗用車の専門部門となっている。
そんなダッジの誕生は1914年。ダッジブラザーズ時代にはあのフォードの設立の際に多額の融資を行い、協業体制を築くなど1914年に関係を解消するまで深い関わりがあった。1928年にクライスラーに買収されて以降は現在に至るまで同社のブランドとして展開している。
現在は乗用車のみ展開しているダッジではあるが、その歴史を語るうえで外せないのがフルサイズバン「ラムバン」だ。現在も「ラム」として人気のピックアップトラック「ダッジ・ラム」と共に人気を集めたクルマである。
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1964年から2003年まで、基本構造が変わらないロングセラーだった「ダッジラムバン」。
GMやフォードに遅れること数年が経過した1964年、アメリカビッグ3の一つであるクライスラーはVWタイプ2を意識したワンボックスカー市場に、ダッジブランドから新開発のA100/A108で参入を果たす。その後1971年のモデルチェンジを経て、1903年まで基本構造の変わらないBシリーズが登場。1970年代にはバニングブームの牽引役として1970年代にはトップシェアを誇った。
【1964年】ダッジラムバンの祖先となったクライスラー初のワンボックスモデル「A100/A108」
ダッジラムバンの原型となったのが、このA100だ。すでにコルベアワゴンやエコノラインが発売され、遅れをとっていたクライスラーは、デビュー翌年にはV8エンジンを設定。キュートなルックスと高い実用性で人気を博した。
【1971年~】フルサイズ化し、バニング文化を生み出したベストセラーモデル「トレーズマンバン」
A100よりひとまわり大きなフルサイズバンとしてデビューした「RADESMAN VAN(トレーズマンバン)」。パッセンジャーモデルはスポーツマンと呼ばれた。当初からV8をラインナップし、積極的にRV的な使い方をプロモーションし、バニングの火付け役となった。
【1979年~】基本構造はそのままにフロント周りを中心に大幅フェイスリフト「トレーズマンバン/ラムバン」
Bシリーズ初のモデルチェンジは、ボディの基本構造をそのままに前後ライト周りの意匠を中心に変更した「RADESMAN VAN / RAM VAN(トレーズマンバン/ラムバン)」。1980年以降はラムブランドに統一され、トレーズマンの名称はラムバンに変更となった。
【1994年~】RAMピックアップに合わせて再びフェイスリフトを慣行よりモダンなスタイルにした「ラムバン」。
2回目のモデルチェンジも基本構造は変わらず、フェイスリフト中心の変更となった。つまりBシリーズの基本ボディシェルはデビューから2003年の生産終了まで全く変わらなかったということになる。
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ラムバンは2003年生産終了。現在、新車で買えるダッジの車種は5つ。
ラムバンが生産終了になり、ラムがダッジブランドから切り離された現在、ダッジから新車で購入することのできる車種は5つになる。
まず、マッスルカー(スポーツカー)としてセダンタイプの「Charger(チャージャー)」、クーペの「Challenger(チャレンジャー)」がある。人気のSUVには「Durango(デュランゴ)」、よりタウンユースで楽しめるCUVには「Journey(ジャーニー)」をラインナップ。そしてミニバンとして「Grand Caravan(グランドキャラバン)」がある。かつてダッジから出ていたミニバン「ダッジキャラバン」のショートモデルが「Journey(ジャーニー)」に、ロングモデルが「Grand Caravan(グランドキャラバン)」に継承されている。
ちなみに、「SRT®」はクライスラーの高性能車両開発チームSRT(ストリート&レーシング・テクノロジー)による、最上位モデルのさらに上のグレードモデルで、チャージャーとチャレンジャーのラインナップに存在する。「化け物」「魔物」などと呼ばれることのある仕様は、同じ名前のクルマであっても別物とも称される。
マッスルカーの王様「ダッジ バイパー」を覚えているか?
ダッジおよび、前述のSRTから発売されていたアメリカンスポーツカーで、スーパーカーの代名詞ともいえる存在。’80年代に北米マッスル・スポーツカー市場をほぼ独占していたシボレー・コルベットに対抗するために開発。当初は3年間のみの生産予定だったが、発売後大きな反響とともに想定以上の売り上げとなったため、2017年までおよそ26年間にもわたって継続販売された名車だ。
生産中止となった現在も世界中に熱狂的ファンを多く抱えている。特徴としてはアメリカ車ならではのOHVエンジンを搭載しながらも、その実はよく見られるV型8気筒ではなくV型10気筒で、排気量は8.4リットル600馬力オーバーと市販車の中では最大級ということが挙げられ、世界最速の量産市販車だった記録も残っている。
現行のマッスルカー「Charger(チャージャー)」「Challenger(チャレンジャー)」の上を行く、マッスルスポーツカーの王様であったが、米国連邦自動車安全基準 FMVSS 226(車外放出低減)をクリアできないため2017年に姿を消すことになった。とはいえ記録にも、記憶にも残るダッジの誇る名車である。
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愛車はダッジ! ダッジユーザーのこだわりの愛車を拝見!
大容量なフルサイズバン「ラムバン」を始め、ラムバン愛用者には遊びを大事にしている大人が多い。もちろん大容量であるから仕事にも大活躍! 見ているだけで羨ましくなってくるダッジとオーナーのスナップをお届け!
1992 DODGE RAM 250(ダッジラム250) × 「ドレスダウン」八田井貴博さん
バンの所有者・八田井貴博さんは、帽子メーカーのドレスダウンを主宰する傍ら、ミュージシャンのPVや映画のディレクターを務めていたり、街の自転車屋を経営していたりとマルチに働き、マルチに遊ぶ男。横須賀生まれ、横須賀育ちを象徴するアメリカンなライフスタイルを送っている。
アメリカのエアフォースで使用されていたという希少な個体で、このネイビーは米軍仕様の限定色。ワイルドな風貌のオーナーによく似合っている。お世辞にも綺麗とは言えないバンだが、この車両はまさに八田井さんのライフスタイルにはまっている。6匹のアメリカンピットブルを家族として愛する八田井さんのクルマ選びは、当然のように愛犬たちの居住性も条件に含まれているのだ。
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2000 DODGE GRAND CARAVAN(ダッジグランドキャラバン) × スタイリスト中島さん
ライトニング本誌でもお馴染みのスタイリスト中島さんの趣味はサバゲ。遊びに行く際には大量の“武器”を積み込み、仕事では撮影物を大量に運ぶため容量はもっとも重要とするところ。そんな中島さんが選んだのはダッジのグランドキャラバン。
「もともとはスタイリストという仕事柄、SUVよりも積載量が多くて両サイドスライドドア、そして低床という条件でこのクルマにたどり着いた僕ですが、今となっては趣味であるサバゲにおいてもこのスペックが大活躍してくれるので、20年前にこいつを買った自分を褒めてあげたいですね(笑)」
どんな風に使っているかは下記記事でチェックしてみてほしい。
1998 DODGE RAM VAN(ダッジラムバン) ×「アトラクションズ」西崎智成さん
ダッジが誇るロングセラーモデルの最終型をチョイスした西崎さん。その理由が実に単純明快だ。「仕事で商品を運ぶ時にも使うので、とにかく大きいバンがよかったんです。これならバイクを2台載せることもできますし、バンドで使う機材も難なく積めます。5.2Lなのでトルクも十分!」
右上:1994年のモデルチェンジで丸みを帯びたフェイスに変更された。右下:選んだ最大の理由が、この積載量。大型バイクでも2台積むことができるそうだ。左上:アメリカンレーシングのホイールで無骨な印象に仕上げた。左下:長さが5.2メートルあるのでバックカメラは必須である。
1967 DODGE A-108(ダッジA-108) × ポール・パターソンさん
ダッジA-100シリーズのロングバンとして知られるA-108を所有するのは、カーレストアのショップを営むポールさん。内装はフルカスタマイズしたうえ、天井に穴をあけて自作のウッドトッパーを設置。週末はこれでレジャーに出かけ、その地の風景をここから眺めるのが至福の時だという。
天井に穴をあけ、木とアクリルで仕上げた自作のウッドトッパー。内装のソファはフラットになり、ベッドとして使えるのは当然、その下が大きな収納スペースにもなっている。
1996 DODGE RAM VAN 2500(ダッジラムバン2500)× サンドさん、ジョーイさん、アランさん
この取材中にカリフォルニア州を北から南に向かって横断中という3人組。ロールーフタイプながら、移動中の快適性を追求したダッジラムバンのコンバージョンモデルゆえ、2000㎞以上に及ぶ旅でもヘッチャラなのだとか。
旅先での移動手段として自転車が使えるようにと、やや乱暴なセットの仕方だが、キャリア部分にワイヤーで強引に固定。カリフォルニアの潮風を浴びまくったリアフェイスとスペアタイヤがワイルドだ。
2016 DODGE RAM PROMASTER 1500(ダッジラムマスター1500) × アランナ・パッラさん
「本当は彼氏のクルマなんだけど、風邪をひいたから借りて海に来ちゃったの」というアランナさんのクルマはダッジのプロマスター。車内は彼が自作で作ったというキャンパー仕様になっており、サーフボードや自転車など、遊び道具がふんだんに積み込まれていた。
ホワイトで統一された内装も完璧なレストアが施される。
大きな開口部を持つサンルーフだけに、開けると解放感たっぷり。荷台に置かれたヴィンテージのトランクも雰囲気抜群!
もっと遊べるダッジ! シェルを乗せてトラックキャンパーにカスタム!
ダッジのピックアップにシェルを乗せて、キャンピングカーとしてカスタムするトラックキャンパーに注目が集まっている。大きなダッジラム(現・ラム)だけでも十分遊びから仕事まで使える大容量のクルマであるが、シェルを乗せることで、居住空間としても最高のクルマでアップグレード! これはキャンピングカーの選択肢としてアリだ。
バンクベッドと呼ばれるキャビン上にせり出したスペースのベッドは、一般家庭のダブルベッドよりも遥かに大きく、内装も驚くほど豪華なのだ。このシェルは簡単に取り外すことができるので、通常はピックアップトラックとして乗り、遊びに出掛けるときはシェルを装着するという2WAYで楽しめるのも魅力。詳しくは下記記事をチェックしてみてほしい。
ダッジの歴史からユーザーのライフスタイルまでお届けしてきましたが、残念ながら日本からダッジは2011年に撤退。並行輸入での入手、中古車での入手がメインとなるが、カスタム車など選択肢も多い。ぜひ外遊びが楽しくなる一台を見つけてみてほしい。
(出典/「Lightning 2020年2月号 Vol.310」「別冊Lightning Vol.188 ヴィンテージカーダイジェスト」)
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